- 環境破壊
- 地球温暖化
- オゾン層の破壊
- 酸性雨
- 森林破壊
- 生物多様性の損失
- 海洋汚染の主な原因
- 土壌汚染
- 大気汚染物質の吸引
- 水質汚濁
- 放射性物質による環境汚染の代表例
- 騒音公害
- 光害
- ヒートアイランド現象
- 砂漠化
- 外来種の侵入
- 化学物質による環境汚染
- 埋め立て処分場からの有害物質の漏洩
- 原子力発電所の事故
- 環境ホルモン
- 食品ロス
- ファストファッション
- 大量消費社会
- グリーンウォッシュ
- カーボンオフセット
- エコツーリズム
- サーキュラーエコノミー(循環経済)
- 持続可能な開発目標(SDGs)
- パリ協定
- 再生可能エネルギー
- グリーン購入
- 環境税
- 排出権取引制度
- 環境アセスメント
- 自然再生事業
- 生態系サービス
- 環境教育
- 次世代自動車
- ゼロエミッション住宅
- 都市鉱山
- バイオマスエネルギー
- 水素エネルギー
- CCS(二酸化炭素回収・貯留)技術
- 海洋プラスチックごみ問題
- 都市緑化
- 環境NGO
- グリーンボンド
- 環境配慮型製品のラベリング制度
- カーボンニュートラル
- プラスチック製品の規制
- 食品ロス削減
- 環境負荷の少ない交通システム
- グリーンIT
- 環境負荷の見える化
- 生物多様性オフセット
- 水循環の保全
- 土壌汚染対策法
- 環境報告書
- グリーン調達
- 海洋酸性化
- 資源ナショナリズム
- 気候正義
- 環境移民
- 先住民族の伝統的知識
- 環境に配慮した観光(サステナブルツーリズム)
- シェアリングエコノミー
- 環境に優しい建築(グリーンビルディング)
- コベネフィット・アプローチ
- プラネタリーバウンダリー
- 海洋保護区
- 森林認証制度
- バーチャルウォーター
- エコシステムアプローチ
- 自然資本
- 環境DNA分析
- グリーンインフラ
- 環境価値取引
- 生物遺伝資源の利用と利益配分
- 環境リスク評価
- グリーンケミストリー
- 環境に配慮した物流(グリーンロジスティクス)
- バイオミミクリー
- 環境パフォーマンス指標
- グリーンファイナンス
- ネガティブエミッション技術
- プラスチック・スマートキャンペーン
- 環境に配慮した農業(サステナブル農業)
- グリーン公共調達
- 環境に配慮した包装(サステナブルパッケージ)
- グリーンICT
- 環境と経済の好循環(グリーン成長)
- バイオプラスチック
- 気候変動への適応
- 環境金融
- グリーン雇用
- 生物多様性の主流化
- 環境と社会に配慮した投資(ESG投資)
- ESGではなくてESDとは何ですか?
- サステナビリティとは何ですか?
- CSRとは何ですか?
- 環境問題は、経済や社会の在り方と密接に関わっており、トレードオフの関係にある課題も少なくありません。
- 消費者には、環境ラベルなどの情報を活用した環境配慮型製品の選択や、シェアリングエコノミーへの参加、食品ロス削減などの取り組みが求められます。
- 環境問題は、地球温暖化、生物多様性の損失、大気・水質・土壌の汚染など、多岐にわたります。それぞれの問題が相互に関連し合っており、複雑な因果関係を形成しています。
- 環境問題とは、人間活動によって引き起こされる、自然環境の破壊や汚染、生態系のバランスの崩壊など、地球環境に関する様々な問題の総称です。
- パリ協定に代表される国際的な取り組みが進められていますが、温暖化対策は容易ではありません。
- 大量消費社会からの脱却、エシカル消費の実践、食品ロスの削減、シェアリングエコノミーへの参加など、日常生活の中で環境に配慮した行動を積み重ねていくことが重要です。
- 地球温暖化とは、人間活動に伴う温室効果ガスの排出により、地球の平均気温が長期的に上昇する現象を指します。
- 多くの科学的証拠から人為的な温暖化の影響は明らかであり、長期的な視点に立った対策が不可欠だと言えるでしょう。
- 酸性雨とは、大気中の硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などが、水に溶け込んで強い酸性を示す雨のことを指します。
- 酸性雨対策としては、排出源での硫黄酸化物や窒素酸化物の削減が重要です。
- 海洋汚染とは、人間活動に伴って発生する様々な汚染物質が海洋環境に悪影響を及ぼすことを指します。
- 土壌汚染とは、人間活動に伴って有害物質が土壌中に蓄積し、土壌の質が低下することを指します。
- 土壌汚染・産業活動に伴う汚染
- 農薬や肥料の過剰使用で土壌汚染
- 廃棄物の不適切な処理で土壌汚染
- 土壌汚染の浄化には、多大な費用と時間がかかることが課題となっています。
- 砂漠化とは、乾燥地域や半乾燥地域において、土地が劣化し、植生が失われ、不毛な土地が拡大していく現象を指します。
環境破壊
人間活動により自然環境が悪化し、生態系のバランスが崩れる現象を指します。具体的には、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、森林破壊、生物多様性の損失などが挙げられます。
生物圏の健全さの低下
生物多様性の減少と絶滅速度の増加
生産物の利用率が高く、生物圏の健全性が低下。
生物地球化学的循環の乱れ
窒素やリンの過剰な使用が大気や水質、土壌に深刻な汚染をもたらす
過剰な肥料の使用が農地や河川に悪影響を及ぼす。
地球温暖化
化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出が地球温暖化を促す
気候変動の緩和が急務である。
水質汚染
工場からの排水や農薬、プラスチックに使われる化学物質が水質を悪化させる
水質汚染を解決するためには排出基準の強化や技術革新が必要。
オゾン層の減少
オゾン層が減少すると紫外線が過剰に人間に当たり、DNAを傷つけたり、皮膚がんを生じさせる。
酸性雨の増加
大気汚染物質が酸性雨を引き起こし、森林や土壌を酸性化させて生態系を破壊する。
地球温暖化
二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量増加により、地球の平均気温が上昇する現象です。気温上昇に伴い、海水面の上昇、異常気象の頻発、生態系への影響など、様々な問題が生じます。
二酸化炭素が最大の要因で、産業革命以降の化石燃料の大量使用により大気中の二酸化炭素濃度が40%以上も増加している。
その他、メタン、一酸化二窒素、フロン類などの温室効果ガスの増加も地球温暖化に寄与している。
地球温暖化による主な影響は以下の通りです
気温の上昇 世界平均気温は産業革命前と比べて1.09°C上昇し、今後さらに3.3~5.7°C上昇すると予測されている。
海面水位の上昇 20世紀に19cm上昇し、2100年までに最大82cm上昇すると予測されている。
自然環境への影響 動植物の生息地が変化し、ホッキョクグマなどの絶滅危惧種が増加している。
日本への影響としては、気温上昇による熱中症の増加が懸念されている。
オゾン層の破壊
フロンガスなどの化学物質が成層圏に達し、オゾン層を分解することで起こります。オゾン層は有害な紫外線から地上の生命を守る役割を果たしているため、その破壊は人の健康や生態系に深刻な影響を与えます。
オゾン層は地球を紫外線から守る重要な役割を果たしています。フロンガスが成層圏に達すると、紫外線によって分解され塩素原子が放出されます。この塩素原子がオゾンと反応し、オゾン層を破壊してしまいます。
オゾン層の破壊により、より多くの有害な紫外線(UV-B)が地上に到達するようになります。これにより、人間の皮膚がんや白内障のリスクが高まります。また、動植物の生育にも悪影響を及ぼし、生態系に深刻な影響を及ぼします。
さらに、フロンガスは温室効果ガスでもあるため、地球温暖化にも一役買っています。オゾン層の破壊と地球温暖化は密接に関係しており、両者への対策が急がれています。
酸性雨
化石燃料の燃焼などにより排出された硫黄酸化物や窒素酸化物が、大気中で酸化し、雨や雪となって地上に降下する現象です。酸性雨は森林や湖沼、建造物などに被害をもたらします。
酸性雨(Acid Rain)は、化石燃料の燃焼などにより排出された硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が、大気中で酸化し、雨や雪となって地上に降下する現象です。
この過程では、硫黄酸化物や窒素酸化物が大気中で硫酸や硝酸に変化し、これが雨や雪に含まれて降下することで、pHが低下し酸性の雨が降ることになります。
酸性雨は、化石燃料の燃焼による大気汚染が主な原因であり、特に東アジア地域では、石炭の燃焼が顕著な硫黄分の高い排出源となっており、酸性雨の問題が深刻化しています。
酸性雨は、環境に与える影響が広範囲にわたり、湖沼の酸性化や森林の衰退など、生態系全体に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。
森林破壊
森林破壊が進むと、生物多様性の損失、土壌の流出、水源の枯渇、二酸化炭素吸収量の減少など、様々な問題が生じます。森林は地球の肺とも呼ばれ、生態系の維持に不可欠な役割を果たしています。
生物多様性の損失
森林は多種多様な生物の生息地であり、無計画な伐採が進行すると、多くの生物たちの生息環境が脅かされます。これにより、絶滅危惧種が増加し、生態系全体のバランスが崩れてしまうことがあります。
土壌の流出
森林を失うことで、土壌が流出してしまうことがあります。植物が根を張ることで土壌を保持しているが、木々がなければ雨水による土壌の流出が進むため、土地が荒廃し、農地としての価値も失われてしまうことがあります。
水源の枯渇
森林は水源を保全する役割も担っており、伐採が進むと、水源の枯渇が問題になります。森林が減少すると、水源の供給が減少し、農業や生活に影響を与えることがあります。
二酸化炭素吸収量の減少
森林は二酸化炭素を吸収し、炭素を蓄積する「炭素シンク」としての役割を担っています。森林伐採が進むと、この重要な機能が低下し、炭素吸収能力が著しく減少してしまうため、地球温暖化の加速を招きます。
生物多様性の損失
特定の生物種の絶滅や個体数の減少を意味します。生態系のバランスを保つ上で、多様な生物種の存在が重要であり、その損失は生態系サービスの低下につながります。
生物多様性の損失は、特定の生物種の絶滅や個体数の減少を指します。日本においては、開発や水質汚濁、採取・捕獲、自然遷移、外来種の侵入などが生物多様性の損失に寄与しています。
一方、生物多様性は、生態系全体の機能を支える要素であり、人間が得る恩恵も多岐にわたります。例えば、生態系は食料や水、木材や燃料などを提供し、気候変動や洪水の緩和、水の浄化、病気や害虫の抑制などを調整しています。
日本は、食料の約6割、木材の約8割、鉱物資源や化石燃料のほとんどを海外に依存しており、生物多様性に関する取組は資源戦略としても重要です。
生物多様性の損失は、直接の要因として開発や水質汚濁、採取・捕獲、自然遷移、外来種の侵入があります。間接の要因としては、制度やガバナンスの問題も含まれます。
日本の生物多様性の損失の例として、小笠原諸島の固有種においては、陸産貝類の約70%、昆虫類の約18%、維管束植物の約66%が絶滅しています。
生物多様性の保全には、長期的なモニタリングや生態調査、遺伝的多様性に関する調査が必要です。また、環境教育や体験型教育プログラムを通じて、地域住民や来訪者に対して生物多様性の重要性を伝える活動も重要です。
海洋汚染の主な原因
陸上から流入する工場排水や生活排水、漁具の投棄、海上輸送時の事故などです。プラスチックごみによる汚染も深刻化しており、マイクロプラスチックが海洋生物に与える影響が懸念されています。
海洋ごみ 主要な原因は海洋ごみであり、特に海洋プラスチックごみが深刻です。
地上で出たペットボトルやビニール袋などのプラスチックごみが海に流れ込み、海洋汚染を引き起こします。
マイクロプラスチックも深刻な問題であり、生活排水や工業排水などに含まれることがあります。
生活排水も海洋汚染の原因となります。
台所やトイレ、風呂、選択などの日常生活から出た排水が河川に流れ込み、海へ到達することがあります。
これらの排水には有機物やマイクロプラスチックが含まれており、赤潮の原因となります。
船舶の事故による油の流出や工業排水も海洋汚染の原因です。
土壌汚染
重金属や化学物質などの有害物質が土壌に蓄積することで発生します。汚染された土壌では、植物の生育阻害や食物連鎖を通じた生態系への影響が生じます。また、人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
植物の生育阻害 土壌の酸性化は、植物が根から栄養分を吸収する能力を阻害します。特にカルシウム、マグネシウム、カリウムなどの重要な栄養素の吸収が困難になります。これにより、収穫量の減少や作物品質の劣化が生じます。
食物連鎖の影響 土壌の酸性化は、水質汚染を引きおこし、水生生物に悪影響を及ぼします。酸性水は、魚類や水生昆虫、さらには水草などの生態系を構成する生物の生存に必要な条件を損なうため、食物連鎖が乱れます。これにより、環境ダイナミクスに重要な後果をもたらす恐れがあります。
人の健康への影響 水質汚染は、人間の飲料水にも影響を与えます。酸性水は、水生生物に悪影響を及ぼすため、食物連鎖が乱れることになります。これにより、人間の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
大気汚染物質の吸引
呼吸器疾患や心血管疾患のリスクを高めます。特に、微小粒子状物質(PM2.5)は肺の奥深くまで入り込み、健康に深刻な影響を与えることが知られています。
大気汚染物質には、タバコの煙や粉じんなどが含まれます。これらの物質は肺や気管支に悪影響を与え、呼吸困難や息切れの原因となります。
また、大気汚染物質は心臓の血管を狭窄させ、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患のリスクを高めます。
特に、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が動脈硬化で狭くなると、一時的に酸素不足に陥り、胸の痛みや動悸、息苦しさなどの発作が起こります。
したがって、大気汚染物質の吸引は呼吸器疾患と心血管疾患のリスクを高める重要な要因であり、健康被害を防ぐためには、大気汚染対策が重要です。
水質汚濁
富栄養化による赤潮や青潮の発生、水生生物の死滅など、生態系に大きな影響を与えます。汚染物質の蓄積は、食物連鎖を通じて高次の生物にも悪影響を及ぼします。
水質汚濁は、直接的あるいは間接的に人々の健康や生活環境の水準を低下させ、水産業などに被害を生じさせる公害の一因として用語が定義されています。特に、生活排水や産業排水による汚染が大きな問題となっています。
水質汚濁の原因には、自然現象も含まれるが、特に問題視されるのは人間が原因であり対策が可能なものである。水質汚濁は、水中の底質との関係が非常に大きな要素となっており、水質の状態を評価するには、水だけでなく底質も含めた評価が必要です。
水質汚濁の種類には、有害物質、富栄養化、熱汚染などがあり、各種の対策が必要です。生活排水処理対策が水質汚濁防止の重要な要素となっています。
有害物質
硫黄酸化物(SOx) 燃料の燃焼や工業活動によって発生し、環境大気中で他の汚染物質と共存することで人間や動植物に影響を与えます。特に、呼吸器への影響が顕著です。
水銀(Hg)有毒で、水銀の蒸気を吸入したり、皮下吸収すると全身中毒を引き起こします。水銀の可溶性塩類は猛毒で消化器官を傷害します。
砒素(As)自然水中に含まれることはまれで、鉱山廃水や工場排水などによって含有します。毒性は高く、蓄積による慢性毒性が問題となります。
富栄養化
栄養塩類 藻類や水生植物が増殖をもたらすための必要な各種元素です。富栄養化が進行すると、水質が悪化し、水生生物の生息環境が悪化します。
熱汚染
一酸化炭素(CO) 燃料の不完全燃焼によって発生し、自動車の排出ガスが都市で最大の発生源です。血中ヘモグロビンと結合して、血液の酸素輸送を阻害します。
物質汚染
