環境破壊をしている化学物質100個すべて解説してみた 合計4万文字レポート

環境を破壊している化学物質を100個挙げてすべて解説します。

まずは1行解説で簡単にまとめます

二酸化炭素(CO2)温室効果ガスの一つであり、地球温暖化の主要因。
メタン(CH4)二酸化炭素に次ぐ温室効果ガス。
亜酸化窒素(N2O)強力な温室効果ガスの一つ。
オゾン(O3)対流圏では汚染物質、成層圏では有害紫外線を防ぐ。
塩化フルオロカーボン(CFC) オゾン層を破壊する物質。
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC) オゾン層破壊物質のCFCの代替物質。
六フッ化硫黄(SF6) 強力な温室効果ガス。
一酸化炭素(CO) 不完全燃焼により生成される有害ガス。
窒素酸化物(NOx) 酸性雨や光化学スモッグの原因物質。
硫黄酸化物(SOx) 酸性雨の原因物質。
揮発性有機化合物(VOC) 光化学スモッグの原因物質。
ベンゼン 発がん性のある有害な芳香族炭化水素。
トルエン 神経毒性のある芳香族炭化水素。
キシレン 神経毒性のある芳香族炭化水素。
ホルムアルデヒド 発がん性のあるVOC。
多環芳香族炭化水素(PAH) 発がん性のある有機化合物群。
ダイオキシン類 極めて毒性の高い残留性有機汚染物質(POPs)。
ポリ塩化ビフェニル(PCB) 残留性と生物蓄積性のある有害な化学物質。
残留性有機汚染物質(POPs) 環境中に長期間残留し、生物に蓄積する有害化学物質群。
放射性物質(例 ウラン、プルトニウム) 原子力発電所事故などによる環境汚染の原因。
重金属類(例 水銀、鉛、カドミウム) 生物濃縮により食物連鎖を通じて蓄積。
プラスチック(例 ポリエチレン、ポリプロピレン) 海洋汚染や生態系への悪影響。
マイクロプラスチック プラスチックが環境中で微細化したもの。
ビスフェノールA(BPA) プラスチック製品に使用される内分泌かく乱化学物質。
フタル酸エステル類 プラスチック製品の可塑剤として使用される内分泌かく乱化学物質。
多臭素化ジフェニルエーテル(PBDE) 難燃剤として使用される残留性有機汚染物質。
過フッ素化合物(PFAS) 撥水・撥油性を持つ有害な化学物質群。
パーフルオロオクタン酸(PFOA) PFASの一種で、発がん性や生殖毒性が懸念される。
パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS) PFASの一種で、残留性と生物蓄積性が高い。
農薬(例 DDT、グリホサート) 生態系への悪影響や食品残留の問題。
除草剤(例 アトラジン、パラコート) 土壌や水質汚染の原因。
殺虫剤(例 ネオニコチノイド系殺虫剤) ミツバチなどの送粉昆虫への悪影響。
合成ピレスロイド系殺虫剤 水生生物への毒性が高い。
有機リン系殺虫剤 人体への神経毒性が懸念される。
カーバメート系殺虫剤 人体への神経毒性が懸念される。
有機塩素系殺虫剤 残留性と生物蓄積性が高い。
銅 高濃度では水生生物に毒性がある。
亜鉛 高濃度では水生生物に毒性がある。
ニッケル 発がん性や皮膚アレルギーの原因となる。
ヒ素 発がん性や神経毒性がある。
アンチモン 高濃度では生物に有害。
ベリリウム 発がん性や慢性毒性がある。
タリウム 神経毒性や発がん性が懸念される。
セレン 高濃度では生物に有害。
トリブチルスズ(TBT) 船底塗料などに使用され、環境ホルモンとして知られる。
有機スズ化合物 環境ホルモンとしての作用が懸念される。
ノニルフェノール 環境ホルモンの一種。
オクチルフェノール 環境ホルモンの一種。
トリクロロエチレン 発がん性のある有機塩素化合物。
テトラクロロエチレン 発がん性のある有機塩素化合物。
塩化ビニルモノマー 発がん性のあるVOC。
アクリロニトリル 発がん性のある有機化合物。
1,4-ジオキサン 発がん性のあるエーテル化合物。
アスベスト 発がん性のある天然の繊維状鉱物。
ポリ塩化ターフェニル(PCT) PCBと同様の毒性を持つ残留性有機汚染物質。
短鎖塩素化パラフィン(SCCP) 残留性と生物蓄積性のある有害物質。
ヘキサクロロベンゼン(HCB) 残留性有機汚染物質の一種。
ペンタクロロフェノール(PCP) 発がん性のある農薬や防腐剤。
トキサフェン 発がん性のある残留性有機汚染物質。
リンデン 残留性と生物蓄積性のある殺虫剤。
エンドスルファン 残留性と生物蓄積性のある殺虫剤。
クロルデン 残留性と生物蓄積性のある殺虫剤。
ヘプタクロル 残留性と生物蓄積性のある殺虫剤。
アルドリン 残留性と生物蓄積性のある殺虫剤。
ディルドリン 残留性と生物蓄積性のある殺虫剤。
エンドリン 残留性と生物蓄積性のある殺虫剤。
ミレックス 残留性と生物蓄積性のある殺虫剤。
クロルデコン 残留性と生物蓄積性のある殺虫剤。
ヘキサブロモビフェニル 残留性と生物蓄積性のある難燃剤。
ペンタブロモジフェニルエーテル 残留性と生物蓄積性のある難燃剤。
オクタブロモジフェニルエーテル 残留性と生物蓄積性のある難燃剤。
デカブロモジフェニルエーテル 残留性と生物蓄積性のある難燃剤。
四塩化炭素 オゾン層破壊物質であり、発がん性もある。
1,1,1-トリクロロエタン オゾン層破壊物質。
ブロモクロロメタン オゾン層破壊物質。
ハロン オゾン層破壊物質として使用が規制されている消火剤。
クロロホルム 発がん性のある有機塩素化合物。
臭化メチル オゾン層破壊物質であり、毒性が高い。
ヒドロキシル基を持つPCB(OH-PCB) PCBの代謝物で、内分泌かく乱作用が懸念される。
多環ムスク 香料として使用される残留性の高い化学物質。
硝酸性窒素・亜硝酸性窒素 水質汚濁の原因物質。
リン酸塩 富栄養化の原因物質。
アンモニア性窒素 水質汚濁や富栄養化の原因物質。
シアン化合物 毒性が高い化学物質群。
フェノール類 水質汚濁物質であり、毒性がある。
クロロベンゼン類 難分解性の有機塩素化合物。
有機スズ化合物 環境ホルモンとしての作用が懸念される。
ポリブロモビフェニル(PBB) 難燃剤として使用される残留性有機汚染物質。
クロロアルカン(C10-13) 環境中で難分解性の有機塩素化合物。
ペルフルオロカルボン酸(PFCA) PFASの一種で、残留性と生物蓄積性が高い。
ペルフルオロアルキルスルホン酸塩(PFSA) PFASの一種で、残留性と生物蓄積性が高い。
臭素系ダイオキシン類 ダイオキシン類の一種で、毒性が高い。
多臭素化ジベンゾフラン ダイオキシン類の一種で、毒性が高い。
六価クロム化合物 発がん性や皮膚障害の原因となる。
ベンゾ[a]ピレン 多環芳香族炭化水素の一種で、強い発がん性がある。
アクリルアミド 発がん性のあるモノマー。
エチレンオキシド 発がん性や変異原性のあるVOC。
1,3-ブタジエン 発がん性のある有機化合物。
スチレン 発がん性が疑われる芳香族炭化水素。
トリアジン系除草剤 環境中で残留性があり、生態系への影響が懸念される。