ジクロロメタン 洗浄や塗料剥離剤として多岐にわたり用いられ、高濃度曝露では神経系への影響が明らかとなり、非常な高濃度吸引では精巣毒性を発揮する可能性があります。
生物汚染
大腸菌群数: 水質汚濁の指標として採用されており、高値は水質が悪化していることを示します。
放射性物質による環境汚染の代表例
チェルノブイリ原発事故や福島第一原発事故です。放射性物質は長期にわたって環境中に残留し、生態系や人の健康に深刻な影響を与えます。
チェルノブイリ原発事故
広範囲の土地汚染 チェルノブイリ原発事故は広大な土地を汚染し、数百万人に影響を与えました。
健康被害 ガンやガン以外の疾患が、チェルノブイリに起因する放射能汚染に由来する被ばくと関連づけられています。特に、汚染地域に住む住民における死亡率の高さ、出生率の低さ、若年層における甲状腺ガン発生率が高さが報告されています。
長期的な健康影響 チェルノブイリ大惨事による放射線被ばくと健康影響の発現には長い潜伏期間があるため、原発事故の被害者の継続的な観察が必要です。
福島第一原発事故
放射能汚染の継続 福島第一原発事故でも、放射能汚染が継続しており、避難者が社会的に疎外される状態が作り出され、精神衛生上の諸問題やアルコール依存症につながる可能性が心配されています。
健康被害 福島の原発に最も近い地域で乳児を持つ母親のうち、28%がうつ病の症状を示していました。放射能汚染度が低い地域では、これらの数値は有意に低い値でした。
長期的な健康影響 福島の避難者には高死亡率が観察されており、多くの精神衛生面での影響が福島の大災害に対する反応として認められていますが、原発事故のこの重大な側面はことごとく無視されています。
共通点
被害者の権利の尊重 チェルノブイリと福島の被害者は、個々人の安全に関する決定から一貫して除外されてきました。数十万もの人々が避難を余儀なくされ、帰還を断念させられています。
長期的な健康影響 両事故で、長期的な健康影響が観察されており、放射能汚染が環境中に残留し続けていることが問題となっています。
騒音公害
交通機関や工場、建設現場などから発生する騒音が、人の健康や生活環境に悪影響を及ぼす現象です。睡眠障害やストレスの増加、聴力の低下などが懸念されています。
等価騒音レベル
都市部での騒音を評価するために、等価騒音レベルを使用しています。これにより、複数の騒音源の影響を総合的に評価することができます。
曝露量反応曲線
騒音に曝露された量と住民反応の関係を示す曝露量反応曲線を作成しています。これにより、騒音の基準値設定や対策の効果を評価することができます。
複合騒音評価
複数の騒音源(道路交通騒音、鉄道騒音、工場騒音など)を総合的に評価する複合騒音評価が進められています。これにより、実際の生活環境での騒音の影響をより正確に評価することができます。
音源対策
音源対策として、線路構造物、軌道、車両の改良や障害防止対策が進められています。これにより、騒音の発生源を抑制することができます。
振動公害対策
振動公害対策として、振動発生源の抑制や振動防止工事の助成が進められています。これにより、振動が生じる騒音を低減することができます。
光害
過剰な人工光の使用により、生態系や人の健康に悪影響を与える現象です。夜行性動物の行動変化や昆虫の大量死、人の概日リズムの乱れなどが報告されています。
生態系の崩壊 夜行性生物の活動が減少し、餌探しや移動が困難になるため、生態系のバランスが崩れることがあります。
外来種の増殖 人工光が外来種の捕食量を増やすため、在来種との競争が激しくなることがあります。
ヒートアイランド現象
都市部の気温が郊外に比べて高くなる現象です。建物や舗装道路からの熱放射、エアコンの排熱などが原因とされ、熱中症リスクの増加や生態系への影響が懸念されています。
ヒートアイランド現象は、都市部の気温が郊外に比べて高くなる現象です。都市部の気温が高くなる理由として、主に以下の2点が挙げられます。
人工物による影響 高層ビルやアスファルトの道路などの人工物が熱を蓄える量が多く、日中吸収した熱がすぐに放出されず、夜間の気温が下がりにくくなります。
人間活動による排熱 人間の活動によって排出される熱が、都市部で蓄積し気温を高める要因となります。例えば、車やエアコンなどの使用によって熱が排出されます。
この現象は、都市部の気温分布図で高温の都市部を中心として島のような形で表され、「ヒートアイランド」と呼ばれています。
砂漠化
乾燥地域において土地の劣化が進み、砂漠のような状態になる現象です。過放牧や不適切な灌漑、森林伐採などが主な原因とされ、食料生産や生態系に深刻な影響を及ぼします。
砂漠化(Desertification)は、乾燥地域において気候変動や人間の活動などによる土地の劣化が進み、砂漠のような状態になる現象です。砂漠化は、乾燥地域、半乾燥地域、乾燥半湿潤地域において特に問題となっており、土地の生態系が破壊され、植物が育つことが困難になる状態に陥ります。
砂漠化 要因
気候変動 気候の変化により、乾燥地域での降水量が減少し、土地の乾燥が進みます。
人間の活動 過度な農地拡大、家畜の過放牧、インフラや鉱山開発、薪炭材の過剰採集など、持続可能でない土地管理が行われることで土地の劣化が進みます。
砂漠化は、環境、資源、保健衛生、安全保障、社会経済など多くの分野に影響を与えます。具体的には、以下のような影響が挙げられます
環境 生物多様性の喪失、地下水の減少、土壌の劣化、砂嵐の発生など。
資源 農業生産性の低下、水不足、自然資源の過剰利用による土地劣化の促進など。
保健衛生 砂嵐や干ばつによる健康問題の増加など。
安全保障 紛争や社会的混乱の原因となる可能性があります。
社会経済 貧困や食料不足、生活の糧がない人々が争いや紛争の標的となる恐れがあります。
砂漠化を防ぐために
砂漠化について知ろう 砂漠化の現状、原因、影響を理解し、砂漠化を防ぐためのアクションを考えることが重要です。
地球環境に優しい暮らしを意識する 気候変動を防ぐために、温室効果ガス削減に貢献できるアクションを取ることが重要です。
資源の効率的利用 自然資源の過剰利用を避けるために、資源の効率的利用を推進することが重要です。
外来種の侵入
在来種との競合や捕食、生息環境の変化などにより、生態系のバランスを崩す可能性があります。在来種の絶滅や生態系サービスの低下が懸念されています。
外来種の侵入の歴史と推移
1845年から2000年までの期間で、外来植物の年間新規侵入種数は、1900年までは年間5種以下だったが、1950年代後半には年間16種に達しました。
1900年から2000年までの100年間で、外来植物の累積侵入種数は64種から1,353種に急増しました。
侵入経路と種類
外来種の侵入経路は、意図的な持ち込みと非意図的な入り込みの両方があります。意図的な持ち込みによる侵入が多い一方、非意図的な入り込みによる侵入が最も多く、1991年から2000年までの平均値は年間9種でした。
侵略的外来種
日本には、生態系や人間活動に大きな影響を与える生物が多く存在します。これらの生物は「侵略的外来種」と呼ばれ、代表的な例としてマングース、グリーンアノール、アメリカザリガニ、アカミミガメなどがあります。
化学物質による環境汚染
PCBやダイオキシンなどの有害物質が生態系に蓄積し、生物の健康に悪影響を及ぼす問題です。適切な管理と規制が求められています。
化学物質の特性
ダイオキシン ポリ塩化ジベンゾパラダイオキシン(PCDDs)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)、ポリ塩化ビフェニール(PCBs)などの化合物を指します。これらの物質は環境中で分解されにくく、長期間にわたって生態系に残り、生物の体内に蓄積しやすい特徴があります。
PCB ポリ塩化ビフェニール類は、炭素原子と酸素原子、塩素原子が結びついて形成される化学構造を持ち、生物の体内に蓄積しやすく、食物連鎖を通じて濃縮されることで、最終的に人間を含む高等生物に害を及ぼす可能性があります。
環境汚染の影響
生態系への影響 環境汚染物質が野生生物に与える影響は、繁殖能力の低下、遺伝子への損傷、生態系内での食物連鎖を通じた有毒物質の蓄積など、複数の要因が組み合わせとなり、個体群の健康を脅かします。
人間の健康への影響 ダイオキシン類は、内分泌系の乱れや免疫系の機能低下を引き起こし、生殖機能への障害や糖尿病、肥満などの生活習慣病へとつながる可能性があります。また、精神的なストレスは自律神経を乱し、うつ病や不眠症などの精神健康上の問題を生じさせる可能性があります。
対策
適切な管理と規制: 産業活動や日常生活から生じる様々な物質が環境に排出されないように、適切な管理と規制が求められます。
技術革新 排出ガスの浄化システムでは、高効率のフィルター技術が開発され、細かい粒子まで捕捉する能力が向上しています。これらの技術革新は、工場や焼却炉の排出ガスからダイオキシンを除去する上で非常に重要です。
環境基準の強化 子供や高齢者は、免疫機能や体の調整機能が未発達または衰えているため、環境の変化に対する脆弱性が高いです。環境基準の強化や保健政策の推進が求められます。
将来の展望
研究と技術革新の進歩 ダイオキシン問題における科学的な研究は絶え間なく進行しており、将来的な展望は明るいと言えるでしょう。排出削減技術の普及や国際的な法規制の強化が進む中で、ダイオキシン汚染は徐々に減少すると予測されます。
埋め立て処分場からの有害物質の漏洩
土壌や地下水の汚染を引き起こします。また、メタンガスの発生による火災や爆発のリスクもあります。
埋め立て処分場の特性と問題点
安定型最終処分場の構造的問題
安定型最終処分場は、遮水機能を持たないため、周辺環境に汚染を引き起こす可能性があります。
管理型最終処分場の浸出水処理
管理型最終処分場は、浸出水を浄化する水処理施設を備えているが、遮水機能の劣化により地下環境を汚染する事例もあります。
埋立地の生物的安定化
埋立地内では、生物的作用によって廃棄物が分解されるが、メタンや二酸化炭素などの地球温暖化ガスが発生し、環境への影響が大きい。
埋立地の安定化遅延と維持管理費の増加
埋立地の安定化が遅れると、維持管理費が増加し、跡地利用が遅れることになる。
埋め立て処分場からの有害物質の漏洩の影響
土壌や地下水の汚染
埋め立て処分場から漏洩する有害物質は、土壌や地下水を汚染し、環境ホルモンやダイオキシン類などの有害物質を含む汚水が川などに流れ込む可能性があります。
食物連鎖での濃縮と複合汚染
これらの汚水が食物連鎖で濃縮され、複合汚染が起こる可能性があります。
管の閉塞とメンテナンスの必要
浸出水中のカルシウム成分が空気と混ざり合うとカルシウムスケールを形成し、送水管に付着しやすく、管の閉塞を起こすリスクがあります。メンテナンスが必要です。
原子力発電所の事故
大量の放射性物質を環境中に放出し、生態系や人の健康に深刻な影響を与えます。福島第一原発事故では、広範囲にわたる汚染と長期的な影響が懸念されています。
原子力事故の影響を受けた住民の健康をモニターするため、福島県民健康管理調査が実施されており、子供の甲状腺の集中的なスクリーニングが行われています。調査で特定された異常が事故による放射線被ばくと関連づけられる可能性は低く、自然な発生を示している可能性が最も高いと考えられます。
原子力事故の影響は、社会経済的影響も含み、インフラの再建、地域社会の再生、補償などの問題に取り組む必要があります。原子力規制委員会が設置され、新たな規制が制定され、安全機能の同時喪失を防ぐための対策が講じられています。
環境ホルモン
内分泌かく乱作用を持つ化学物質の総称です。生物の成長や繁殖に悪影響を及ぼし、生態系のバランスを乱す可能性があります。人の健康への影響も懸念されています。
環境ホルモン(Endocrine Disruptor Chemicals, EDCs)と健康の関係は、生体内でのホルモン作用を変化させる化学物質に関する問題です。環境ホルモンは、通常、ホルモンの作用を模倣、増強、抑制することで、生体内でのホルモン作用を変化させることがあります。
環境ホルモンの健康影響
環境ホルモンの健康影響は、以下の点にわたります
精 子数の減少と精 巣腫瘍の増加 先進国では、精 子数の減少と精 巣腫瘍の増加が報告されており、環境中の内分泌撹乱物質との関連が疑われています。
乳ガンの増加と子宮内膜症の増加 先進国では、乳ガンの増加と子宮内膜症の増加が報告されており、環境中の内分泌撹乱物質との関連が疑われています。
生殖異常の報告 野生生物では、様々な種で生殖・発生異常が報告されており、環境ホルモンの関与が疑われています。
免疫系の変化 環境ホルモンの暴露が免疫系に影響を与える可能性があり、免疫力の低下が報告されています。
環境ホルモンの摂取源とリスク
環境ホルモンの主な摂取源は、魚とゴミ焼却です。魚食が多く、世界のゴミ焼却場の7割が集中する日本では、ホルモン様化学物質の健康影響が大いに気になる問題です。特に、母乳を飲んでいる乳児が一番リスクが高いと考えられます。
環境ホルモンのリスク評価と対策
環境ホルモンのリスク評価は、重要かつ緊急に対処すべき課題です。特に、生殖への影響と次世代への影響は種の存続に関わる問題であり、リスク評価と対策が必要です。環境中のホルモン様化学物質の生殖・発生影響に関する研究が進められており、定量的リスク評価のための実験的研究と環境中のホルモン様化学物質のスクリーニング手法に関する研究が行われています。
食品ロス
食料生産に伴う環境負荷を無駄にするだけでなく、廃棄物処理による温室効果ガスの排出にもつながります。SDGsでも食品ロス削減が目標に掲げられています。
食料ロス(Food Loss)とは、生産から消費者手に届くまでの過程で生じる食料の無駄遣いを指します。日本国内では年間2,531万トンにも及ぶ食品廃棄物が発生し、その中での食品ロス量は年間600万トンに達します。世界では毎年約13億トンの食品ロスが発生しています。
食料ロスは環境に与える影響が大きく、以下の点に留意されています
環境破壊 食料ロスとして余った食料は、加工業者や流通業者、飲食店、家庭などから「ごみ(食品廃棄物)」として処分されます。これにより、人件費や管理費、移送費などの膨大なコストが無駄になり、天然資源も浪費されます。
温室効果ガス排出 食料ごみはゴミ処理工場に運ばれて可燃ごみとして処分されますが、水分を含むごみは運搬や焼却の際により多くのエネルギー消費を伴うため、二酸化炭素などの温室効果ガスの過剰な排出にも影響を及ぼします。国際的な気候変動に関する科学的知見の評価を行っているIPCCの報告書「Climate Change and land」によれば、2010から2016年に世界中で排出された温室効果ガスのうち、8~10%は食品ロスから出たものと推定されています。
SDGsでは、食料ロス削減が目標に掲げられています。個人や企業が意識を持って取り組むことで、地球環境を守ることが期待されています。具体的には、以下のような取り組みが推奨されています:
無駄な食品購入を避ける: 野菜や卵、お菓子などの規格外商品を選ぶことで、食品ロスを削減できます。
保存方法を把握する 購入した食品を適切に保存することで、余った食品を減らすことができます。
寄付やフードバンクを利用する 家庭や外食産業などで余った食品ロスを回収し、福祉施設などへ提供する取り組み(フードバンク)を実施しています。
これらの取り組みを通じて、食料ロスを削減し、地球環境を守ることができます。
ファストファッション
大量生産・大量消費・大量廃棄のサイクルにより、資源の枯渇や環境汚染を引き起こします。また、生産国における労働問題も指摘されています。
大量生産と大量消費
ファストファッションの低価格は、短いサイクルで大量生産を行うことで実現されています。これにより、資源の枯渇や環境汚染が増加しています。
大量廃棄
ファストファッションの商品が頻繁に更新されるため、消費者が新しい商品を購入するために、古い商品を廃棄することが多くなっています。これにより、年間の廃棄量が増加し、環境に大きな負荷を与えています。
労働問題
ファストファッションの生産過程では、劣悪な労働環境で働かされている人たちが多くいます。例えば、生産国での労働条件が不公平であり、人権が侵害されていることが指摘されています。
資源の枯渇 ファストファッションの生産には、大量の水や化学肥料が必要であり、これにより資源の枯渇が問題になっています。
大量消費社会
資源の枯渇や廃棄物の増加を引き起こし、環境に大きな負荷を与えます。持続可能な消費と生産のパターンへの転換が求められています。
資源の枯渇
資源の過剰消費や、廃棄物の排出によって生じる環境負荷は、現在の経済活動や生活環境に悪影響を及ぼすだけでなく、将来世代にも負の遺産を残すことになります。
資源の年間採取量は拡大しており、建設用鉱物が34倍、鉱石・鉱物が27倍、化石燃料が12倍、バイオマスが3.6倍増加しています。
一方で、資源の生産性は低下しており、鉄鉱石が70年、鉛が20年、銅が35年、金が20年、クロムが15年など、多くが100年を下回っており、現在の生産ペースが続くと、現在の世代に対して地下資源の安定供給が困難となる可能性があります。
廃棄物の増加
廃棄物発生量は増加しており、特にアジア地域は世界の廃棄物発生量全体の約4割を占めています。
廃棄物の処理には社会全体にコストがかかり、廃棄物が増大すると社会全体に負担がかかります。
廃棄物の処理コストの低減機会として、廃棄物の再生利用や循環型社会の推進が重要です。
環境の負荷
環境負荷は、資源の枯渇や廃棄物の増加に加えて、温室効果ガスによる気候変動も含まれます。
気候変動は、異常気象や海水面の上昇を引き起こし、農業や漁業などの産業に大きな打撃を与えます。
サーキュラーエコノミーの推進
サーキュラーエコノミーの推進により、再利用や循環型社会の推進が重要です。これにより、資源の効率的な使用と廃棄物の減少を目指すことができます。
グリーンウォッシュ
実際には環境に配慮していないにもかかわらず、環境に優しいイメージを与える企業の広報活動を指します。消費者の環境意識に便乗した悪質なマーケティング手法と言えます。
グリーンウォッシュは、企業が実際の環境への取り組みよりも環境に優しいイメージを先行させる悪質な広報活動を指します。
主なリスクは以下の通りです
企業イメージがダウンする 消費者や環境保護団体から批判や訴訟を受ける可能性がある
投資家からの信頼を損なう 実際の取り組みと発信内容に乖離があると指摘される
グリーンウォッシュを避けるためには、以下の点に留意する必要があります
環境への取り組みについて、具体的で事実に基づいた情報を発信すること
各部署が連携して環境配慮に取り組んでいることを確認すること
表現が誇大化や曖昧さを含まないよう注意すること
企業は、消費者の厳しい目線にさらされていることを認識し、実際の環境対策と発信内容の整合性を保つことが重要です。
カーボンオフセット
自身の温室効果ガス排出量を算定し、削減が困難な部分を他の場所での排出削減や吸収で相殺する仕組みです。排出量取引や植林事業などが活用されています。
カーボンオフセットとは、自身の温室効果ガス排出量を算定し、削減が困難な部分を他の場所での排出削減や吸収で相殺する仕組みです。
排出量取引や植林事業などが活用されています。排出量取引では、排出枠を購入することで排出量を相殺できます。植林事業では、植林による吸収量で排出量を相殺できます。
カーボンオフセットを活用することで、自身の排出量を実質的にゼロにすることができます。個人や企業が自主的に取り組むことが多いです。
カーボンオフセットには、排出量の算定方法や削減プロジェクトの認証など、様々な基準が設けられています。信頼性の高いオフセットを選ぶことが重要です。
カーボンオフセットは、気候変動対策の一つの手段として注目されています。排出削減と並行して取り組むことで、より効果的な温室効果ガス削減につながります。
エコツーリズム
自然環境や地域文化を守りながら、観光を通じて地域の持続可能な発展を目指す取り組みです。自然保護と地域経済の両立を図る上で重要な概念です。
自然環境の保護 観光地での自然環境の破壊を避けるために、環境保護活動を通じて自然を守り続けることを目指します。
地域文化の保存 地域の文化や歴史を保存し、観光客に伝えることで、地域の特性を守り続けることを目指します。
地域経済の活性化 観光を通じて地域経済を活性化し、地域住民の生活環境を改善することを目指します。
持続可能な観光 観光を通じて地域の持続可能な発展を目指し、環境や文化の両立を図ります。
サーキュラーエコノミー(循環経済)
資源を可能な限り循環させ、廃棄物の発生を最小化する経済モデルです。リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の3Rが基本原則とされています。
サーキュラーエコノミーは、資源を効率的に循環させることで、環境負荷を抑えながら経済発展を実現する経済モデルです。従来のリニアエコノミー(線形経済)とは異なり、資源を採取し、製品を製造・販売し、使用後に廃棄するという一方通行の経済モデルではなく、製品の設計段階から長寿命化、修理、再利用、リサイクルを考慮し、使用済み製品を新たな資源として活用します。
メリット
サーキュラーエコノミーのメリットは大きく分けて3つあります
脱炭素化・カーボンニュートラル化 サーキュラーエコノミーは、温室効果ガスの排出量を削減するために有効です。
中長期的な資源節約・コスト削減 資源を循環させることで、長期的な資源節約とコスト削減が期待できます。
新たなビジネス創出のきっかけ サーキュラーエコノミーは、新たなビジネスモデルや製品の開発を促進します。
デメリット
サーキュラーエコノミーには、短期的に見るとデメリットもあります:
コストの増加 サーキュラーエコノミーに移行するために、コストがかかることがあります。
製品の機能・デザインの制約 製品の設計段階からリサイクルや再利用を考慮する必要があるため、製品の機能やデザインに制約が生まれやすいです。
仕組み
サーキュラーエコノミーの仕組み
製造・消費・リサイクル 製造された製品を消費し、使用済みの製品をリサイクルや再利用することで、資源を循環させるサイクルを形成します。
長寿命化と修理 製品の長寿命化と修理を推進することで、廃棄物の発生を抑えます。
再生可能エネルギーの利用 再生可能エネルギーの利用を推進することで、環境負荷を削減します。
製品のサービス化 製品をサービスとして提供することで、所有からシェアリングに移行し、資源の効率的な利用を促進します。
サーキュラーエコノミーは、持続可能な社会の実現を目指し、環境と経済の両立を図る経済モデルです。
持続可能な開発目標(SDGs)
2015年に国連で採択された17のゴールと169のターゲットからなる国際目標です。貧困や飢餓、気候変動など、地球規模の課題の解決を目指しています。
17のゴール
貧困をなくそう 貧困を根絶し、経済的安定を実現する。
飢餓をゼロ 飢餓を完全に根絶し、食糧安全を確保する。
すべての人に健康と福祉を 全ての人々が健康で、福祉を受けることができる環境を整える。
質の高い教育をみんなに 高質の教育を受ける機会を全ての人々に提供する。
ジェンダー平等 ジェンダー平等を実現し、女性の権利を擁護する。
水の安全な利用 水の安全な利用を確保し、水の不足を解消する。
エネルギーのアクセスと持続可能な利用 エネルギーのアクセスを広げ、持続可能なエネルギー利用を推進する。
持続可能な都市化 持続可能な都市化を推進し、都市の発展を支える。
インフラの持続可能な開発 持続可能なインフラの開発を推進し、インフラの整備を進める。
減災と災害対策 減災と災害対策を推進し、自然災害に対応する。
持続可能な農業と森林の管理 持続可能な農業と森林の管理を推進し、農業と森林の保全を実現する。
消費者保護と環境保護 消費者保護と環境保護を推進し、環境の保全を実現する。
気候変動に対処する 気候変動に対処し、地球温暖化を抑える。
海洋の保全 海洋の保全を推進し、海洋の豊かさを守る。
生物多様性の保全 生物多様性の保全を推進し、生物の多様性を守る。
平和と公正をすべての人に 平和と公正を実現し、人権を擁護する。
パートナーシップの強化 パートナーシップを強化し、SDGsの達成を推進する。
パリ協定
2015年に採択された国際的な気候変動対策の枠組みです。世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求することを目標としています。
2015年に採択されたパリ協定は、国際的な気候変動対策の枠組みです。パリ協定は、2015年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択され、2016年に発効しました。世界共通の長期目標として、産業革命前と比べて世界の平均気温上昇を2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが定められています。
パリ協定では、各国が国が決定する貢献(NDC)として、温室効果ガス(GHG)排出削減目標と行動計画を提出し、5年ごとに更新する義務があります。日本は2030年度に2013年度比26%の水準に削減目標を確実に達成することを目指し、2050年カーボンニュートラルに向けての長期目標を掲げています。
また、パリ協定は、京都議定書の後継として、世界各国が新たな枠組みに対する約束草案を提出することを求めています。パリ協定の特徴として、196カ国全ての国が削減目標・行動をもって参加する公平な合意であり、長期目標の達成に向け、2023年以降、5年ごとに世界全体の進捗を確認するグローバルストックテイクが行われます。
再生可能エネルギー
太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然界で繰り返し生成されるエネルギー源を指します。化石燃料に代わるクリーンなエネルギーとして注目されています。
太陽光エネルギー (Solar Energy) 太陽の光を利用して電気や熱を生成します。
風力エネルギー (Wind Energy) 風のエネルギーを利用して電気や機械力を生成します。
水力エネルギー (Hydropower) 河川や湖の水流を利用して電気を生成します。
地熱エネルギー (Geothermal Energy) 地球内部の熱を利用して電気や熱を生成します。
バイオマスエネルギー (Biomass Energy) 植物や動物の有機物を燃焼や分解してエネルギーを生成します。
グリーン購入
製品やサービスを購入する際に、必要性を考慮し、環境への負荷ができるだけ小さいものを優先的に選択することを指します。消費者の意識と行動が環境配慮型の市場を形成する上で重要な役割を果たします。
環境負荷の低減 環境への負荷ができるだけ小さい製品やサービスを優先的に選択することで、環境の保全に寄与します。
環境ラベルやデータ集の活用 環境ラベルやデータ集を活用して、環境負荷の少ない製品を選ぶことが重要です。
グリーン購入法 平成13年4月から施行されたグリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)により、国や地方公共団体、事業者、国民などがグリーン購入に努めることが求められています。
環境税
環境負荷の大きい活動に対して課税することで、環境保全のインセンティブを与える経済的手法です。化石燃料への課税や炭素税などが代表例です。
国際的な状況
環境税は、世界中で導入されています。以下は、主要な国々の環境税の状況です。
フィンランドでは、エネルギー税、炭素税、電力消費税、化石燃料税、環境汚染税、予備的備蓄税などが導入されています。
スウェーデンでは、エネルギー税、炭素税、化石燃料税、硫黄税などが導入されています。
ドイツでは、エネルギー税、石油税、電力税、戦略的備蓄税などが導入されています。
イタリアでは、エネルギー税(環境要素も考慮)が導入されています。
イギリスでは、エネルギー税、気候変動税が導入されています。
排出権取引制度
温室効果ガスの排出量に上限を設け、排出枠の取引を認める制度です。排出削減コストの低い主体から高い主体への排出枠の売買を通じて、社会全体の排出削減を効率的に達成することを目的としています。
主要な特徴
キャップ(上限)政府が温室効果ガス排出総量の上限を設定し、企業に排出枠を設定します。
排出枠の取引(トレード)企業が排出枠を交換し、削減コストを低減します。
炭素価格付け 炭素の価格付けを通じて経済効率的に排出削減を促進します。
柔軟な義務履行 排出枠の取引を認めることで、企業が義務履行の手段や対策技術を柔軟に選択できます。
排出枠の設定方法
ベンチマーク方式 生産量や設備容量に基づいて排出枠を設定します。
グランドファザリン方式 過去の排出実績に応じて排出枠を設定します。
オークション方式 排出枠を競売によって配分します。
モニタリングと検証
モニタリング 排出量を正確に把握するために、企業が定められたルールに従い、モニタリングを行います。
検証 第三者機関が統一的なルールに基づいて、排出量の算定結果を検証します。
環境アセスメント
開発事業などが環境に及ぼす影響を事前に調査・予測・評価し、その結果を公表して意思決定に反映させる制度です。環境配慮を事業の早い段階から組み込むことを目的としています。
環境アセスメントの手続き
配慮書の作成と提出 環境アセスメントを始める際には、配慮書を作成し、環境省に提出します。
環境保護に関する方法の書類作成と提出: 環境アセスメントの方法を示す書類を作成し、環境省に提出します。
準備書の作成と提出 環境アセスメントの準備書を作成し、環境省に提出します。
環境への影響と対策に関する評価書の作成と提出 環境アセスメントの評価書を作成し、環境省に提出します。
事業実施後、評価報告書の作成と提出: 環境アセスメントの結果を報告する書類を作成し、環境省に提出します。
自然再生事業
過去に損なわれた自然環境を再生し、生態系の回復を図る取り組みです。干潟や藻場の再生、森林の復元などが行われています。
湿原植生や周辺の森林の保全再生 湿原や周辺の森林を保護し、生態系を回復するために取り組まれます。
蛇行河川の復元 蛇行河川の自然状態に戻すために、河川の形状や水質を改善する取り組みが行われます。
湿原への土砂流入対策 湿原に土砂が流入することを防ぐために、対策が講じられます。
干潟や藻場の生態系の回復 干潟や藻場の生態系を回復するために、生き残った動植物や植物の栄養体、埋土種子などを利用します。
自然環境の維持管理 自然環境の維持管理手法を確立し、自然再生事業を実施します。
海辺の自然環境の保全・再生・創出:干潟、海浜、藻場などの自然環境を保全し、再生し、創出するために取り組まれます。
生態系の健全性の回復 過去に失われた自然を取り戻し、生態系の健全性を回復するために取り組まれます。
生態系サービス
生態系から人間が得ている便益を指す概念です。食料や水の供給、気候の調整、レクリエーションの機会の提供など、多岐にわたります。
生態系の生産的サービス
食料生産(農業、漁業)
繁殖や飼育(畜産)
林業(森林の利用)
生態系の調整的サービス
気候調整(気候の安定)
水循環調整(水の循環)
土壌調整(土壌の保持)
生態系の支持的サービス
生物多様性(多種多様な生物の生息)
生態系の構造と機能(生態系の安定)
生態系の恢復(生態系の再生)
生態系の文化的サービス
レクリエーション(娯楽)
教育(学習)
文化的遺産(文化的価値)
破壊の原因
開発と乱獲
生息環境の破壊や汚染による生態系の損傷
鑑賞や商業利用のための乱獲や過剰な採取による種の減少・絶滅
化学物質の使用
動植物への毒性をもつ化学物質の使用による生態系の影響
地球環境の変化
気候変化による生態系の破壊、例えば氷の溶け出しや高山帯の縮小
破壊の影響
生態系サービスの減少
水質浄化サービスや気候調整サービスなどの生態系サービスの劣化
公衆衛生の問題
汚染された水質や病原菌の繁殖による疾病の増加
経済的損失
生態系サービスの喪失による経済的コストの増加
生物多様性の減少
生態系の破壊による種の絶滅リスクの増加
環境教育
環境問題に関する知識や自然への感受性を養い、持続可能な社会の担い手を育成することを目的とした教育活動です。学校教育やNPOによる自然体験プログラムなどが行われています。
環境教育の取り組み方針
体験活動 生徒が実際に環境問題に取り組む体験活動を通じて、環境に対する意識を高めることを目指します。例えば、水質測定やごみの分析を通じて、環境問題の深い理解を深めることができます。