 

  1. 環境を破壊する化学物質
  2. 大気汚染の主要な化学物質
  3. 水質汚染の原因
  4. 土壌汚染は、主に三つの種類の化学物質によって引き起こされます。
  5. 二酸化炭素(CO2)地球温暖化の主要因 CO2は赤外線を吸収する性質
  6. メタン(CH4)は化石燃料の採掘、家畜の消化管内発酵、稲作、廃棄物の嫌気性分解などから発生 地球温暖化の原因の一つ
  7. 亜酸化窒素(N2O)農地の窒素肥料や家畜排泄物、バイオマス燃焼、工業プロセスなどから発生
  8. オゾン(O3)対流圏オゾンは、窒素酸化物や揮発性有機化合物が太陽光を受けて光化学反応を起こすことで生成 光化学スモッグの主成分
  9. 塩化フルオロカーボン(CFC)エアゾール噴霧剤や冷媒、発泡剤 オゾン層破壊の主要因
  10. ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)オゾン層に悪影響
  11. 六フッ化硫黄(SF6)優れた絶縁性と不燃性 高電圧の電気設備や半導体製造の洗浄剤に使われる
  12. 一酸化炭素(CO)自動車排ガス、工場の燃焼プロセス、暖房器具
  13. 窒素酸化物(NOx)化石燃料の燃焼や自動車排ガスから発生し、酸性雨や光化学スモッグの原因
  14. 硫黄酸化物(SOx)二酸化硫黄(SO2)酸性雨の主要因 化石燃料に含まれる硫黄分が燃焼する際に発生
  15. 揮発性有機化合物(VOC)塗料、接着剤、印刷インキ、燃料 光化学スモッグ
  16. ベンゼン(C6H6)ガソリンや石油化学工業の原料 発がん性、造血機能障害、神経毒性
  17. トルエン(C7H8)塗料、インキ、接着剤、溶剤 頭痛、めまい、疲労感、記憶力低下
  18. キシレン(C8H10)溶剤、塗料、インキ、殺虫剤 頭痛、めまい、協調運動障害
  19. ホルムアルデヒド(CH2O)合板や繊維板の接着剤、防腐剤、防虫剤  発がん性
  20. 多環芳香族炭化水素(PAH)化石燃料の不完全燃焼や、タバコの煙、焼肉の煙など
  21. ダイオキシン類 廃棄物の焼却、塩素系化学物質の製造、パルプの塩素漂白 非意図的に生成
  22. ポリ塩化ビフェニル(PCB)耐熱性、絶縁性、不燃性に優れ、トランス、コンデンサー、潤滑油、塗料などに使用
  23. 残留性有機汚染物質(POPs)発がん性、生殖毒性、免疫毒性、内分泌かく乱作用
  24. 放射性物質 ウランやプルトニウムといった重元素や、ヨウ素-131、セシウム-137などの放射性同位体 甲状腺がん、白血病、固形がん
  25. 重金属類 水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、六価クロム
  26. プラスチック 添加剤の可塑剤・難燃剤に内分泌かく乱作用
  27. マイクロプラスチック 下水処理では完全に除去できない
  28. ビスフェノールA(BPA)プラスチックのポリカーボネートやエポキシ樹脂の原料
  29. フタル酸エステル類 可塑剤 内分泌かく乱作用 生殖毒性や発達毒性
  30. 多臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)甲状腺ホルモンの攪乱作用や神経発達への悪影響
  31. 過フッ素化合物(PFAS)耐熱性、撥水性、撥油性、耐薬品性
  32. パーフルオロオクタン酸(PFOA)撥水・撥油剤の製造 発がん性、生殖毒性、肝臓障害、免疫毒性
  33. パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)防汚剤 発がん性、生殖毒性、発達神経毒性、免疫毒性
  34. 農薬 除草剤、殺虫剤、殺菌剤 DDTやクロルデンなどの残留性有機汚染物質(POPs)
  35. 除草剤 土壌や水系の汚染、非標的生物への影響、除草剤抵抗性雑草の出現
  36. 殺虫剤 有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系
  37. 合成ピレスロイド系殺虫剤 防疫用殺虫剤や家庭用殺虫剤 魚類や水生無脊椎動物に対して高い毒性
  38. 有機リン系殺虫剤 ヒトに対しても神経毒性を示す 急性中毒事故
  39. カーバメート系殺虫剤 カルバリル、プロポクスル、アルジカルブ
  40. 有機塩素系殺虫剤 DDT、ディルドリン、アルドリン、エンドリンなど
  41. 銅 殺菌剤や飼料添加物 魚類の鰓(えら)での呼吸機能を阻害
  42. 亜鉛 ゴムの加硫促進剤や化粧品の紫外線吸収剤
  43. ニッケル 耐食性や耐熱性に優れた金属 発がん性や皮膚アレルギーの原因 めっき、電池、触媒
  44. ヒ素 半導体材料や木材防腐剤 発がん性、神経毒性、皮膚障害
  45. アンチモン 鉛蓄電池の合金材料、半導体材料、難燃剤、顔料
  46. ベリリウム 航空宇宙産業や電子機器産業 発がん性と慢性毒性
  47. タリウム 殺鼠剤や殺虫剤 神経毒性
  48. セレン ガラス製造や顔料、光電池、半導体
  49. トリブチルスズ(TBT)強い毒性 防汚塗料 木材防腐剤、漁網の防汚剤
  50. 有機スズ化合物 PVC安定剤、触媒、殺菌剤、防カビ剤 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)
  51. ノニルフェノール 界面活性剤や乳化剤の原料 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)
  52. オクチルフェノール 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質) 界面活性剤や乳化剤、殺虫剤の分散剤
  53. トリクロロエチレン 洗浄剤や脱脂剤、ドライクリーニング溶剤 中枢神経系に作用し、頭痛、めまい、疲労感
  54. テトラクロロエチレン ドライクリーニング溶剤や金属脱脂剤 食道がん 非ホジキンリンパ腫
  55. 塩化ビニルモノマー PVCの原料
  56. アクリロニトリル 合成繊維やプラスチック(ABS樹脂)の原料、アクリルゴムの原料 発がん性のある物質
  57. 1,4-ジオキサン 溶媒 安定剤 ヒトに対する発がん性が疑われる物質(グループ2B)
  58. アスベスト 耐熱性、絶縁性、耐薬品性に優れている 建材、断熱材、防火服 肺がん、中皮腫、石綿肺(アスベスト肺)
  59. ポリ塩化ターフェニル(PCT)電気絶縁油、潤滑油、可塑剤 難分解性、高い残留性、生物蓄積性
  60. 短鎖塩素化パラフィン(SCCP)金属加工油、塗料、ゴムやプラスチックの可塑剤、難燃剤
  61. ヘキサクロロベンゼン(HCB)殺菌剤や防カビ剤 難分解性、高い残留性、生物蓄積性、長距離移動性 第一種特定化学物質
  62. ペンタクロロフェノール(PCP)防腐剤、除草剤、防虫剤
  63. トキサフェン 使用が禁止された殺虫剤 発がん性や神経毒性、免疫毒性
  64. リンデン 殺虫剤 製造・輸入が原則禁止 ストックホルム条約の残留性有機汚染物質(POPs)に指定
  65. エンドスルファン 有機塩素系殺虫剤の一種 内分泌かく乱作用や神経毒性、発達毒性などの健康影響
  66. クロルデン シロアリ防除剤や農作物の害虫防除剤
  67. ヘプタクロル シロアリ防除剤や土壌害虫の防除剤 土壌や水系に長期間残留
  68. アルドリン 土壌害虫の防除剤
  69. ディルドリン 有機塩素系殺虫剤の一種で、アルドリンの代謝物 発がん性や生殖毒性、神経毒性
  70. エンドリン 綿花や穀物の害虫防除 痙攣や呼吸困難 発がん性や生殖毒性、免疫毒性
  71. ミレックス 発がん性や生殖毒性、免疫毒性
  72. クロルデコン バナナやサトウキビの害虫防除 発がん性や生殖毒性、神経毒性 肝臓や腎臓への慢性毒性
  73. ヘキサブロモビフェニル 肝臓や甲状腺への慢性毒性 第一種特定化学物質 残留性有機汚染物質(POPs)
  74. ペンタブロモジフェニルエーテル 家具や自動車のクッション材、電子機器のプラスチック筐体 甲状腺ホルモンの攪乱作用や神経発達への悪影響
  75. オクタブロモジフェニルエーテル ABS樹脂や電子機器のプラスチック筐体 発がん性や免疫毒性
  76. デカブロモジフェニルエーテル 製造・輸入が事実上禁止 家電製品や繊維製品の難燃化
  77. 四塩化炭素 溶剤やドライクリーニング液、消火剤 オゾン層破壊物質
  78. 1,1,1-トリクロロエタン 金属の脱脂洗浄剤や溶剤 頭痛やめまい、協調運動障害
  79. ブロモクロロメタン オゾン層破壊物質 モントリオール議定書の規制対象 日本では、オゾン層保護法で製造・輸入・使用が規制
  80. ハロン 消火剤 オゾン層破壊物質
  81. クロロホルム 麻酔薬や溶剤 発がん性のある有機塩素化合物
  82. 臭化メチル 土壌くん蒸剤 倉庫くん蒸剤 オゾン層破壊物質 モントリオール議定書により生産・消費
  83. ヒドロキシル基を持つPCB(OH-PCB)内分泌かく乱作用 PCBの代謝物
  84. 多環ムスク 柔軟剤や芳香剤、化粧品 一部の多環ムスクは、内分泌かく乱作用を示す
  85. 硝酸性窒素・亜硝酸性窒素 水環境における主要な汚濁物質の一つ
  86. リン酸塩 水中の富栄養化を引き起こし、藻類の異常増殖(アオコ)や水質悪化の原因
  87. アンモニア性窒素 富栄養化の原因物質 魚類に対する毒性が強く、高濃度では大量死を引き起こす
  88. シアン化合物 メッキ工場や化学工場などで使用される工業薬品 急性中毒では、呼吸困難、けいれん、意識障害
  89. フェノール類 合成樹脂や医薬品、農薬の原料、消毒剤 防腐剤
  90. クロロベンゼン類 急性毒性は比較的低いものの、慢性毒性が懸念 内分泌かく乱作用や発がん性が疑われています
  91. 有機スズ化合物 船底塗料の防汚剤や漁網の防汚剤、PVC安定剤、木材防腐剤 雌の雄性化
  92. ポリ臭素化ビフェニル(PBB)プラスチック製品や繊維製品、電子機器の難燃化 プラスチック製品や繊維製品、電子機器の難燃化に
  93. クロロアルカン(C10-13)金属加工油剤、塗料、ゴムやプラスチックの可塑剤、難燃剤 ヒトに対する発がん性や生殖毒性が懸念
  94. ペルフルオロカルボン酸(PFCA)フッ素樹脂やフッ素ゴムの製造に使用
  95. ペルフルオロアルキルスルホン酸塩(PFSA)界面活性剤や撥水・撥油剤の製造に使用
  96. 臭素系ダイオキシン類 電子機器や自動車のシュレッダーダストの焼却
  97. 多臭素化ジベンゾフラン 臭素系難燃剤の製造過程や廃棄物の焼却過程で非意図的に生成
  98. 六価クロム化合物 発がん性や皮膚障害の原因
  99. ベンゾ[a]ピレン 不完全燃焼物質 たばこの煙 自動車の排気ガス 木材や石炭の燃焼煙
  100. アクリルアミド 製紙工業や上水道の浄化剤、土壌改良剤
  101. エチレンオキシド 殺菌剤や滅菌剤として医療機器の滅菌に広く使用されている
  102. 1,3-ブタジエン スチレン-ブタジエンゴム(SBR)の製造に不可欠な物質
  103. スチレン ヒトに対する発がん性が疑われる物質(グループ2A)
  104. トリアジン系除草剤 光合成阻害剤 アトラジン、シマジン、プロメトリン