地域との連携 地域との連携を通じて、環境教育をより効果的に展開します。例えば、農作業や環境保全活動に参加することで、生徒が環境に対する意識を高めることができます。
学習方法の工夫 環境教育の学習方法には、問題解決型の学びや参加型の学びが含まれます。学習内容は、環境問題に関する知識や自然への感受性を養うことを目的としています。
全体計画 環境教育は、学校全体での取り組みであり、全教職員が環境教育にどのように取り組むかについて共通理解を得る必要があります。全体計画には、環境教育の目標や指導方法が明確に定められます。
地域の文化や歴史の伝承 地域の文化や歴史を伝承することで、子どもたちが地域との連携を深めることができます。地域の文化や歴史を通じて、子どもたちが環境に対する意識を高めることができます。
次世代自動車
電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)など、従来のガソリン車よりも環境性能に優れた自動車を指します。CO2排出量の削減や大気汚染の改善に貢献します。
電気自動車(EV)の環境性能
EVは、ガソリン車よりもCO2排出量が少ないです。例えば、MITの研究によると、EVはガソリン車と比較して約25%のCO2排出量を削減します。
EVの製造過程でもCO2排出量が高くなるが、運行中のCO2排出量がガソリン車よりも少ないため、総合的には環境性能が高くなります。
プラグインハイブリッド車(PHV)の環境性能
PHVは、EVと比較してCO2排出量がやや高くなるが、ガソリン車よりもCO2排出量が少ないです。例えば、U.S. Department of Energyのデータによると、PHVはガソリン車と比較して約1,840lbsのCO2排出量を削減します。
燃料電池車(FCV)の環境性能
FCVは、水素を燃料として使用するため、ガソリン車よりもCO2排出量が少ないです。ただし、水素の生産過程でもCO2排出量が発生するため、総合的には環境性能が高くなるが、EVと比較してやや低いです。
電気自動車(EV)の製造過程のCO2排出量
EVの製造過程では、リチウムイオンバッテリーの製造に必要なエネルギー源が、CO2排出量を増加させる要因です。ただし、EVの運行中のCO2排出量がガソリン車よりも少ないため、総合的には環境性能が高くなります。
電気自動車(EV)の将来的な環境性能
将来、電気自動車の環境性能はさらに向上することが予想されます。特に、電力網の清潔化が進むと、EVのCO2排出量がさらに減少することが期待されます。
ゼロエミッション住宅
高断熱・高気密化や再生可能エネルギーの導入により、エネルギー消費量を最小限に抑えた住宅のことです。ライフサイクルを通じた環境負荷の低減を目指しています。
断熱性能: ゼロエミ住宅は断熱性能に優れており、屋根、天井、床の断熱性向上や外壁の断熱性能向上、高断熱ドア・窓の導入が求められます。これにより、部屋と部屋の温度差が少なく、ヒートショックを予防できます。
省エネ設備: 高効率給湯器、全室LED照明、高効率エアコンが必須であり、節湯水栓や高断熱浴槽の設置も推奨されています。これらの設備を備えることで光熱費を削減しつつ、エコで快適な住まいを実現できます。
太陽光発電: 太陽光発電システムや蓄電池の導入が推奨されており、太陽光発電を導入することで冷暖房費の3割カットが実現します。
助成制度: ゼロエミ住宅では、建物の省エネ性能に応じて3つの水準があり、最大210万円の助成金が得られます。また、太陽光発電システムや蓄電池の導入には別途助成金が用意されます。
環境対策: ゼロエミ住宅は、CO₂排出や廃棄物の削減など、総合的な環境対策に貢献しています。東京都では、ゼロエミ住宅を推進することで、2050年までに世界のCO₂排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の目標に向けて取り組んでいます。
都市鉱山
使用済みの電気・電子機器に含まれる金属資源を鉱山になぞらえた概念です。レアメタルなどの有用資源を効率的に回収することで、資源の持続可能な利用に貢献します。
日本には都市鉱山に相当する資源が大量に蓄積されており、レアメタルなどの希少金属の埋蔵量は世界有数の水準にあります。
しかし、これらの資源は小型家電などに分散して存在しており、効率的に回収・再利用するのが課題となっています。
都市鉱山から金属を回収するには、分散した資源を集めること、廃棄物から有用金属を分離・抽出すること、コストを抑えることなどの技術的な課題があります。
日本の研究機関や企業は、これらの課題に取り組み、分散した資源を効率的に回収・再生する技術の開発を進めています。
都市鉱山の活用は、限りある天然資源の持続可能な利用につながり、日本にとって重要な課題となっています。
バイオマスエネルギー
生物資源を利用して得られるエネルギーの総称です。木質バイオマスや農作物残渣、食品廃棄物などが利用されています。化石燃料の代替としての利用が期待されています。
バイオマスには、木材、農作物の残渣、家畜の排せつ物、食品廃棄物など様々な種類があり、これらを燃焼、ガス化、発酵などの方法で利用して発電や熱利用、燃料製造を行うことができます。
バイオマスエネルギーは再生可能エネルギーの1つで、燃焼時の二酸化炭素排出量と植物成長時の吸収量が概ね均衡するため、地球温暖化への影響が小さいのが大きな特徴です。また、廃棄物の活用にも寄与するなど、持続可能な社会の実現に重要な役割を果たします。
ただし、バイオマス利用には生態系への影響など課題もあり、適切な管理と技術開発が必要とされています。 バイオマスエネルギーは再生可能エネルギーの中でも重要な位置を占めており、今後の活用拡大が期待されています。
水素エネルギー
水素を燃料として利用するエネルギーシステムです。燃料電池での発電や燃料電池車の普及が進められています。利用時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーとして注目されています。
水素エネルギーは、水素を燃料として利用するエネルギーシステムです。水素は、エンジンや燃料電池を用いて燃焼や電気を生成するために利用されます。水素エネルギーは、CO2を排出しないクリーンなエネルギーとして期待されており、将来のエネルギー源としての可能性が高く評価されています。
水素は、工業的に天然ガスなどから製造されていますが、将来は再生可能エネルギーを用いて水を電気分解して水素を作る方法が開発されており、CO2の排出を最小限度に抑えることが期待されています。
日本は水素技術の先駆国であり、水素を利用した自動車(FCV)や家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」などの技術が普及しています。水素は、ニッケル水素電池やロケットの燃料にも使用されており、将来のエネルギー源としての可能性が高く評価されています。
水素エネルギーの利点として、安全に扱う技術が確立しており、漏洩防止や引火防止などの基本的な安全対策が徹底されています。また、水素は多様な資源から製造できるため、エネルギー資源の多様化と低炭素化に貢献することが期待されています。
水素エネルギーの将来的な展望としては、水素社会の実現が目指されており、水素を自動車や発電のエネルギー源として利用することで、CO2の排出を削減し、環境に優しいエネルギー源としての役割を果たすことが期待されています。
CCS(二酸化炭素回収・貯留)技術
発電所や工場などから排出されるCO2を回収し、地中や海底下に貯留する技術です。大気中へのCO2排出量を削減する上で重要な役割を果たすと期待されています。
CO2回収 火力発電所や工場などから排出されるCO2を分離・回収します。
貯留 回収されたCO2を地中や海底下に貯留します。これにより大気中のCO2の増加を防ぎ、気候変動の影響を減らすことができます。
主な取り組み
日本の取り組み
海洋調査 日本周辺でCO2貯留が可能な地点を探索しています。
弾性波探査 音波を使用して海底下の地質を調査し、貯留層の評価を行います。
実証運転 バイオマス発電所からCO2を回収し、地中貯留する実証運転を実施しています。
世界の取り組み
欧米諸国 多くのプロジェクトが計画・実施されており、CCS技術の開発が進捗しています。
メリット
気候変動防止 大気中のCO2の増加を防ぎ、気候変動の影響を減らすことができます。
カーボンニュートラル社会 将来のカーボンニュートラルな社会の実現を目指しています。
課題
コスト CCS技術の開発には莫大なコストが必要です。
法整備 現在はCCSやCCUSに特化した法令がないため、ビジネスとして民間企業が参入しにくい状況です。
将来の展望
技術の進化 分離・回収コスト、採掘・貯留コストの低減を目指し、将来の大規模輸送に向けバリューチェーン構築による輸送コストの削減も重要課題です。
法整備 将来はCCSやCCUSなどの取り組みを推進させる法律を整備することが求められています
海洋プラスチックごみ問題
海洋に流出したプラスチックごみが生態系に悪影響を及ぼす問題です。マイクロプラスチックが食物連鎖に取り込まれることによる生物への影響が懸念されています。
フードマイレージは、食料の輸送距離と輸送量を掛け合わせた指標です。輸送に伴うCO2排出量を表し、地産地消の重要性を示す概念として用いられています。
プラスチックごみの流入
海洋に流出したプラスチックごみは、海洋生物の生態系に悪影響を及ぼします。
これは、プラスチックごみが海洋生物に絡みつき、誤飲や体内に蓄積されることで、生態系を破壊します。
マイクロプラスチックの問題
マイクロプラスチックは、5mm以下の微小なサイズで、海洋生物が誤飲し、体内で蓄積することで、生態系に悪影響を及ぼします。
マイクロプラスチックは、海洋生物の体内で炎症や腸閉塞を引き起こすリスクがあります。
海洋生物の影響
プラスチックごみが海洋生物に絡みつき、泳げなくなったり、死に至る事例が増えています。
マイクロプラスチックは、海洋生物の体内に蓄積し、生態系を破壊します。
海洋の汚染
プラスチックごみは、海洋の汚染だけでなく、海に生きる生物や産業、私たちの体にまで影響を与えます。
世界の状況
世界の海に存在しているプラスチックごみは、合計で1億5,000万トンとも言われています。
その中で、年間800万トンにも及ぶ大量のプラスチックごみが、新たに海に流れ込んでいます。
解決に向けた取り組み
海洋プラスチックごみ問題に対する取り組みとして、海洋生物の保護、プラスチックごみの減少、環境保護団体への寄付などが提案されています。
都市緑化
都市部に緑地や公園を整備し、ヒートアイランド現象の緩和や生物多様性の保全、都市住民の健康増進などを図る取り組みです。
ヒートアイランド現象の緩和
地表面被覆の改善や人工排熱の低減による気温上昇の緩和
市街地形態の改善で熱がよどまらないようにする
生物多様性の保全
自然環境と共生した都市の形成を目指し、長期的な視点に立った持続可能なインフラのあり方を考える
丘陵地、河川沿いや崖線の緑、平地林などの自然資源の保全
都市住民の健康増進
緑地や公園を通じて、人々の健康や生活の質を向上させるためのインフラとしての機能を強化
都市公園や児童遊園を活用し、市民の交流や観光の場を整備
防災や景観形成
避難場所としての機能を維持し、防災拠点となる公園・緑地を整備
景観形成の機能を最大限に発揮させるために、都市公園や歴史、文化資源を活用
環境NGO
環境保全を目的とした市民団体です。環境問題に関する情報発信やキャンペーン、政策提言などを行っています。草の根の環境保全活動を担う重要な存在です。
環境NGOの活動
情報発信 環境問題に関する情報を発信し、市民の意識を高める活動を行います。
キャンペーン 環境問題に関するキャンペーンや運動を組織し、政策の改善を目指します。
政策提言 環境問題に関する政策提言を行い、政府や国際機関に対して影響を与えます。
環境NGOは、環境問題に対する取り組みを強化するために、以下のような活動を実施しています。
環境保全活動 環境の保全を目的とした活動を行い、自然環境の保護や生態系の保全を目指します。
教育活動 環境に関する教育活動を行い、市民の環境意識を高めるための活動を実施します。
国際協力 国際的な環境問題に対応するために、国際協力NGOと連携し、共同で活動を進めます。
グリーンボンド
環境問題の解決に資する事業に投資される債券です。再生可能エネルギーや省エネルギー、クリーンな交通システムなどのプロジェクトに活用されています。
調達した資金は環境改善活動にのみ使用される
発行にあたっては国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則に沿って、資金の使途、プロジェクトの評価と選定、調達資金の管理、レポーティングなどが定められている
発行主体は企業や金融機関、地方自治体など、投資家は年金基金や保険会社などの機関投資家、ESG投資に関心のある個人投資家など
債券の償還方法の違いにより、標準的グリーンボンド、グリーンレベニュー債、グリーンプロジェクト債、グリーン証券化債の4種類に分類される
環境配慮型製品のラベリング制度
製品の環境性能を評価し、ラベルを表示する制度です。エコマークやエネルギースターなどが代表例で、消費者の環境意識の向上と市場の変革を促します。
環境ラベルは、製品やサービスがライフサイクルの中で環境への負担をどのように減らすのかを示すマークです。消費者にとっては、環境に配慮した商品を購入する目印になる利点があります。一方で、事業者が自社の製品に使用することで、信頼やイメージが向上するほか、環境ラベルを導入するには、まずどの種類を取得するのかを選定し、手続きの方法を確認する必要があります。
カーボンニュートラル
排出するCO2と吸収・除去するCO2を均衡させ、正味のCO2排出量をゼロにすることを指す概念です。再生可能エネルギーの導入や森林による吸収、他の場所での排出削減などを組み合わせることで実現を目指します。
省エネ対策の実施 エネルギーを効率的に使用することでCO2排出量を削減します。
再生可能エネルギーの導入 太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーを使用して、CO2排出量を削減します。
ネガティブエミッション技術の利用 森林化やバイオマスを炭化してCO2を固定化する技術を活用します。
木質バイオマス発電の設置 バイオマスを燃焼して電力を生成し、CO2を吸収します。
カーボンオフセットの活用 CO2排出量を削減できなかった分を、森林整備や他のCO2吸収プロジェクトで相殺します。
プラスチック製品の規制
使い捨てプラスチックの使用禁止やリサイクル率の向上を目的とした法規制です。海洋プラスチック汚染の防止や循環型社会の構築に向けた重要な施策と位置づけられています。代替素材としては、生分解性プラスチックや紙、バイオマス由来のプラスチックなどが開発されています。
プラスチックの生産及び輸出の規制 「非工業由来の廃プラスチック」が位置付けられ、輸入禁止措置が実施されています。中国への輸出量が減少した結果、東南アジア諸国がその受け皿となり、タイ、ベトナム、マレーシア等への輸出量が増大しています。
食品ロス削減
食品ロス削減に向けては、商慣習の見直しや賞味期限の延長、フードバンクの活用など、多様な取り組みが進められています。家庭でも、計画的な買い物や適切な保存、料理の工夫などを通じて、食品ロスの削減に貢献することができます。
習の見直し
納品期限の緩和 食品関連事業者が納品期限を賞味期限「1/2まで」に緩和することで、食品ロスを減らす取り組み。
賞味期限の延長 食品の賞味期限を延長することで、食品ロスを減らす取り組み。
年月表示化 食品の賞味期限を明確に表示することで、消費者が適切な食材を選択できるようにする取り組み。
フードバンクの活用
フードシェアリングアプリ 店舗などの売れ残りや余剰品を消費者に提供することで、食品ロスを減らす取り組み。
消費者教育
家庭での食品ロス削減 家庭での食べ残しや食材の傷みを減らすために、料理レシピサービスや啓発用リーフレットを提供する取り組み。
政府の取り組み
食品ロス削減推進法 食品ロスを削減するための法制化と、政府が行っている11の取り組みを通じて、食品ロスを減らすための総合的な推進を図る取り組み。
環境負荷の少ない交通システム
公共交通機関の利用促進、自転車利用の推進、カーシェアリングの普及などが挙げられます。また、交通需要マネジメント(TDM)の考え方に基づき、混雑料金の導入や時差通勤の推進なども行われています。
公共交通機関の利用促進
公共交通サービスエリアの拡大やサービスレベルの向上を通じて、総合的な公共交通の利便性を向上させる取り組みを行います。
例えば、港区コミュニティバス「ちぃばす」や台場シャトルバス「お台場レインボーバス」の利用促進に取り組みます。
自転車利用の推進
自転車や次世代モビリティなど、公共交通を補完する二次交通を充実させることで、マイカーへの依存を軽減し公共交通の利便性を高める効果が期待できます。
カーシェアリングの普及
マイカーからカーシェアリングに乗り換えることで、無駄な自動車利用が減り環境にやさしい移動手段(公共交通や徒歩・自転車)へのシフトが進むため、二酸化炭素排出量の削減効果が期待できます。
カーシェアリングの普及促進策について検討し、さらなる普及拡大を図っていきます。
グリーンIT
情報通信技術(ICT)の活用により、環境負荷の低減を図る取り組みです。データセンターの省エネルギー化や、ペーパーレス化、テレワークの推進などが行われています。また、ICTを活用した環境モニタリングや最適化にも活用されています。
ITの省エネ化(情報システムそのものの環境負荷低減)
IT機器の消費電力の抑制 電源装置の効率化、使用電力の制御、サーバーの稼働率の抑制など
IT機器の冷却効率の向上 ラック冷却の局所化、データセンターの温度監視・口調の最適化など
PCやネットワーク部分の消費電力の抑制 省電力プロフェッサーの搭載、使用時以外の時間帯の消費電力量削減など
ITによる省エネ化(情報システムによる環境負荷低減)
IT技術による電気機器の省エネ化 照明のLED化、家電の省エネ化など
IT技術による産業用燃焼機器の省エネ化 高性能ボイラー、給湯器の省エネ化など
IoTやセンサーを活用したオフィスビルや住宅の省エネ化:センサーによる建物内の電力利用の最適化など
サプライチェーンマネジメントによる流通の効率化 ICタグを利用した精緻なサプライチェーン管理など
ITによる省エネ情報の普及・認知促進 エネルギー消費量の可視化を通じた事業者の省エネ管理徹底など
環境負荷の見える化
製品やサービスのライフサイクルを通じた環境負荷を定量的に評価し、分かりやすく示す取り組みです。カーボンフットプリントやウォーターフットプリントなどの指標が用いられ、消費者の環境配慮行動を促進する役割を果たします。
メリット
消費者の環境配慮行動の促進 環境負荷の見える化により、消費者は環境配慮に基づく購入判断を下すことができます。これにより、環境に配慮した製品やサービスの需要が高まり、環境負荷の削減が促進されます。
サプライチェーンの可視化 環境負荷の見える化は、サプライチェーン全体の環境負荷を把握し、各企業が環境負荷を削減するための具体的な取り組みを促します。
環境意識の向上 環境負荷の見える化により、消費者が環境意識を持つことが促進されます。これにより、環境に配慮した製品やサービスの需要が高まり、環境負荷の削減が促進されます。
デメリット
データの収集と算定の難しさ 環境負荷の見える化には、サプライチェーン内の各企業の環境負荷データの収集と算定が必要ですが、これは困難な課題です。
信頼性の問題 環境負荷の見える化には、信頼性の高いデータと算定方法が必要ですが、現在はこれらの問題が存在します。
グリーンウォッシュの防止 環境負荷の見える化には、グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)を防ぐためのルールが整備される必要があります。
生物多様性オフセット
開発事業による生態系への影響を最小限に抑え、残る影響を他の場所での保全活動で相殺する仕組みです。生態系の損失を最小化し、ノーネットロス(正味ゼロ)またはネットゲイン(正味プラス)を目指します。
生物多様性オフセット(Biodiversity Offset)とは、開発事業によって生態系に与える影響を最小限に抑え、残る影響を他の場所での保全活動で相殺する仕組みです。この手法は、開発事業が生態系に与える悪影響を低減し、同時に生物多様性の保全を推進することを目的としています。
生物多様性オフセットの基本的な考え方
影響の低減 開発事業によって生態系に与える悪影響を最小限に抑えるために、適切な環境保全措置を実施します。
残存影響の相殺 開発事業によって生態系に残存する悪影響を、他の場所での保全活動で相殺します。これにより、生物多様性の保全が推進されます。
この手法は、環境影響評価法に基づく基本的事項においても規定されています。具体的には、環境保全措置の検討において、環境への影響を回避し、又は低減することを優先し、必要に応じて代償措置の検討が行われる旨が規定されています。
また、企業が生物多様性に影響を及ぼす可能性のある活動を評価し、生物多様性の優先課題を特定するために、企業レベルの生物多様性戦略計画を策定することが重要です。この計画には、企業が生物多様性に影響を及ぼす可能性のある活動の範囲全域で生物多様性の優先課題を評価し、目標、目的、指標を設定することが含まれます。
水循環の保全
水の適切な利用と管理を通じて、健全な水循環を維持する取り組みです。森林の保全や水田の活用、雨水の利用などを通じて、地下水の涵養や水質の維持、生態系の保全を図ります。
持続可能な地下水の保全と利用
地下水汚染や塩水化の防止と回復を目指し、地域の実情に応じた地下水マネジメントを推進します。
地下水の利用を推進し、水資源の有効利用を図ります。
雨水の利用と浸透対策
雨水を水洗トイレ用水や散水等に利用する取り組みを推進しています。
降雨をできるだけ地下に浸透させることで、豪雨による浸水被害を軽減し、地下水の涵養や湧水の復活を促進します。
水資源の有効利用
下水処理水の再利用拡大を目指し、再生水としての活用を進めています。
雨水の利用や再生水の活用を推進し、水資源の有効利用を図ります。
河川環境の保全
河川環境や関係河川使用者の水利用に必要な河川流量の確保や水質事故の対策を実施しています。
河川の水質保全に努め、水道水源である公共用水域の水質を守り続けます。
下水道の整備と管理
地方公共団体において、下水道施設の整備と管理を効率化するための支援を行っています。
下水道の経営健全化を目指し、使用料収入を増やすための取組みを進めています。
土壌汚染対策法
土壌汚染の状況の把握や対策の実施を定めた法律です。特定有害物質による汚染が確認された場合、汚染の除去や拡散防止などの措置が求められます。
土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況を把握し、土壌汚染による人々の健康被害を防止するために、調査や対策の実施を定めた法律です。この法律は、特定有害物質による土壌汚染の状況を把握し、健康被害のおそれのある土地に対して適切な対策を講じることを目的としています。
土壌汚染対策法
調査の義務
土壌汚染の状況を把握するために、特定有害物質を製造、使用、又は処理する施設の廃止や土地の形質の変更が行われた場合に調査が義務付けられます。
土壌汚染の状況を把握するために、土地の所有者が必要な届出を提出し、土壌汚染の調査を依頼し、その調査結果を都道府県知事に報告する義務が生じます。
指定区域の指定
土壌汚染の状況が基準を超えている場合、都道府県知事は健康被害のおそれの有無に応じて、要措置区域又は形質変更時要届出区域に指定します。
対策の実施
健康被害のおそれのある要措置区域では、都道府県知事は、土地の所有者に対して、人の健康被害を防止するために必要な限度において、汚染の除去等の措置を指示します。
指定支援法人
土壌汚染対策法に基づく指定支援法人として、特定の法人や機関が指定され、土壌汚染対策の支援を行います。
環境報告書
企業の環境保全活動の状況や成果を取りまとめた報告書です。環境マネジメントの方針や目標、具体的な取り組み内容などが記載され、利害関係者とのコミュニケーションツールとして活用されます。
環境マネジメントの方針や目標
環境マネジメントの方針や目標を明確に示すことで、環境保全の方向性を示し、将来の取組の指針を提供します。
具体的な取り組み内容
環境報告書には、具体的な環境保全活動の内容や成果を記載することが重要です。これにより、環境保全の進捗状況を明確に示し、将来の取組の方向性を示します。
ステークホルダーとのコミュニケーション
環境報告書は、ステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーションの重要なツールです。企業が環境保全についての姿勢や取り組みを公表することで、理解を深め、社会的な信用を得ることができます。
環境コミュニケーションの重要性
環境報告書は、環境コミュニケーションの重要なツールであり、外部の利害関係者が企業の環境保全についてどのように考え、どのように対応しているのかを知ることができます。
環境報告書の受け手と利害関係者
環境報告書の受け手は、様々な人々で、企業の環境保全についての情報を求めているため、環境報告書の内容と形式を適切に設定することが重要です。
環境報告書の対象範囲と公表媒体
環境報告書の対象範囲と公表媒体を適切に設定することで、適切な情報を適切な人々に提供し、環境保全の進捗状況を明確に示すことができます。
グリーン調達
企業等が製品やサービスを調達する際に、環境負荷の少ないものを優先的に選択する取り組みです。サプライチェーン全体での環境配慮を促進する上で重要な役割を果たします。
グリーン調達の基準は、業界や各企業の特性によって異なりますが、一般的には以下のような要素を含みます
バリューチェーンマネジメント:納入先が認識している環境問題と主な環境への取り組みを明確化します。
環境方針等 企業の環境理念、環境方針、行動指針等を明確化し、サプライヤーがグリーン調達を適切に対応できるようにします。
グリーン調達の考慮方針 グリーン調達の取組方針と適用範囲を明確化し、適切な運用を可能にします。
具体的な要求項目 環境経営の評価チェックリストや社会項目などを明確化し、サプライヤーの環境経営状況を評価します。
グリーン調達を導入する際には
グリーン調達の基準作成 どのような基準でグリーン調達を行うのかを明確にします。
サプライヤー選定 基準に沿ったサプライヤーを選定し、取引を行います。
環境評価 サプライヤーの環境経営状況を定期的に評価し、認定の見直しを行います。
海洋酸性化
大気中のCO2が海水に吸収されることで、海水のpHが低下する現象です。海洋生態系に大きな影響を及ぼし、特に、炭酸カルシウムの殻を持つ生物への悪影響が懸念されています。
原因
海洋酸性化の主な原因は、化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出です。これにより、大気中の二酸化炭素濃度が上昇し、海水がそれを吸収するため、海水中の炭酸水素イオンの濃度が増加し、pH値が下がります。
影響
海洋酸性化は、海洋生物にとって深刻な影響を与えます。特に、カルシウムを含む殻や骨格を持つ生物、例えばサンゴや貝類、一部のプランクトンなどが直接影響を受けます。これらの生物は、海水中の炭酸カルシウムを利用して殻や骨格を形成しますが、海洋酸性化によりこのプロセスが阻害され、成長や生存に必要な構造を作り出す能力が低下します。
影響範囲
海洋酸性化の影響は、海洋生態系全体に及びます。サンゴ礁の衰退は、魚類を含む多くの海洋生物の生息地を失わせ、生物多様性の低下を招きます。また、プランクトンは魚類の主要な食料源であり、その減少は海洋における魚類資源の減少に直結します。
対策
海洋酸性化を防ぐための最も効果的な方法は、二酸化炭素の排出量を削減することです。これには、再生可能エネルギーへの移行、エネルギー効率の向上、森林破壊の阻止、新しい食生活への移行などといった気候変動対策が含まれます。また、炭素吸収源としての海や森林の保全も重要です。個人レベルでは、低炭素生活を心がけ、公共交通の利用、エネルギー使用の効率化、再生可能エネルギー源を利用することなどを通じて、二酸化炭素排出量の削減に貢献できます。
資源ナショナリズム
自国の資源を自国の利益のために管理・利用しようとする動きを指します。資源輸出国による資源の囲い込みや、輸入国による資源確保競争などの形で表れ、資源の効率的な利用や環境保全の取り組みに影を落とすことが懸念されています。
自国や地域の経済発展 自国の資源を高付加価値化し、経済発展を促すために、鉱石などの原料輸出規制やローカルコンテントの義務化、輸出税の設定などが行われます。
鉱業からの歳入拡大 鉱業からの歳入は、国内で大きな災害が発生した際の復興財源や、鉱業活動が盛んな地域経済の発展に使われます。鉱業特別税や鉱業ロイヤルティの引き上げ、超過利潤税の導入などが挙げられます。
資源権益の拡大 世界での自国の立ち位置強化を目的に、国が権益を拡大させる。鉱山の国有化、外資の制限、政府や公社による権益取得や権益比率の引き上げなどが挙げられます。
気候正義
気候変動の影響や対策の負担が公平に分配されるべきという考え方です。先進国と途上国の間の衡平性や、世代間の公平性などが論点となります。
経済先進国や富裕層の持続可能でない行動が環境負荷を生み出し、その影響が開発途上国や経済弱者に及んでいるのは不公平であり、これを是正すべきという主張
気候変動による災害や健康被害などが貧困層やマイノリティなどの社会的弱者に集中的に現れるのは公平ではないという主張
気候変動対策の費用負担や利益の分配を公平にすることが重要
気候変動への対応には、地球規模の視点と人権的な視点が必要
気候変動の影響を最も受けている地域の声を反映し、将来世代の利益も考慮することが重要
環境移民
気候変動や環境破壊によって生活基盤を失い、移住を余儀なくされる人々を指します。国際的な保護の枠組みの構築や、移民受入国における支援体制の整備などが課題となっています。
バングラデシュの海面上昇による移住
バングラデシュは2050年までに国土の17%が水没し、2千万人が住まいを失う恐れがあると予測されています。
パキスタンの洪水による移住
2022年にパキスタン全土の3分の1を水没させた洪水は、気候変動の影響であると明らかです。
シリアの干ばつによる移住
シリア内戦は、気候変動による干ばつが農村から都市への人口流入を引き起こしたと考えられています。
キリバスやツバルの島嶼国の海面上昇による移住
キリバスやツバルなどの島嶼国は、地球温暖化による海面上昇により国土のかなりの部分で住めなくなる可能性が高いです。
ニュージーランドでの気候難民受け入れの議論
ニュージーランドでは、南太平洋の島嶼国からの気候難民受け入れの議論が始まっています。
先住民族の伝統的知識
長年にわたって培われてきた自然との共生の知恵です。生物多様性の保全や気候変動への適応などに活用できる可能性があり、先住民族の権利保護と知識の活用の両立が求められています。
先住民族の権利保護
先住民族の権利保護は、生物多様性の保全や気候変動への適応などに活用できる可能性があります。
インフォームド・コンセント 先住民族のインフォームド・コンセントを事前に取得することが重要です。これにより、先住民族の知識が気候変動に対処するための技術製品やプロセスに利用される際に、彼らの関心を保護することができます。
伝統的知識の文書化と利益の共有 先住民族の伝統的知識を文書化し、気候変動に対処するための技術製品やプロセスに利用される際に、彼らの利益を共有することが重要です。これにより、先住民族が気候変動に対処するための技術製品やプロセスに参加し、彼らの権利を守ることができます。
先住民族のコミュニティとの積極的な関与 気候変動に対処するための計画と実施に先住民族のコミュニティとの積極的な関与が不可欠です。これにより、先住民族の生活と経験の持続可能性を確保し、彼らの権利を守ることができます。
国際協定の遵守 国際協定である生物多様性条約(CBD)やパリ協定(UNFCCC)において、先住民族の権利を尊重し、彼らの関与を促進することが重要です。これにより、先住民族が気候変動に対処するための技術製品やプロセスに参加し、彼らの権利を守ることができます。