環境を破壊する化学物質


ベンゼン
ベンゼンは、主に石油化学製品の原料として使用される有機化合物です。工場や自動車の排ガスから放出され、大気や水質汚染の原因となります。ベンゼンは発癌性があり、長期的な曝露は健康に悪影響を及ぼすことが知られています。
ダイオキシン
ダイオキシン類は、焼却処理や工業プロセスで生成される有害物質で、非常に低濃度でも生態系に深刻な影響を与えることがあります。特に、食物連鎖を通じて生物濃縮が進み、魚や肉類を介して人間にも影響が及ぶことが懸念されています。

フロン
フロンは冷媒として広く使用されてきましたが、その使用によってオゾン層が破壊されることが明らかになりました。オゾン層の減少は紫外線の増加を招き、皮膚癌や眼疾患のリスクを高めます。

重金属(鉛、水銀など)
これらの金属は工業廃棄物や農薬として環境中に放出されます。土壌や水源に蓄積し、生態系や人間の健康に長期的な悪影響を与えます。特に水銀は神経毒性があり、胎児や子供の発達に深刻な影響を及ぼすことがあります。

農薬(有機リン剤など)
農業で使用される農薬は、土壌や水源に浸透し、生態系への影響を引き起こします。有機リン剤は特に神経毒性が強く、非標的生物にも悪影響を与えることがあります。

化学物質による環境汚染
大気汚染 化学物質が大気中で反応し、有害な微小粒子状物質(PM2.5)やオゾンを生成します。これらは呼吸器疾患や心血管疾患のリスクを高めます。
水質汚濁 工場排水などによって河川や海洋が汚染され、生態系への影響が懸念されます。特に、水生生物への毒性が問題視されています。
土壌汚染 化学物質が土壌中に蓄積し、植物や作物への影響を及ぼします。この結果、食品安全にもリスクが生じます。