環境に配慮した観光(サステナブルツーリズム)
観光による環境負荷を最小限に抑え、地域の自然や文化を保全しながら、持続可能な観光開発を目指す取り組みです。エコツーリズムやグリーンツーリズムなどの形態があります。
実現することで期待される経済効果
観光収入の増加 自然や文化を活かした魅力的な観光商品により、旅行者1人当たりの消費額の上昇や長期滞在を促進し、観光収入が増える。
雇用創出 エコツアーや体験型観光の需要拡大により、観光関連分野での新たな雇用が生み出される。
他産業への波及効果 観光と農林水産業などの連携による、地産地消型の着地型観光が推進される。観光収益が地元に還元されることで、他の産業への経済波及効果が見込まれる。
持続可能な地域経済の実現
環境の保全 観光による環境破壊を抑え、自然資源を守りながら経済活動ができる。
地域文化の継承 地域文化の継承と観光収益の還元により、地域社会の持続的発展が期待できる。
シェアリングエコノミー
モノやサービスを共有する経済モデルです。カーシェアリングや民泊などが代表例で、資源の効率的な利用につながる一方、安全性や労働者保護などの課題もあります。
メリット
必要なものを必要な分だけ利用できる 例えば、シェアサイクリングを利用すると、自転車を購入することなく、使いたいときに利用できます。
低コストでサービスの利用が可能 シェアリングエコノミーの比較的低コストで、サービスが利用可能な点は、とても魅力的です。
個人の信用の可視化 シェアリングエコノミーでは、「相互で評価(レビュー)をする」仕組みやシステムを構築したサービスが増え、個人の信用を可視化する取り組みが進んでいます。
デメリット
新しいサービスの中には法律や制度等のルールが整っていないものがある点: そのため、知らず知らずの内にルール上グレーなサービスを利用しているかもしれません。
代表的なサービス
カーシェアリング 自家用車を共有するサービスです。
民泊 一般の人が空き部屋を提供するサービスです。
レンタルスペース 空きスペースを共有するサービスです。
フリーマーケット 中古品の購入や売却を通じて、個人間で取引するサービスです。
スキルシェア 個人同士でスキルや知識を共有するサービスです。
クレジットカードの利用
クレジットカードでの決済が多く利用されています そのため、クレジットカードの所有がおすすめです。
環境に優しい建築(グリーンビルディング)
省エネルギーや再生可能エネルギーの利用、水の効率的な利用、緑化の推進などを通じて、建物の環境性能を高める取り組みです。建築物の環境性能を評価する認証制度も普及しています。
主な特徴
省エネルギー技術の利用
省エネルギー照明や断熱材、空調システムを採用してエネルギー消費を削減します。
再生可能エネルギーの利用
再生可能エネルギー源を取り入れて、温室効果ガス排出を減らします。
水の効率的な利用
雨水利用、雑排水のリサイクル、低流量配管設備などを導入して水の消費を抑えます。
緑化の推進
建物周辺の緑化や植物園の整備を通じて、生物多様性を保つ環境を創出します。
持続可能な資材の選択
生産、輸送、廃棄の過程で環境への影響が少ない持続可能な素材を優先的に使用します。
室内環境の向上
低VOC材料の使用、効果的な換気、空気ろ過システムの導入などを通じて、健康的な室内環境を確保します。
コベネフィット・アプローチ
ある目的のための取り組みが、他の目的にも好影響をもたらすことを重視するアプローチです。例えば、気候変動対策と大気汚染対策を同時に進めることで、相乗効果を得ることができます。
生態系サービスへの支払い 生態系サービス(例えば、サンゴ礁やマングローブ湿地による沿岸域のインフラの保護)に対する支払いを導入することで、生物多様性の保全と気候変動緩和の両方に貢献します。
農業やエネルギー分野での環境保全 環境保全にそぐわない補助金を排除し、自然資源に対する適切な価値評価を政策に組み入れることで、生物多様性と気候変動緩和の両方に貢献します。
森林の減少・劣化による排出の削減(REDD)REDDや他の土地利用管理の活動は、生物多様性と気候変動緩和の両方に貢献し、温室効果ガス排出を削減します。
持続可能な農業経営 持続可能な農業経営(例えば、低耕起農法やアグロフォレストリー)を推進することで、既存の炭素ストックを維持し増加させる可能性があり、生物多様性の保全と持続可能な利用につながります。
プラネタリーバウンダリー
地球システムの安定性を維持するための境界線(閾値)を示す概念です。気候変動や生物多様性の損失、窒素・リンの循環などについて、科学的に設定されています。
プラネタリーバウンダリーは、以下の10項目に分けられています
気候変動
海洋の酸性化
新規化学物質
窒素
リン
淡水の利用
土地の改変
生物多様性の損失
大気汚染
オゾン層の破壊
これらの項目は、地球環境が許容できる限界を示し、人間活動がこれらの限界を超えると地球の生態系が崩壊する可能性があることを示しています。
プラネタリーバウンダリーは、2009年にストックホルム大学のスティーブン・ロックストローム教授らによって提唱され、2022年には新たに化学物質が追加され、10項目となった。
これらの境界線を超えることで、地球環境が大きな変化を経験し、将来の地球は生命の豊かな場所であり続けることが困難になる可能性があります。したがって、プラネタリーバウンダリーを理解し、環境に配慮した活動を通じて、持続可能な地球を実現することが重要です。
海洋保護区
海洋の生態系や資源を保全するために指定される区域です。漁業規制や船舶の航行規制などが行われ、海洋環境の保全や持続可能な利用に役立てられています。
海洋保護区(Marine Protected Area, MPA)は、海の生態系や資源を保全するために指定される区域です。漁業における乱獲や生態系の破壊などによって絶滅が危惧されている海洋生物の保護や、魚類の繁殖地などの地形の保全を目的として設けられます。
海洋保護区は、環境や生態系サービスの利用の特徴などを踏まえて、適切な場所や範囲に設置することが重要です。生態系サービスとは、魚や貝などの食料の供給、レジャーやレクリエーションの機会、気候の調整など、生態系がもたらすあらゆる恵みを指します。
日本では、海洋保護区に該当すると思われる海域の指定が古くから様々な方法で行われてきました。例えば、環境省が海の保護と利用を目的に設けている海域公園地区や、漁業協同組合が独自に定めている禁漁区や禁漁期も海洋保護区の一部です。
海洋保護区のネットワークを形成させることで、個々の保護区が全体として生物多様性や生態系の保全を効果的に発揮していくことが推進されています。既存の保護区においても、自然再生の取組や里海の取組を行うなど、管理を充実させていくことが重要です。
また、海洋保護区には、保護水面や鳥獣保護区など、様々な種類が存在します。保護水面は水産資源保護法に基づき、私たちが利用する水産動植物の保護培養が目的とされていて、都道府県知事または農林水産大臣が水産動植物の増殖に適している水面を指定します。
森林認証制度
持続可能な森林経営を促進するための制度です。一定の基準を満たした森林や木材製品に認証ラベルを付与することで、消費者の選択を通じた持続可能な林業の普及を目指します。
一定の基準を満たした森林や木材製品に認証ラベルを付与することで、消費者の選択を通じて持続可能な林業の普及を目指す
認証された森林から生産された木材は、加工・流通過程で適切に分別管理される(CoC認証)ことで、最終製品までの「管理の連鎖」が確保される
認証材の利用拡大のため、公共建築物への活用や地域の合意形成、補助金の活用などの取り組みが行われている
認証制度には、SGEC(緑の循環認証会議)やFSC、PEFCなど、様々な制度が存在し、それぞれ基準が異なる
つまり、森林認証制度は、持続可能な森林管理と木材利用を促進し、環境保全と地域経済の活性化に寄与することを目的としている制度といえます。
バーチャルウォーター
製品の生産に必要な水の量を表す概念です。水の多寡による地域間の不均衡を考慮した水資源管理の重要性を示唆しています。
農業用水が全体の水使用量の約7割を占めるため、食料の輸入は自国の水資源を節約する手段になる
バーチャルウォーターの概念は1993年にロンドン大学のジョン・アンソニー・アラン教授によって提唱された
バーチャルウォーターは間接的な水の存在なので、個人レベルでの節水は難しく、長期的な視点から輸入という枠組みで取り組む必要がある
バーチャルウォーターの概念は、水資源の少ない国々が食料を輸入することで自国の水資源を節約できることを説明するために利用された
バーチャルウォーターとウォーターフットプリントは対象範囲と測定方法が異なる
エコシステムアプローチ
生態系の構造と機能、そこから得られる恵みを総合的に管理する考え方です。セクター横断的な連携や、順応的な管理などが重要とされています。
生態系の機能活用
生態系が持つ多様な機能を活用して、自然災害に対する防災減災を実現することを目指します。
グリーンインフラ
グリーンインフラを通じて、自然環境の持つ多様な機能を活用し、効果的な社会資本整備や土地利用を目指します。
生態系保全と防災減災
生態系の保全と防災減災を統合的に実施することで、自然災害に対するリスクを低減します。
国際的な協力
国際的な協力体制を通じて、生態系の保全と防災減災に関するグローバルな取り組みを推進します。
多様なアプローチ
ハード、ソフト、生態系を活用した施策の適切なベストミックスを推進し、各国や地域の特性に応じたアプローチを模索します。
自然資本
自然環境から得られる資源やサービスを資本としてとらえる概念です。自然資本の価値を適切に評価し、意思決定に反映させることが求められています。
自然資本の評価 自然資本の評価は、生態系の機能やサービスの向上を目指し、生態系の保全や生物多様性の維持を通じて、将来の社会的共通資本の形成に寄与します。具体的には、自然資本の再生産率を高めることで、将来の社会的共通資本の形成を支援します。
自然資本の再生産 自然資本の再生産には、自然資本の再生産率を高めることで、将来の社会的共通資本の形成を支援します。具体的には、生態系の保全や生物多様性の維持を通じて、自然資本の再生産を実現します。
インセンティブの設計 自然資本の再生産を支援するために、インセンティブの設計が重要です。具体的には、自然資本への影響の定量化、自然資本の再生産への貢献をした団体・人への報酬付与の仕組み、自然資本の再生産に貢献する人口を増やすための社会措置の構築が必要です。
炭素固定におけるストックとフローの評価 炭素固定におけるストックとフローの評価は、炭素の吸収量と放出量を合算した収支を示すことで、自然資本の評価を支援します。具体的には、生態系の保全や生物多様性の維持を通じて、炭素の吸収を促進します。
社会的共通資本の形成 自然資本は、社会的共通資本の形成に寄与します。具体的には、将来の社会的共通資本の形成を支援するために、自然資本の再生産を通じて、社会的共通資本の形成を支援します。
環境DNA分析
環境中に存在するDNAを分析することで、生物の存在や生態系の状況を把握する手法です。従来の調査手法では困難だった生物のモニタリングなどに活用されています。
環境DNA分析の特徴
直接捕獲なし 環境DNA分析は、生物を直接捕獲する必要がなく、水中や土壌中からDNAを抽出して分析します。これにより、捕獲調査の時間や労力が削減されます。
網羅的検出 環境DNA分析は、水中の多種の生物を網羅的に検出することができます。これにより、生物の分布や生態系の状況をより詳細に把握することができます。
反映距離の制限 環境DNAは、分解や劣化が進むため、反映距離は数百メートル程度と見積もられています。これにより、調査対象の生物がどこにいたのかを特定することが困難です。
環境DNA分析の活用例
淡水魚類調査 環境DNA分析は、淡水魚類の分布情報を把握するために有効です。これにより、魚類の生息地や生態系の状況をより詳細に把握することができます。
外来種対策 環境DNA分析は、外来種の早期発見や生息地の確認に役立ちます。これにより、防除対策をより効果的に実施することができます。
環境DNA分析の注意点
サンプリングの重要性 環境DNA分析では、サンプリングの工程が非常に重要です。サンプルに混入したDNAが誤って検出されることがあります。
分析結果の解釈 環境DNA分析の結果は、分析方法やサンプリング方法によって異なるため、結果の解釈には注意が必要です。
環境DNA分析の進展
MiFish法 環境DNA分析の進展として、MiFish法が開発されています。この方法は、水中の多種の魚類を網羅的に検出することができます。
環境DNA分析の将来
生物多様性保全 環境DNA分析は、生物多様性保全のために有効な手法です。これにより、生物の分布や生態系の状況をより詳細に把握し、保全策をより効果的に実施することができます。
グリーンインフラ
自然環境が有する多様な機能を活用したインフラ整備の考え方です。生態系を活かした防災・減災や、都市環境の改善などに役立てられています。
メリット
パラダイムシフト グリーンインフラは、経済成長に一辺倒ではなく、自然豊かな環境で健康的な暮らしができる社会を目指す価値観の変革を促します。
安心・安全な暮らし 自然を活用することで、災害リスクを低減し、安心・安全な暮らしを実現します。
緑や水を生かした都市空間の形成 グリーンインフラを活用することで、緑や水を生かした都市空間を形成し、住民の生活環境を改善します。
課題
コスト論 グリーンインフラの投資額や維持管理費用が高くなることがあります。
気候変動に対する影響 気候変動に伴う影響を避けるために、適切な計画と実施が必要です。
支援制度
グリーンインフラ支援制度集 国土交通省・農林水産省・環境省が2022年に公表した資料で、各種補助金や助成金、研究開発の資金などを提供しています。
グリーンインフラ活用型都市構築支援事業: 官民連携・分野横断で、緑や水を生かした都市空間の形成を支援しています。
対比
グレーインフラ コンクリートなどで作られたインフラを「グレーインフラ」と呼び、強固かつ規格化が可能で、災害復旧の現場などで迅速に効果を発揮します。
国際的な動向
欧米で発案された社会資本整備手法 グリーンインフラは、欧米で発案された社会資本整備手法を基に、自然環境の多様な機能を活用したインフラ整備を目指します。
対策
災害リスクの低減 災害リスクの高い場所に住まない選択や、緩衝帯となる樹木や自然地形を利用する対策を実施します。
事例
棚田の保全活動 土砂の流出を防ぐために棚田を保全する活動が行われています。
雨水貯留・浸透プロジェクト 京都市の四条堀川交差点に雨庭(あめにわ)が整備され、水質浄化や修景機能を持っています。
環境価値取引
環境保全活動によって生み出される環境価値を取引する仕組みです。森林の二酸化炭素吸収量や生物多様性の価値などを取引し、環境保全活動を促進することができます。
環境価値とは、再生可能エネルギーの発電などによって生み出される、二酸化炭素を排出しないという環境への貢献分のことを指します。
企業は、グリーン電力証書、J-クレジット、非化石証書などの環境価値証書を購入することで、自社の環境配慮を示すことができます。
環境価値証書の購入は、企業の省エネ法や温対法への対応、CDP・RE100などの国際イニシアチブへの参加にも活用できます。
環境価値証書の購入により、企業は環境に配慮していることを外部にアピールでき、ESG投資家や顧客からの評価を得られるようになります。
一方で、証書・クレジットの購入は企業の任意の量を取り入れられるため、利便性が高いのが特徴です。
生物遺伝資源の利用と利益配分
名古屋議定書が国際的なルールを定めています。遺伝資源の提供国と利用国の間での公正かつ衡平な利益配分が求められています。
提供国の義務
提供国は、国内法や行政措置に基づいて遺伝資源の利用を規制し、事前の情報提供やPIC(Prior Informed Consent)を求めることが義務付けられています。
提供国は、ABSクリアリング・ハウスに情報を提供することも義務付けられています。
利用国の義務
利用国は、提供国の国内法や行政措置に基づいて遺伝資源を取得し、事前の情報提供やPICを求めることが義務付けられています。
利用国は、最低1カ所のチェックポイントを設置し、遺伝資源のモニタリングを行うことが義務付けられています。
利益配分
名古屋議定書は、公正かつ衡平な利益配分を原則としていますが、具体的な配分方法は各国の国内法や個々の契約で決められます。
ABSクリアリング・ハウス
ABSクリアリング・ハウスは、遺伝資源の利用に関する情報を集積し、提供国と利用国の間での公正かつ衡平な利益配分を支援します。
環境リスク評価
環境中の化学物質などによる生態系や人の健康への影響を評価する手法です。リスクの同定や特性評価、影響評価などの過程を経て、管理方策の検討に活用されます。
環境リスク評価の手順
リスク評価の対象の選択
環境リスク評価の対象とする化学物質を選択します。これには、化学物質の有害性や排出量、環境中での分布などを考慮します。
有害性評価
選択された化学物質の有害性を評価します。これには、化学物質がもたらす可能性のある有害な影響(毒性)を把握し、影響を受ける対象に「有害な影響を示さない量」を推定します。
評価基準値の設定
有害性評価で求めた「有害な影響を示さない量」から、リスク評価を実施するための「評価基準値」を設定します。これには、環境基準値などが設定されている物質については、これらを評価基準値とします。
リスク評価の実施
選択された化学物質が環境中でどのように分布し、どのような影響を与えるかを評価します。これには、化学物質が環境中でどのように分布し、どのような影響を与えるかを把握し、リスクを評価します。
リスクコミュニケーション
環境リスク評価の結果を、関係者とのリスクコミュニケーションに活用します。これにより、化学物質の環境リスク評価による効率的な化学物質管理やリスクコミュニケーションの促進が期待できます。
グリーンケミストリー
化学物質の設計・製造・使用・廃棄の全過程で、環境負荷の低減を目指す化学の考え方です。有害物質の削減や、再生可能資源の利用などを通じて、持続可能な化学産業の実現を目指します。
防止 廃棄物の生成を防ぐために、設計や工程を最適化する。
アトムエコノミー 化学物質の使用を最小限に抑え、効率的な合成法を設計する。
安全性の高い化学物質のデザイン 化学物質の設計をして、毒性や環境への影響を最小限に抑える。
安全性の高い溶媒と補助剤の使用 溶媒や補助剤を使用する際には、安全性を考慮し、環境に与える影響を最小限に抑える。
エネルギー効率を考慮したデザイン 化学プロセスにおけるエネルギー効率を高めることで、環境と経済に及ぼす影響を最小限にする。
再生物質の利用 技術的に可能な場合は、再生物質を原材料や材料として使用する。
化学修飾の低減 不必要な化学修飾を最小限に抑えるか、回避する。
触媒反応の利用 触媒を使用して、試薬の使用を最小限に抑える。
生分解を取り入れたデザイン 化学物質を生分解可能な物質として設計する。
汚染防止のリアルタイム分析 リアルタイムで分析し、有害物質の管理を行う。
事故防止のために安全性の高い化学物質を最初から選択する 化学物質の選択をして、事故の発生を最小限に抑える。
環境負荷の低減を目指す設計 化学物質の設計をして、環境負荷を最小限に抑える。
環境に配慮した物流(グリーンロジスティクス)
輸送の効率化や、モーダルシフト(輸送手段の転換)、再生可能エネルギーの利用などを通じて、物流における環境負荷の低減を図る取り組みです。
輸送の効率化
積載率向上 積載率を向上させることで、輸送距離を短縮し、燃費を改善します。
環境負荷の少ない輸送手段使用: 環境に優しい輸送手段を選択し、燃費の改善や低公害車の導入を推進します。
無理な走行依頼の削減 運送スケジュールの見直しや、受注締め時間の調整を通じて、無理な走行依頼を削減します。
モーダルシフト
鉄道コンテナ輸送枠の確保 鉄道輸送を活用し、輸送効率を向上させます。
輸送品質、リードタイム等の確保 輸送品質とリードタイムを確保し、輸送効率を向上させます。
輸送距離等を考慮した拠点配置の検討 拠点配置を再検討し、輸送距離を短縮します。
再生可能エネルギーの利用
エコドライブ管理機器の導入 環境に優しい運転を支援するエコドライブ管理機器を導入します。
クリーンエネルギー自動車の導入 燃費の改善や低公害車の導入を推進します。
その他
環境委員会や環境部門の設置 環境に関する方針や計画を策定し、環境対策を推進します。
社員教育(人材育成) 環境に対する意識の向上と、環境対策の実践を目的とした教育を実施します。
環境負荷の把握: 環境負荷を把握し、低減策を実施します。
バイオミミクリー
自然界の優れた仕組みを模倣して、持続可能な技術やデザインを生み出す考え方です。生物多様性の保全と、イノベーションの創出の両立を目指します。
自然界に存在する形状、プロセス、生態系から学び、それらを注意深く模倣することで、より持続可能なデザインやイノベーションを生み出す。
単に人間の便利さを追求するのではなく、人間が自然界の一部であり、自然界にいかにフィットしていくかを考えることが重要。
38億年もの長い年月をかけて最適化された自然の仕組みを取り入れることで、地球環境への負荷が少ない持続可能な解決策を生み出せる可能性がある。
建築分野では、動植物の要素を取り入れたデザインや、バイオベースの材料の活用など、さまざまな応用例がある。
環境パフォーマンス指標
企業等の環境保全活動の成果を定量的に評価するための指標です。エネルギー消費量やCO2排出量、廃棄物発生量などが用いられ、環境マネジメントシステムの運用や情報開示に活用されます。
環境パフォーマンス指標の重要性
環境パフォーマンス指標は、企業が環境問題に対応し、持続可能な成長を実現するために不可欠です。これらの指標を通じて、企業は環境影響を定量的に理解し、環境保全活動の効果を測定することができます。これにより、環境リスクの管理、リソースの効率的な使用、コスト削減など、多くの利点が得られます。また、環境パフォーマンスの透明性を高めることで、消費者や投資家からの信頼を獲得し、企業の社会的責任(CSR)活動を強化することが可能となります。
環境パフォーマンス指標の種類とカテゴリー
環境パフォーマンス指標は、エネルギー効率、水資源の使用、廃棄物管理、温室効果ガス排出量など、企業活動が環境に与える直接的な影響を測定する指標があります。これらの指標は、具体的な環境保全活動の成果を評価するために用いられます。また、製品ライフサイクル評価(LCA)に基づく指標や、企業の環境管理体制の成熟度を評価するための指標も存在します。これらの指標は、国際的な基準や業界固有のガイドラインに基づいて設定されることが多く、企業が自身の環境パフォーマンスを業界内外の他の組織と比較するための基盤を提供します。
環境パフォーマンス指標の算定方法
環境パフォーマンス指標の算定方法には、まず関連する環境データの収集が含まれます。収集されたデータを基に、特定の算定式やモデルを用いて指標を算出します。この過程では、国際的な基準や業界固有のガイドラインに従うことが一般的です。算定された指標は、企業が環境目標に対する進捗を評価し、環境管理戦略を改善するための基礎となります。
環境パフォーマンス指標の起源
環境パフォーマンス指標の起源は、1970年代の環境保護運動に遡ります。この時期、多くの国で環境保護に関する法律が制定され、企業に対して環境への影響を考慮した運営が求められるようになりました。これを受けて、企業は自身の環境影響を評価し、公表する必要に迫られ、環境パフォーマンス指標の初期形態が生まれました。以来、環境パフォーマンス指標はより複雑で多様な環境パフォーマンスの側面をカバーするように進化しています。
グリーンファイナンス
環境問題の解決に資する事業に対する投融資を促進する金融手法の総称です。グリーンボンドやESG投資などが含まれ、持続可能な社会の実現に向けた重要な資金メカニズムとして注目されています。
グリーンファイナンスは、環境問題の解決に資する事業に対する投融資を促進する金融手法の総称です。これには、グリーンボンドなどの環境改善効果の高いプロジェクトに特化した債券や融資が含まれます。グリーンファイナンスは、環境面での目標を達成するために必要な資金を提供し、環境改善効果を実現するために重要な役割を果たします。
ネガティブエミッション技術
大気中のCO2を直接回収・除去する技術です。大規模な植林や、バイオマスエネルギーの利用とCCS(BECCS)の組み合わせなどが検討されています。
大気中CO2の直接回収:
DAC(Direct Air Capture)大気中のCO2を直接吸収し、化学物質や吸着材を用いて分離・回収する技術です。
DACCS(Direct Air Capture and Carbon Capture and Storage)DACとCCSを組み合わせた技術で、CO2を直接吸収し、貯留することでネガティブエミッションを実現します。
バイオマスエネルギーの利用とCCS(BECCS)
BECCS(Bio-Energy with Carbon Capture and Storage)バイオマスエネルギーの燃焼で発生したCO2を回収し、貯留する技術です。バイオマス発電とCCSを組み合わせることで、ネガティブエミッションを実現します。
風化促進
風化促進技術 風化促進玄武岩などの岩石を粉砕・散布し、風化を促進することでCO2を吸収する技術です。
プラスチック・スマートキャンペーン
プラスチック汚染問題の解決に向けた国民運動です。ワンウェイプラスチックの使用削減や、分別回収の徹底、クリーン活動への参加などを通じて、国民がプラスチック汚染問題の解決に貢献することを目指しています。
プラスチック・スマートキャンペーンは、環境省が推進する国民運動で、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、海洋プラスチック汚染の実態を正しく理解し、不必要なワンウェイのプラスチックの使用削減や代替品の開発・利用を推進するための取り組みです。
このキャンペーンでは、様々な啓発活動が行われています。例えば、市のマスコットキャラクター「こにゅうどうくん」があしらわれた大人用と子ども用のゴム手袋とマスクを配布し、参加賞として当日配布したり、生分解性プラスチックを25%配合した専用のごみ袋を用意しています。これらの活動は、国民の意識を高めるために行われ、プラスチックごみ問題に対する理解と行動の改善を目指しています。
環境に配慮した農業(サステナブル農業)
生態系への負荷を最小限に抑えながら、持続的な食料生産を実現する農業の形態です。有機農業や統合的病害虫管理(IPM)などの手法が用いられています。
生態系への負荷の最小化
環境に配慮した農業は、生態系の保全と生物多様性の維持を重視します。例えば、化学農薬や化学肥料の使用を減らすことで、水質や土壌の汚染を防ぎ、生態系の平衡を維持します。
有機農業
有機農業は、自然の生態系を尊重し、化学農薬や化学肥料の使用を避けることで、生態系の保全と生物多様性の維持を目指します。
統合的病害虫管理(IPM)
IPMは、病害虫の管理を複数の方法で行うことで、化学農薬の使用を減らすことを目指します。これにより、生態系の平衡を維持し、生物多様性を保つことができます。
スマート農業と自動運転
スマート農業や農業機械の自動運転を活用することで、効率的な食料生産を実現し、温室効果ガス排出量を減らすことができます。
データ連携とAI活用
食料生産から消費までのフードバリューチェーンのデータ連携を構築し、AIを活用して自動管理システムを提供することで、需要に応じた生産と販売を行い、フードロスを減らすことができます。
持続可能な食料システム
持続可能な食料システムは、生物多様性の維持、気候変動に対する適応、水・廃棄物問題に対する対応などを含み、持続可能な農業を実現します。
グリーン公共調達
政府や自治体などの公共機関が、物品やサービスを調達する際に、環境負荷の少ないものを優先的に選択する取り組みです。環境配慮型製品の市場形成を促進する効果が期待されています。
公共機関が、価格や品質だけでなく、環境への影響も考慮して調達を行う
「グリーン購入法」に基づき、国や地方自治体が環境物品等の調達を推進している
環境配慮型製品の開発・普及を促し、持続可能な社会の実現を目指す
公共機関の率先した取り組みにより、民間企業や一般消費者のグリーン購入を後押しする
環境に配慮した包装(サステナブルパッケージ)
包装材の削減や再生可能資源の利用、リサイクル性の向上などを通じて、包装に伴う環境負荷の低減を図る取り組みです。プラスチック問題への対応としても重要性が高まっています。
包装材の削減
コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、製造にともない発生する廃棄物の分別とリサイクルを推進し、ゼロエミッションを目指しています。
再生可能資源の利用
コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、コーヒーかす(リサイクル率100%)と茶かす(リサイクル率100%)を、肥料や飼料として再資源化しています。
リサイクル性の向上
東海工場では、コーヒーかすと茶かすの有効活用に関する研究を進めています。
環境配慮設計
日本政府は、環境配慮設計を推進することで、プラスチック製容器包装の市場投入や分別を進め、リサイクル率の向上を目指しています。
グリーンICT
情報通信技術(ICT)の活用により、社会全体の環境負荷低減を図る取り組みです。スマートグリッドや、ICTを活用したエネルギーマネジメントシステムなどが含まれます。
IT機器のグリーン化
IT機器の消費電力の抑制(電源装置の効率化、使用電力の制御等)
IT機器の冷却効率の向上(ラック冷却の局所化、データセンター等の温度監視・口調の最適化等)
サーバーの稼働率の抑制(仮想技術によるサーバー・ストレージの台数削減、サーバー構成部品自体の削減等)
PC(ディスプレイ・筐体)の消費電力の抑制(省電力プロフェッサーの搭載、使用時以外の時間帯の消費電力量削減等)
ネットワーク部分の消費電力の抑制(ルーター、リピータ、スイッチ、ハブ回線等の省エネ等)
IT機器によるグリーン化
IT技術による電気機器の省エネ化(照明のLED化、家電(エアコン、冷蔵庫)等の省エネ)
IT技術による産業用燃焼機器等の省エネ化(高性能ボイラー、給湯器等の省エネ)
IT技術による自動車等輸送機器の省エネ化(クリーンエネルギー自動車、自動車の燃費改善等)
IoTやセンサー等によるオフィスビル、住宅の省エネ化(センサー等による建物内の電力利用の最適化)
サプライチェーンマネジメントによる流通の効率化(ICタグ等を利用した精緻なサプライチェーン管理)
IT/インターネットを利用した業務の効率化(テレワーク、在宅勤務、テレビ会議、ペーパーレス、電子流通等)
ITによる省エネ情報の普及・認知促進(エネルギー消費量の可視化を通じた事業者の省エネ管理徹底、インターネット等による省エネの啓蒙普及による効果)
環境と経済の好循環(グリーン成長)
環境保全と経済成長を同時に達成する発展モデルです。環境規制の強化が技術革新を促し、新たな市場を生み出すといった、ポジティブなフィードバックループの形成を目指します。
環境保全と高付加価値化
炭素生産性の向上 炭素投入量を減らすことで、少ないCO₂排出量で高い付加価値を生み出すことが重要です。これにより、グリーンプロジェクトが推進され、環境改善効果がもたらされます。
グリーンボンドの普及 グリーンボンドは、環境問題に対処するための金融機関が発行する債券です。これにより、環境保全対策に資金が供給され、投資家が環境に優しい投資機会を提供することができます。
地域資金を活用した地域経済循環
地域資源の活用 地域の自然資源を活用し、観光客を誘致して国内消費の拡大や旅行収支の改善を目指します。
環境創造型農業 環境に優しい農法を用いて生産された農産物を販売し、環境保全と生産性の向上を両立しています。
資源生産性の向上
資源効率性政策 資源の効率的な使用を目指し、気候変動対策と合わせて、2050年における世界の天然資源採掘量を削減することを目指します。
バイオプラスチック