大気汚染の主要な化学物質


硫黄酸化物 (SOx)
硫黄酸化物は、主に石炭や石油の燃焼によって生成されます。特に二酸化硫黄(SO₂)は、工場や発電所から排出されることが多いです。
高濃度で存在すると、呼吸器系の疾患を引き起こし、酸性雨の原因ともなります。

窒素酸化物 (NOx)
窒素酸化物は、自動車の排気ガスや工業プロセスから発生します。主に一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO₂)が含まれます。
これらは光化学スモッグを形成し、呼吸器系に悪影響を及ぼすほか、オゾン層の破壊にも寄与します。

揮発性有機化合物 (VOCs)
VOCsは、塗料や溶剤、燃料などから揮発する有機化合物です。
大気中で光化学反応を起こし、オゾンを生成する原因となり、健康被害として目の刺激や頭痛を引き起こします。

重金属
鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)などの重金属は、工場からの排出や交通によって大気中に放出されます。
影響 これらは神経系や腎臓に対して有害であり、長期的には蓄積されて健康リスクを高めます。
大気汚染がもたらす健康影響

大気汚染物質は人体に多様な健康影響を及ぼします
呼吸器疾患 硫黄酸化物や窒素酸化物は喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を悪化させる要因となります。
心血管疾患 大気中の微細粒子状物質(PM2.5など)は心臓病や脳卒中のリスクを高めることが知られています。
神経系への影響 重金属は神経毒性を持ち、特に子供の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

水質汚染の原因


農業活動
農業は水質汚染の大きな要因の一つです。農薬や化学肥料が過剰に使用されると、これらの物質が地下水や河川に流れ込み、有害物質が蓄積されます。特に、窒素やリンが豊富な肥料は、河川の富栄養化を引き起こし、藻類の異常増殖を促進します。

工業活動
工場から排出される廃水には、重金属(鉛、カドミウム、水銀など)や有害化学物質が含まれていることが多く、適切に処理されずに河川や海に放出されることがあります。これにより、水質が著しく悪化し、生態系への影響も深刻です。

都市化
都市化によって人口が集中し、生活排水や産業排水が大量に発生します。これらの排水が適切に処理されない場合、未処理の下水が河川や海に流れ込み、水質を悪化させます。また、都市開発による土砂流入も問題です。

生活排水
家庭から出る生活排水には、有機物や洗剤などが含まれており、これらも水質汚染の原因となります。特に油分や有機物は、水中の酸素を消費し、生態系への悪影響を及ぼします。

化学物質の例
水質汚染を引き起こす具体的な化学物質
重金属 鉛、カドミウム、水銀などは生物にとって非常に有害であり、蓄積することで健康被害を引き起こす可能性があります。
農薬 農業で使用される農薬(例 DDT)は、水中で残留性を持ち、生態系に長期的な影響を与えます。
有機溶剤 工業用の有機溶剤(例 トリクロロエチレン)は、水源を汚染し、人間や動植物に対して危険性があります。
栄養塩類 窒素やリンなどの栄養塩類は、藻類の異常繁殖を引き起こし、水中の酸素濃度を低下させます。

 

土壌汚染は、主に三つの種類の化学物質によって引き起こされます。


第1種特定有害物質
揮発性有機化合物(VOC)
例 クロロエチレン、テトラクロロエチレン、ベンゼンなど。
これらは工場で洗浄剤として使用されていたため、古い工場跡地での汚染が多く見られます。揮発性が高く、空気中に放出されやすいため、環境中での拡散が懸念されています。

第2種特定有害物質
重金属
例 カドミウム、水銀、鉛、砒素など。
これらは農業や工業活動から放出されることが多く、土壌中に蓄積しやすい特性があります。特にカドミウムは米などの農作物を通じて人体に影響を及ぼすことが知られています。重金属は地下水にも浸透しやすく、その結果として広範囲にわたる汚染を引き起こす可能性があります。

第3種特定有害物質
農薬およびPCB
例 シマジン、チウラムなど。
農業において使用されるこれらの化学物質は、適切に管理されない場合、土壌に残留し、長期的な環境問題を引き起こすことがあります。特に農薬は生態系への影響も大きく、生物多様性を損なう恐れがあります。

土壌汚染の影響
土壌汚染は人間や生態系に対して深刻な影響を及ぼします。

健康被害
汚染された土壌から育った作物を摂取することで、有害物質が体内に蓄積し、さまざまな健康障害を引き起こす可能性があります。例えば、カドミウムによる腎機能障害や癌のリスク増加が報告されています。

土壌中の有害物質は植物だけでなく、その植物を食べる動物にも影響を及ぼします。また、水源が汚染されることで、水生生物にも悪影響が出ることがあります。

経済的損失
農作物の生育不良や健康被害によって、農業や漁業などの産業に経済的な打撃を与えることがあります。また、土壌浄化には高額な費用がかかるため、地域経済にも悪影響を及ぼします。

対策と今後の展望
土壌汚染への対策
監視と調査
定期的な土壌調査とモニタリングを行い、有害物質の存在を早期に発見することが重要です。企業や地方自治体による自主的な調査も促進されています。
法規制
日本では「土壌汚染対策法」が制定されており、有害物質の使用や処理について厳しい基準が設けられています。この法律により、過去に汚染された土地の改善も進められています。
教育と啓発
土壌汚染についての理解を深めるためには、地域住民や企業への教育・啓発活動が必要です。これにより、自主的な環境保護活動が促進されます。

 

二酸化炭素(CO2)地球温暖化の主要因 CO2は赤外線を吸収する性質

二酸化炭素は、炭素と酸素からなる無色無臭の気体です。化石燃料の燃焼、森林伐採、セメント製造などの人間活動により大量に排出され、地球温暖化の主要因となっています。産業革命以前の大気中CO2濃度は約280ppmでしたが、現在は400ppmを超えています。CO2は赤外線を吸収する性質があり、大気中の濃度が高まると地表から放出される熱が宇宙に逃げにくくなり、地球の平均気温が上昇します。この現象を温室効果といいます。CO2排出量を削減するため、各国が協力して対策に取り組んでいます。再生可能エネルギーの導入、省エネルギー技術の開発、森林保全などが重要な施策となります。

メタン(CH4)は化石燃料の採掘、家畜の消化管内発酵、稲作、廃棄物の嫌気性分解などから発生 地球温暖化の原因の一つ

メタンは、炭素と水素からなる無色無臭の気体で、天然ガスの主成分です。化石燃料の採掘、家畜の消化管内発酵、稲作、廃棄物の嫌気性分解などから発生します。メタンは二酸化炭素の約25倍の温室効果を持ち、地球温暖化に大きく寄与しています。大気中のメタン濃度は産業革命以前の約700ppbから現在は1800ppb以上に増加しています。メタンは大気中での寿命が約12年と比較的短いため、排出量を削減すれば気候変動の緩和に効果的です。埋立地からのメタン回収、家畜の飼養管理改善、稲作における水管理などの対策が行われています。

亜酸化窒素(N2O)農地の窒素肥料や家畜排泄物、バイオマス燃焼、工業プロセスなどから発生

亜酸化窒素は、窒素と酸素からなる無色の気体で、「笑気」とも呼ばれます。農地の窒素肥料や家畜排泄物、バイオマス燃焼、工業プロセスなどから発生します。亜酸化窒素の温室効果は二酸化炭素の約298倍と非常に高く、オゾン層破壊にも関与します。大気中の寿命は約114年と長いため、長期的な影響が懸念されます。亜酸化窒素の排出を抑制するには、農地における適正な施肥管理、家畜排泄物の適切な処理、工業プロセスの効率化などが重要です。

オゾン(O3)対流圏オゾンは、窒素酸化物や揮発性有機化合物が太陽光を受けて光化学反応を起こすことで生成 光化学スモッグの主成分

オゾンは、酸素原子3つからなる無色の気体です。地上から約10~50kmの成層圏に存在するオゾン層は、太陽からの有害な紫外線を吸収し、地上の生物を保護しています。一方、地表付近の対流圏では、光化学スモッグの主成分となり、呼吸器系への悪影響や植物の生育阻害を引き起こします。対流圏オゾンは、窒素酸化物や揮発性有機化合物が太陽光を受けて光化学反応を起こすことで生成されます。オゾン層の保護には、オゾン層破壊物質の規制が不可欠です。モントリオール議定書により、各国がCFCなどの生産・消費を段階的に削減しています。

塩化フルオロカーボン(CFC)エアゾール噴霧剤や冷媒、発泡剤 オゾン層破壊の主要因

CFCは、炭素、塩素、フッ素からなる合成化合物群です。不燃性、安定性、無毒性などの特性から、エアゾール噴霧剤や冷媒、発泡剤として広く使用されていました。しかし、1980年代にCFCがオゾン層破壊の主要因であることが明らかになりました。CFCは化学的に安定しているため大気中に長く留まり、成層圏で太陽光を受けて分解され、塩素原子を放出します。この塩素原子が触媒となってオゾンを分解し、オゾンホールの形成につながります。モントリオール議定書により、CFCの生産・消費は全廃され、代替物質への転換が進められています。

ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)オゾン層に悪影響

HCFCは、CFCの代替物質として開発された化合物群です。CFCと比べてオゾン層破壊能力が小さいものの、依然としてオゾン層に悪影響を及ぼします。HCFCは、冷媒やエアコンの断熱材などに使用されてきました。モントリオール議定書に基づき、先進国では2020年までに、途上国では2030年までにHCFCの生産・消費が全廃される予定です。HCFCからオゾン層を破壊しないハイドロフルオロカーボン(HFC)への移行が進められていますが、HFCは強力な温室効果ガスであるため、地球温暖化への影響が懸念されています。

六フッ化硫黄(SF6)優れた絶縁性と不燃性 高電圧の電気設備や半導体製造の洗浄剤に使われる

SF6は、硫黄とフッ素からなる無色無臭の気体です。優れた絶縁性と不燃性を持つため、高電圧の電気設備や半導体製造の洗浄剤などに使用されています。SF6は、二酸化炭素の約23,500倍の温室効果を持ち、大気中での寿命が約3,200年と非常に長いため、わずかな排出量でも長期的な影響が大きくなります。京都議定書では、SF6を削減対象ガスに指定し、各国が排出量の報告と削減に取り組んでいます。SF6の回収・再利用、代替ガスの開発などが進められています。

一酸化炭素(CO)自動車排ガス、工場の燃焼プロセス、暖房器具

一酸化炭素は、炭素と酸素からなる無色・無臭の気体で、不完全燃焼により発生します。主な発生源は、自動車排ガス、工場の燃焼プロセス、暖房器具などです。一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンと結合し、酸素運搬能力を低下させる毒性があります。高濃度の一酸化炭素を吸入すると、頭痛、めまい、吐き気などの症状が現れ、重度の場合は死に至ることもあります。大気中の一酸化炭素は、他の汚染物質と反応して光化学スモッグの原因にもなります。排出量を削減するため、自動車の排ガス規制や燃焼効率の改善などが行われています。

窒素酸化物(NOx)化石燃料の燃焼や自動車排ガスから発生し、酸性雨や光化学スモッグの原因

窒素酸化物は、窒素と酸素の化合物の総称で、主に一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)を指します。化石燃料の燃焼や自動車排ガスから発生し、酸性雨や光化学スモッグの原因となります。高温燃焼時に空気中の窒素が酸化されてNOが生成し、大気中でさらに酸化されてNO2になります。NOxは、呼吸器系の刺激や炎症を引き起こし、ぜんそくなどの健康被害につながります。また、湖沼や土壌の酸性化、建造物の劣化などの環境問題にも関与します。NOx排出量を減らすため、脱硝装置の設置や自動車の排ガス規制強化などが進められています。

硫黄酸化物(SOx)二酸化硫黄(SO2)酸性雨の主要因 化石燃料に含まれる硫黄分が燃焼する際に発生

硫黄酸化物は、硫黄と酸素の化合物の総称で、主に二酸化硫黄(SO2)を指します。化石燃料に含まれる硫黄分が燃焼する際に発生し、酸性雨の主要因となります。SO2は、呼吸器系に刺激を与え、ぜんそくや気管支炎などの健康被害を引き起こします。また、大気中で硫酸に変化し、酸性雨となって地上に降下します。酸性雨は、湖沼の酸性化、土壌の劣化、森林の衰退、建造物の腐食などの環境問題を引き起こします。SOx排出量を削減するため、低硫黄燃料への切り替えや排煙脱硫装置の設置などが行われています。

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揮発性有機化合物(VOC)塗料、接着剤、印刷インキ、燃料 光化学スモッグ

VOCは、大気中で気体状となる有機化合物の総称です。塗料、接着剤、印刷インキ、燃料などに含まれ、常温で揮発しやすい特性があります。VOCは、光化学スモッグの原因物質の一つであり、窒素酸化物と反応して対流圏オゾンを生成します。また、一部のVOCは発がん性や神経毒性を持ち、シックハウス症候群の原因にもなります。代表的なVOCとして、ベンゼン、トルエン、キシレン、ホルムアルデヒドなどが挙げられます。VOC排出量を抑制するため、水性塗料や低VOC製品の使用、排ガス処理装置の設置などが行われています。

ベンゼン(C6H6)ガソリンや石油化学工業の原料 発がん性、造血機能障害、神経毒性

ベンゼンは、6つの炭素原子が環状に結合した構造を持つ芳香族炭化水素の一種です。無色の液体で、特徴的な甘い臭気を有します。ガソリンや石油化学工業の原料として使用され、タバコの煙にも含まれています。ベンゼンは、発がん性、造血機能障害、神経毒性などの健康影響が知られています。慢性的な曝露により、白血病や再生不良性貧血のリスクが高まります。ベンゼンの使用は厳しく規制され、作業環境のモニタリングや曝露防止対策が義務付けられています。代替物質の開発や閉鎖系での取り扱いなどにより、排出量の削減が図られています。