再生可能な生物由来の原料を使用したプラスチックの総称です。バイオマスプラスチックや生分解性プラスチックなどが含まれ、脱石油・脱炭素社会の実現に向けた重要な素材として注目されています。
バイオマスプラスチック(非生分解性)
バイオマスプラスチックは、植物などの再生可能な有機資源を原料として製造されます。原料にはサトウキビやトウモロコシなどの糖や油脂が含まれ、発酵法や化学合成法で樹脂を合成します。バイオマスプラスチックは、化石資源由来のプラスチックに代わる環境にやさしい素材として注目されています。特徴として、短いサイクルで再生産することができ、リサイクル調和性が高く、既存の製品製造にそのまま使用することができます。
生分解性プラスチック(生分解性)
生分解性プラスチックは、微生物などにより最終的に水と二酸化炭素に分解されるプラスチックです。原料には化石資源由来のナフサも含まれ、バイオマスプラスチックと同様の製法で製造されます。生分解性プラスチックは、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、自然環境中に流出する用途については生分解性機能を有することが望ましいとされています。
バイオプラスチックの普及
バイオプラスチックは、世界中の企業や消費者から注目されており、環境負荷が低い素材として普及が始まっています。バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックには、原料や機能に大きな違いがありますが、共通点として環境にやさしい素材としての存在意義が高まっています。
気候変動への適応
気候変動の影響に対して社会や生態系を調整することを指します。防災・減災対策や、熱中症対策、農作物の品種改良などが行われています。
生物多様性の保全と持続可能な利用に貢献する。生態系を活用した適応策は、経済、社会両面で有効であり、人口減少化の中で日本の適応及び国土強靭化を果たすために極めて重要な取組である。
気候変動の影響が少ない地域の特定と優先的な保全、気候変動以外のストレス(開発、環境汚染、過剰利用、外来種等)の低減、移動・分散経路の確保、生態系ネットワークの形成などの施策が重要。
気候変動の影響を評価するためのモニタリングの拡充、気候変動予測や影響評価に関する研究と技術開発の推進が必要。
生態系の変化により生物多様性の損失や生態系サービスの低下が生じる可能性がある一方で、新たな生物多様性や生態系サービスが生じる可能性もあるため、柔軟な対応が求められる。
生態系を活用した適応策の実施に当たっては、生物多様性への影響を最小化し、正の影響を最大化することが重要。
環境金融
環境問題の解決に向けた投融資を行う金融手法の総称です。環境リスクの評価や、環境ビジネスへの投資など、幅広い取り組みが含まれます。
グリーン預金(Green Savings)世界の環境問題対策事業に資金運用の用途を限定した預金です。銀行などの金融機関は、集まった資金を再生可能エネルギー、省エネルギー、温室効果ガス削減、環境汚染防止、緑化事業などに融資します。
環境格付融資(Environmental Rating Investment)日本政策投資銀行(DBJ)が提唱する金融手法で、企業の環境経営への取り組みを評価し、優れた企業に資金を融資します。この取り組みは、企業の環境への取り組みをサポートし、持続可能な社会の構築を目指す企業が注目されることを目指します。
グリーン雇用
環境保全に関連する分野における雇用を指します。再生可能エネルギー産業や、環境コンサルティングなどの分野で、雇用創出が期待されています。
グリーン雇用(Green Job)とは、環境保護や資源の持続可能な管理に貢献する職業を指します。これには、再生可能エネルギー、エネルギー効率の向上、廃棄物の減少、自然保護、環境保全技術の開発など、多岐にわたる分野が含まれます。グリーンジョブは、地球温暖化の進行を遅らせ、環境破壊を防ぐための重要な役割を担っており、経済の緑化を促進し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献します。
生物多様性の主流化
生物多様性の保全を社会経済活動に組み込んでいくことを指します。各セクターの政策や事業計画への生物多様性配慮の組み込みなどが行われています。
生物多様性の社会への主流化
生物多様性に関する情報を、国、地方自治体、事業者、NPO・NGO、国民などのさまざまな主体に広く認識させることで、生物多様性の保全と持続可能な利用を促進します。
「いきものログ」という調査・研究を通じて、生物多様性に関する情報を収集し、生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性を広く認識させることを目指します。
生物多様性への直接的な圧力の減少と持続可能な利用の促進
生物多様性に影響を与える直接的な圧力(例えば、開発計画や資源の乱用)を減らすことで、生物多様性を保全します。
生物多様性を利用しながら、持続可能な開発を推進します。例えば、林業や漁業においては、環境保全と資源の使い尽くさぬよう配慮して生産する商品を選ぶことが重要です。
生態系、種及び遺伝子の多様性の保全と生物多様性の保全
生態系や生物多様性を保全するために、保護区の設立や開発計画の調整を行います。
生物多様性を利用しながら、持続可能な開発を推進します。例えば、FSCや海洋管理協議会が提唱するラベルを貼った商品を選ぶことで、生物多様性を保全することができます。
環境と社会に配慮した投資(ESG投資)
企業の環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みを評価し、投資の意思決定に反映する手法です。長期的な企業価値の向上と、持続可能な社会の実現の両立を目指します。ESG投資の規模は年々拡大しており、機関投資家を中心に普及が進んでいます。一方で、ESG評価の基準や方法論については、まだ確立途上の部分もあり、グリーンウォッシュ(実態を伴わない環境配慮の主張)への懸念なども指摘されています。
ESGではなくてESDとは何ですか?
ESD(Education for Sustainable Development)とは、「持続可能な開発のための教育」を意味する概念です。持続可能な社会の実現に向けて、環境、経済、社会の諸課題について理解を深め、課題解決に必要な知識、技能、態度、価値観を身につけることを目的としています。
ESDは、1992年の地球サミットで「アジェンダ21」が採択されたことを契機に、国際的な広がりを見せました。2002年のヨハネスブルグ・サミットでは、「国連持続可能な開発のための教育の10年」(UNDESD)が提唱され、2005年から2014年までの10年間、世界各国でESDの取り組みが推進されました。
ESDでは、環境教育、開発教育、平和教育、人権教育、多文化教育など、様々な分野の教育を総合的に扱います。それぞれの分野が密接に関連し合っていることを理解し、複雑な地球規模の課題に対して多角的なアプローチを取ることが重視されます。
例えば、環境問題を考える際には、自然環境の保護だけでなく、貧困や不平等、紛争といった社会的な問題にも目を向ける必要があります。ESDでは、こうした問題の背景にある構造的な要因を理解し、持続可能な社会の実現に向けて、自分にできることは何かを考えることが求められます。
また、ESDでは、知識の習得だけでなく、批判的思考力や問題解決能力、コミュニケーション能力などの育成も重視されます。体験的な学習や参加型の学習を通じて、学習者が主体的に課題に取り組み、他者と協力しながら解決策を探ることが大切だと考えられています。
日本でも、ユネスコスクールを中心にESDの取り組みが進められてきました。ユネスコスクールとは、ユネスコ憲章に示された理念を実現するため、国際理解教育、環境教育、ESDなどに先進的に取り組む学校のグローバルなネットワークのことです。日本では、2020年時点で1,163校のユネスコスクールが加盟しており、ESDの実践や情報交換が活発に行われています。
例えば、ある小学校では、地域の川の水質調査を通じて環境問題について学ぶ取り組みを行っています。子どもたちは、川の水を採取し、生物の観察や水質検査を行います。そして、川の汚染の原因や、自分たちにできる対策について話し合います。こうした体験的な学習を通じて、子どもたちは環境問題を自分事として捉え、持続可能な社会づくりに参画する意欲を高めていくのです。
ESDは、持続可能な社会の担い手を育成するための重要なアプローチだと言えます。地球規模の課題が複雑化する中で、自分の役割を自覚し、他者と協力しながら課題解決に取り組む力を身につけることが求められています。ESDを通じて、こうした力を育むことが、よりよい未来を築くための鍵となるでしょう。
ただし、ESDの実践には課題もあります。例えば、ESDの概念が広範で分かりにくいことや、学校現場に十分に浸透していないことなどが指摘されています。また、知識の習得に偏らず、実践的な能力の育成につなげていくことも重要な課題だと言えます。
こうした課題を踏まえつつ、学校教育や社会教育の様々な場面でESDを推進していくことが大切です。そのためには、教員の研修機会の充実や、地域社会との連携強化、先進的な取り組み事例の共有などが求められます。ESDを通じて、持続可能な社会の担い手として成長していくことが期待されています。
サステナビリティとは何ですか?
サステナビリティとは、「持続可能性」を意味する概念です。環境、経済、社会の3つの側面から、将来にわたって持続可能な発展を目指すことを指します。つまり、現在の世代の需要を満たしつつ、未来の世代が自らの需要を満たす能力を損なわないようにすることが、サステナビリティの基本的な考え方だと言えます。
サステナビリティの概念は、1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会」(ブルントラント委員会)が発表した報告書「Our Common Future」の中で提唱されました。この報告書では、「持続可能な開発」(Sustainable Development)が、「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすような開発」と定義されています。
サステナビリティを考える上では、環境、経済、社会の3つの側面を総合的に捉えることが重要です。これを「トリプルボトムライン」(Triple Bottom Line)と呼びます。企業経営においても、財務的な利益だけでなく、環境への配慮や社会的責任を重視することが求められるようになってきました。
例えば、環境面では、再生可能エネルギーの導入、省エネルギーの推進、廃棄物の削減などが、サステナビリティの実現に向けた取り組みだと言えます。経済面では、持続可能な生産と消費のパターンを確立することが重要です。社会面では、貧困の撲滅、教育の充実、ジェンダー平等の実現などが、サステナブルな社会づくりの鍵を握ります。
国連は、2015年に「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)を採択しました。SDGsは、2030年までに達成すべき17のゴールと169のターゲットから構成されています。貧困や飢餓の撲滅、気候変動への対策、海洋資源の保全など、様々な分野の目標が設定されており、全世界で取り組みが進められています。
日本でも、SDGsの達成に向けた様々な取り組みが行われています。例えば、企業では、再生可能エネルギーの導入や、フェアトレード商品の販売、ダイバーシティの推進などが進められています。自治体レベルでは、SDGsの理念を反映した環境基本計画の策定や、ESDの推進などが行われています。
ただし、サステナビリティの実現には、様々な課題があることも事実です。例えば、環境保全と経済発展のバランスをどう取るか、先進国と途上国の責任をどう分担するか、といった問題があります。また、サステナビリティの概念が広範で分かりにくいことや、具体的な行動に結びつきにくいことも指摘されています。
こうした課題を踏まえつつ、サステナビリティの理念を社会の隅々まで浸透させていくことが重要です。そのためには、教育や啓発活動を通じて、意識を高めていくことが不可欠です。また、様々なステークホルダーが連携し、ベストプラクティスを共有しながら、具体的な取り組みを進めていくことも求められます。
CSRとは何ですか?
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、「企業の社会的責任」を意味する概念です。企業が利益追求だけでなく、環境保護や社会貢献など、社会の持続可能性に配慮した経営を行うことを指します。つまり、企業は社会の一員として、ステークホルダー(利害関係者)に対する責任を果たすべきだという考え方が、CSRの基本的な理念だと言えます。
CSRの概念は、1950年代にアメリカで提唱されました。当初は、企業の社会的責任を果たすことが、長期的な企業価値の向上につながるという「啓発された自己利益」(enlightened self-interest)の考え方が主流でした。その後、1970年代以降は、企業には社会的責任を果たす義務があるという考え方が強まり、CSRは企業経営における重要な要素として位置づけられるようになりました。
CSRの具体的な取り組みは多岐にわたります。例えば、環境面では、温室効果ガスの削減、再生可能エネルギーの導入、廃棄物の削減などが挙げられます。社会面では、労働者の権利の尊重、ダイバーシティの推進、地域社会への貢献などが重要な課題です。また、企業統治(コーポレート・ガバナンス)の強化や、サプライチェーン全体でのCSRの推進なども求められています。
日本でも、多くの企業がCSRに積極的に取り組んでいます。例えば、環境対策では、太陽光発電の導入や、省エネ製品の開発などが進められています。社会貢献活動としては、教育支援や災害復興支援、国際協力などが行われています。また、CSR報告書の発行や、ステークホルダーとの対話を通じて、CSR活動の情報開示にも力を入れる企業が増えています。
CSRは、企業にとってリスク管理の観点からも重要な取り組みだと言えます。例えば、環境汚染や人権侵害などの問題が発生すれば、企業のレピュテーションが大きく損なわれ、ブランド価値の低下や売上の減少につながりかねません。CSRへの取り組みは、こうしたリスクを未然に防ぐための重要な投資だと考えられます。
また、CSRは、企業の競争力の源泉にもなり得ます。CSRに積極的に取り組む企業は、優秀な人材の確保や、ステークホルダーからの信頼の獲得につながります。また、イノベーションの促進や、新たなビジネス機会の創出にもつながる可能性があります。例えば、環境配慮型の製品開発や、BOP(Base of the Pyramid)ビジネスの展開などは、CSRと経済的利益の両立を目指す戦略だと言えるでしょう。
ただし、CSRの取り組みには課題もあります。例えば、CSRの評価指標が明確でないことや、短期的な利益との両立が難しいことなどが指摘されています。また、CSRの理念が企業全体に浸透していない場合や、実効性のある取り組みにつながっていない場合もあります。
こうした課題を踏まえつつ、CSRの理念を企業経営の中核に据えていくことが重要です。そのためには、トップのリーダーシップはもちろん、全社的な意識改革や体制整備が不可欠です。また、ステークホルダーとの建設的な対話を通じて、CSRの取り組みを進化させていくことも求められます。
CSRは、企業が持続可能な社会の実現に貢献するための重要な戦略だと言えます。社会の期待に応え、社会との共生を図りながら、長期的な企業価値の向上を目指していくことが、これからの企業経営に求められています。私たちも、消費者や投資家としての選択を通じて、CSRに積極的に取り組む企業を応援していくことが大切だと言えるでしょう。
以上が、環境問題に関する100の用語とその解説です。
環境問題は、地球規模の課題であり、解決には、国際的な協調と、各主体の主体的な取り組みが不可欠です。
環境問題は、経済や社会の在り方と密接に関わっており、トレードオフの関係にある課題も少なくありません。
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