トルエン(C7H8)塗料、インキ、接着剤、溶剤 頭痛、めまい、疲労感、記憶力低下

トルエンは、ベンゼンのメチル誘導体で、無色の液体です。塗料、インキ、接着剤、溶剤などに広く使用されています。神経系に作用し、高濃度の曝露により頭痛、めまい、疲労感、記憶力低下などの症状を引き起こします。長期的な曝露は、中枢神経系の障害につながる可能性があります。また、トルエンは、シックハウス症候群の原因物質の一つとしても知られています。作業環境における曝露限界値が設定され、換気の徹底や保護具の着用などの対策が取られています。水性塗料や低トルエン製品への切り替えも進められています。

キシレン(C8H10)溶剤、塗料、インキ、殺虫剤 頭痛、めまい、協調運動障害

キシレンは、ベンゼンのジメチル誘導体で、無色の液体です。異性体として、オルト体、メタ体、パラ体の3種類が存在します。溶剤、塗料、インキ、殺虫剤などに使用されます。キシレンは、神経系に作用し、頭痛、めまい、協調運動障害などの症状を引き起こします。高濃度の曝露は、意識障害や呼吸器症状につながることもあります。また、皮膚や眼に対する刺激性も報告されています。作業環境における曝露限界値が設定され、換気や保護具の使用などの対策が求められます。代替溶剤の使用や閉鎖系での取り扱いが推奨されています。

ホルムアルデヒド(CH2O)合板や繊維板の接着剤、防腐剤、防虫剤  発がん性

ホルムアルデヒドは、最も単純なアルデヒド化合物で、無色の気体です。刺激臭を有し、水に溶けやすい性質があります。合板や繊維板の接着剤、防腐剤、防虫剤などに使用されてきました。ホルムアルデヒドは、発がん性があり、国際がん研究機関(IARC)では、ヒトに対する発がん性が確認された物質(グループ1)に分類されています。また、目や喉への刺激、アレルギー症状、呼吸器系の炎症などの健康影響も報告されています。シックハウス症候群の原因物質の一つとして知られ、建材からの放散量規制が行われています。低ホルムアルデヒド製品の開発や、代替接着剤の使用が進められています。

多環芳香族炭化水素(PAH)化石燃料の不完全燃焼や、タバコの煙、焼肉の煙など

PAHは、2つ以上のベンゼン環が縮合した構造を持つ有機化合物群の総称です。化石燃料の不完全燃焼や、タバコの煙、焼肉の煙などから発生します。代表的なPAHとして、ベンゾ[a]ピレン、ナフタレン、アントラセンなどが挙げられます。多くのPAHは発がん性や変異原性を有し、肺がんや皮膚がんのリスクを高めます。また、内分泌かく乱作用や生殖毒性も報告されています。大気中のPAHは、粒子状物質に吸着して存在することが多く、呼吸器系への影響が懸念されます。排出量を削減するため、燃焼条件の最適化や排ガス処理技術の導入などが行われています。

ダイオキシン類 廃棄物の焼却、塩素系化学物質の製造、パルプの塩素漂白 非意図的に生成

ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)の総称です。炭素、水素、酸素、塩素からなる複素環式化合物で、210種類の異性体が存在します。ダイオキシン類は、廃棄物の焼却、塩素系化学物質の製造、パルプの塩素漂白などの過程で非意図的に生成されます。毒性が非常に強く、発がん性、生殖毒性、免疫毒性、内分泌かく乱作用などが報告されています。体内に取り込まれると脂肪組織に蓄積し、長期にわたって影響を及ぼします。排出量削減のため、廃棄物焼却施設の管理強化、塩素系物質の使用削減、排ガス処理技術の導入などが行われています。

ポリ塩化ビフェニル(PCB)耐熱性、絶縁性、不燃性に優れ、トランス、コンデンサー、潤滑油、塗料などに使用

PCBは、ビフェニルの水素原子が塩素で置換された化合物群の総称です。209種類の異性体が存在し、商業的に利用されてきたのは約130種類です。PCBは、耐熱性、絶縁性、不燃性に優れ、トランス、コンデンサー、潤滑油、塗料などに使用されていました。しかし、1968年にカネミ油症事件が発生し、PCBの毒性が社会問題化しました。PCBは、発がん性、生殖毒性、免疫毒性、神経毒性などの健康影響が報告されています。また、環境中で分解されにくく、生物濃縮性が高いため、食物連鎖を通じて高次捕食者に蓄積します。日本では、1974年にPCBの製造・輸入が禁止され、2001年にPCB廃棄物の処理が義務化されました。

残留性有機汚染物質(POPs)発がん性、生殖毒性、免疫毒性、内分泌かく乱作用

POPsは、環境中で分解されにくく、長距離を移動し、生物に蓄積する性質を持つ有機化合物群です。「ダーティー・ダズン」と呼ばれる12物質(PCB、DDT、ディルドリン、アルドリン、エンドリン、クロルデン、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン、マイレックス、トキサフェン、ダイオキシン類、フラン類)を中心に、国際的な規制の対象となっています。POPsは、発がん性、生殖毒性、免疫毒性、内分泌かく乱作用などの健康影響が懸念されています。2001年のストックホルム条約で、POPsの製造・使用の原則禁止、非意図的生成の削減、廃棄物の適正管理などが定められました。その後、対象物質が追加され、現在は30物質以上がPOPsとして指定されています。

放射性物質 ウランやプルトニウムといった重元素や、ヨウ素-131、セシウム-137などの放射性同位体 甲状腺がん、白血病、固形がん

放射性物質は、原子核が不安定で、放射線を出しながら崩壊する物質の総称です。ウランやプルトニウムといった重元素や、ヨウ素-131、セシウム-137などの放射性同位体が含まれます。放射性物質は、原子力発電所の事故や核実験などにより環境中に放出され、深刻な汚染を引き起こします。放射線は、DNAに損傷を与え、発がん性や遺伝的影響をもたらします。また、甲状腺がん、白血病、固形がんなどのリスクを高めることが知られています。チェルノブイリ原発事故や福島第一原発事故では、大量の放射性物質が環境中に放出され、長期的な健康影響が懸念されています。放射性物質の拡散防止、汚染地域の除染、食品のモニタリングなどの対策が行われています。

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重金属類 水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、六価クロム

重金属は、比重が4以上の金属元素の総称です。水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、六価クロムなどが代表的な重金属汚染物質として知られています。重金属は、産業活動や廃棄物の不適切な処理により環境中に放出され、土壌や水系を汚染します。生物に対する毒性が高く、慢性的な曝露により深刻な健康影響をもたらします。例えば、水銀は神経毒性があり、胎児の脳発達障害を引き起こします。鉛は、特に子供の知能発達に悪影響を及ぼします。カドミウムは、イタイイタイ病の原因物質として知られ、骨軟化症や腎障害を引き起こします。重金属汚染の防止には、排出規制の強化、適切な廃棄物管理、汚染土壌の浄化などが重要です。

プラスチック 添加剤の可塑剤・難燃剤に内分泌かく乱作用

プラスチックは、合成高分子化合物から作られる材料の総称です。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなど、様々な種類があります。軽量、安価、加工性に優れ、包装材、容器、家電製品、自動車部品など幅広い用途に使用されています。一方で、プラスチックは環境中で分解されにくく、大量に廃棄されると環境汚染を引き起こします。特に海洋プラスチック汚染が深刻な問題となっており、生態系への悪影響が懸念されています。また、プラスチックに含まれる添加剤(可塑剤、難燃剤など)の中には、内分泌かく乱作用などの健康影響が指摘されているものもあります。プラスチック汚染対策として、使い捨てプラスチックの削減、リサイクルの推進、バイオプラスチックの開発などが進められています。

マイクロプラスチック 下水処理では完全に除去できない

マイクロプラスチックは、5mm以下の微細なプラスチック粒子のことを指します。大きなプラスチックごみが物理的に破砕されてできる二次的マイクロプラスチックと、洗顔料のスクラブ剤など製品に意図的に添加される一次的マイクロプラスチックに分けられます。マイクロプラスチックは、海洋汚染の主要因の一つであり、プランクトンと間違えて摂取された場合、食物連鎖を通じて高次捕食者に蓄積します。生物への物理的影響に加え、マイクロプラスチックに吸着した有害化学物質が食物連鎖を通じて濃縮される可能性も指摘されています。また、下水処理では完全に除去できないため、陸域から河川を通じて海洋に流出します。マイクロプラスチック汚染の防止には、プラスチック廃棄物の適正管理、一次的マイクロプラスチックの使用規制、下水処理技術の向上などが求められます。

ビスフェノールA(BPA)プラスチックのポリカーボネートやエポキシ樹脂の原料

BPAは、プラスチックのポリカーボネートやエポキシ樹脂の原料として広く使用されている化学物質です。透明性、耐熱性、耐衝撃性に優れ、食品容器、哺乳瓶、水筒、缶詰の内側コーティングなどに用いられてきました。しかし、BPAは内分泌かく乱作用を持つことが明らかになり、健康影響が懸念されています。BPAは、プラスチック製品から食品や飲料に溶け出し、経口曝露により体内に取り込まれます。特に高温条件下や酸性条件下では溶出量が増加します。BPAは、エストロゲン様作用を示し、生殖機能や脳の発達に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。また、糖尿病、心疾患、肥満などのリスクを高めるとの報告もあります。各国でBPAの使用規制が進められ、日本でも乳幼児用食品容器へのBPA使用が禁止されました。代替物質の開発や、ガラス製品の見直しなども行われています。

フタル酸エステル類 可塑剤 内分泌かく乱作用 生殖毒性や発達毒性

フタル酸エステル類は、プラスチック(特に塩化ビニル樹脂)の可塑剤として広く使用されている化学物質群です。代表的なものに、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)などがあります。可塑剤は、プラスチックに柔軟性を与え、加工性を向上させる役割を果たします。フタル酸エステル類は、食品包装材、医療用具、玩具、建材など幅広い用途に使用されています。しかし、これらの化合物は内分泌かく乱作用を持ち、生殖毒性や発達毒性が報告されています。特に、胎児期や乳幼児期の曝露が問題視されています。フタル酸エステル類は、プラスチック製品から徐々に溶け出し、経口曝露、吸入曝露、経皮曝露により体内に取り込まれます。EUでは、玩具や育児用品へのDEHP、DBP、BBPの使用が制限されています。日本でも、食品衛生法により一部の玩具へのDEHPの使用が規制されています。

多臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)甲状腺ホルモンの攪乱作用や神経発達への悪影響

PBDEは、臭素系難燃剤の一種で、プラスチック製品や繊維製品の難燃化に使用されてきました。テレビやパソコンの筐体、電子基板、カーペット、家具の繊維など、幅広い用途に用いられています。PBDEは、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)とも呼ばれ、臭素の数と置換位置の違いにより209種類の異性体が存在します。PBDEは、環境中で分解されにくく、生物濃縮性が高いため、食物連鎖を通じて高次捕食者に蓄積します。ヒトの母乳からも検出されており、胎児や乳児の曝露が懸念されています。PBDEは、甲状腺ホルモンの攪乱作用や神経発達への悪影響が報告されています。また、発がん性や免疫毒性も示唆されています。2009年のストックホルム条約で、ペンタBDE(5臭素化体)とオクタBDE(8臭素化体)が製造・使用禁止の対象となりました。日本でも、化審法でペンタBDEとオクタBDEの製造・輸入が原則禁止されています。

過フッ素化合物(PFAS)耐熱性、撥水性、撥油性、耐薬品性

PFASは、フッ素と炭素の結合を持つ化学物質群の総称です。炭素-フッ素結合の強さから、耐熱性、撥水性、撥油性、耐薬品性に優れ、幅広い用途に使用されてきました。代表的なPFASとして、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)などがあります。PFASは、非粘着コーティング剤、防水・防汚剤、消火剤、半導体製造用の薬品など、様々な分野で用いられています。しかし、PFASは環境中で非常に安定で分解されにくく、長距離移動性と生物蓄積性を示します。飲料水や食品を通じてヒトに曝露し、血中や母乳から検出されることが報告されています。PFASは、発がん性、免疫毒性、生殖毒性、甲状腺機能障害などの健康影響が懸念されています。特に、PFOAとPFOSは製造・使用規制の対象となっており、ストックホルム条約でも規制が行われています。日本でも、化審法でPFOAとPFOSの製造・輸入が原則禁止されています。

パーフルオロオクタン酸(PFOA)撥水・撥油剤の製造 発がん性、生殖毒性、肝臓障害、免疫毒性

PFOAは、PFASの一種で、フッ素化学工業の重要な中間体として使用されてきました。PFOAは、非粘着コーティング剤(フッ素樹脂テフロンの原料)や撥水・撥油剤の製造に用いられ、最終製品にも不純物として残留することがあります。PFOAは、環境中で極めて安定で分解されにくく、水にも溶けやすいため、飲料水の汚染が問題となっています。また、食品包装材からの溶出や調理器具からの溶出も懸念されています。PFOAは、発がん性、生殖毒性、肝臓障害、免疫毒性などの健康影響が報告されています。特に、職業曝露を受けた労働者で、腎臓がんや精巣がんのリスクが高まることが示唆されています。PFOAは、ストックホルム条約の規制対象物質に指定され、先進国では2020年までに全廃することが求められています。日本でも、化審法でPFOAとその塩の製造・輸入が原則禁止されています。

パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)防汚剤 発がん性、生殖毒性、発達神経毒性、免疫毒性

PFOSは、PFASの一種で、界面活性剤や撥水・撥油剤として広く使用されてきました。PFOSは、消火剤、メッキ用の防錆剤、半導体製造用の薬品、カーペットや衣類の防汚剤など、様々な用途に用いられてきました。PFOSは、PFOAと同様に、環境中で極めて安定で分解されにくく、生物蓄積性が高いことが知られています。特に、魚介類に高濃度で蓄積することが報告されており、食物連鎖を通じてヒトに曝露します。PFOSは、発がん性、生殖毒性、発達神経毒性、免疫毒性などの健康影響が懸念されています。ストックホルム条約で、PFOSとその塩および関連物質の製造・使用が原則的に禁止されました。例外的に認められる用途も、代替物質への移行が求められています。日本でも、化審法でPFOSとその塩の製造・輸入が原則禁止されています。

農薬 除草剤、殺虫剤、殺菌剤 DDTやクロルデンなどの残留性有機汚染物質(POPs)

農薬は、農作物を病害虫から保護し、収量を増加させるために使用される化学物質または生物学的製剤の総称です。除草剤、殺虫剤、殺菌剤などが含まれます。農薬の使用は、食料生産の安定化に大きく貢献してきました。一方で、農薬の過剰使用や不適切な管理は、環境汚染や健康影響の原因となります。農薬は、土壌や水系を汚染し、生態系に悪影響を及ぼします。また、残留農薬として食品中に残留し、ヒトの健康にも影響を与える可能性があります。DDTやクロルデンなどの残留性有機汚染物質(POPs)に指定された農薬は、環境中で分解されにくく、生物濃縮性が高いため、特に問題視されています。農薬の適正使用と管理の徹底、低毒性農薬や生物農薬の開発、総合的病害虫管理(IPM)の推進などが重要です。日本では、農薬取締法により農薬の登録制度が設けられ、使用基準の遵守が求められています。

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除草剤 土壌や水系の汚染、非標的生物への影響、除草剤抵抗性雑草の出現

除草剤は、農地や非農地で雑草を防除するために使用される農薬の一種です。作用機構の違いにより、非選択性除草剤と選択性除草剤に大別されます。非選択性除草剤は、植物の種類を問わず、広範囲の植物に効果を示します。グリホサートやパラコートなどが代表的な非選択性除草剤です。一方、選択性除草剤は、特定の植物のみを枯らす作用を持ちます。例えば、2,4-Dは広葉雑草に選択的に効果を示します。除草剤の使用は、農作業の省力化や収量の向上に寄与する一方で、環境や健康への影響が懸念されています。除草剤の過剰使用は、土壌や水系の汚染、非標的生物への影響、除草剤抵抗性雑草の出現などの問題を引き起こします。また、一部の除草剤は、発がん性や内分泌かく乱作用などの健康影響が示唆されています。除草剤の適正使用、代替防除法の活用、総合的雑草管理の推進などが求められています。

殺虫剤 有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系

殺虫剤は、害虫を防除するために使用される農薬の一種です。作用機構により、有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系などに分類されます。殺虫剤は、農作物の収量や品質の向上に大きく貢献してきました。一方で、殺虫剤の過剰使用や不適切な管理は、環境汚染や生態系への悪影響を引き起こします。殺虫剤は、土壌や水系を汚染し、非標的生物(益虫、鳥類、魚類など)に悪影響を及ぼします。特に、ネオニコチノイド系殺虫剤は、ミツバチなどの送粉昆虫への影響が問題視されています。また、殺虫剤の長期的な使用は、害虫の殺虫剤抵抗性の発達を促進します。ヒトへの健康影響としては、急性中毒や慢性的な曝露による神経毒性、発がん性、内分泌かく乱作用などが懸念されています。総合的害虫管理(IPM)の推進、生物的防除の活用、低毒性殺虫剤の開発などが重要です。日本では、農薬取締法に基づき、殺虫剤の適正使用が求められています。

合成ピレスロイド系殺虫剤 防疫用殺虫剤や家庭用殺虫剤 魚類や水生無脊椎動物に対して高い毒性

合成ピレスロイド系殺虫剤は、除虫菊の花から抽出されるピレトリンを模倣して合成された化合物群です。天然ピレトリンよりも安定性と残効性が向上しており、幅広い害虫に対して効果を示します。ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメトリンなどが代表的な合成ピレスロイド系殺虫剤です。農業用途だけでなく、防疫用殺虫剤や家庭用殺虫剤としても使用されています。合成ピレスロイド系殺虫剤は、昆虫の神経系に作用し、ナトリウムチャネルを介した神経伝達を攪乱します。哺乳類に対する毒性は比較的低いとされていますが、魚類や水生無脊椎動物に対しては高い毒性を示します。合成ピレスロイド系殺虫剤の過剰使用は、水系の汚染や水生生態系への悪影響が懸念されています。また、ヒトへの健康影響としては、アレルギー反応や神経毒性などが報告されています。適正使用と環境中での挙動のモニタリングが重要です。

有機リン系殺虫剤 ヒトに対しても神経毒性を示す 急性中毒事故

有機リン系殺虫剤は、リン酸エステルを基本骨格とする化合物群で、幅広い害虫に対して高い殺虫活性を示します。マラチオン、ダイアジノン、クロルピリホスなどが代表的な有機リン系殺虫剤です。有機リン系殺虫剤は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を阻害することで殺虫作用を発揮します。AChEは、神経伝達物質アセチルコリンの分解酵素であり、その阻害により神経伝達が過剰に促進され、昆虫は死に至ります。有機リン系殺虫剤は、ヒトに対しても同様の神経毒性を示すため、急性中毒事故が報告されています。特に、農薬散布者や製造工場の労働者における曝露が問題視されてきました。慢性的な曝露による神経行動障害や発達神経毒性も懸念されています。また、有機リン系殺虫剤は、鳥類や魚類に対する毒性が高く、非標的生物に悪影響を及ぼします。近年では、より安全性の高い殺虫剤への移行が進められていますが、有機リン系殺虫剤の適正使用と曝露防止対策は引き続き重要です。

カーバメート系殺虫剤 カルバリル、プロポクスル、アルジカルブ

カーバメート系殺虫剤は、カルバミン酸エステルを基本骨格とする化合物群で、速効性と残効性を兼ね備えた殺虫剤として広く使用されてきました。カルバリル、プロポクスル、アルジカルブなどが代表的なカーバメート系殺虫剤です。カーバメート系殺虫剤は、有機リン系殺虫剤と同様に、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を阻害することで殺虫作用を示します。ただし、カーバメート系殺虫剤によるAChE阻害は可逆的であり、有機リン系殺虫剤による不可逆的阻害とは異なります。そのため、カーバメート系殺虫剤の毒性は有機リン系殺虫剤よりも低いとされています。しかし、急性中毒事故や慢性的な曝露による神経毒性の報告もあり、適正使用と曝露防止対策が求められています。また、カーバメート系殺虫剤は、鳥類や水生生物に対する毒性が比較的高く、生態系への影響も懸念されています。総合的害虫管理の一環として、より安全性の高い代替剤の活用が推進されています。

有機塩素系殺虫剤 DDT、ディルドリン、アルドリン、エンドリンなど

有機塩素系殺虫剤は、塩素を含む有機化合物からなる殺虫剤群で、20世紀半ばに広く使用されました。DDT、ディルドリン、アルドリン、エンドリンなどが代表的な有機塩素系殺虫剤です。有機塩素系殺虫剤は、安定性が高く、残効性が長いという特徴があります。そのため、一度環境中に放出されると、長期間にわたって残留し、生物濃縮を引き起こします。食物連鎖を通じて、高次捕食者ほど体内濃度が高くなる傾向があります。有機塩素系殺虫剤は、内分泌かく乱作用、生殖毒性、発がん性などの健康影響が報告されています。また、鳥類の卵殻の菲薄化を引き起こし、個体数の減少を招くことが知られています。1970年代以降、多くの国で有機塩素系殺虫剤の使用が禁止または制限されました。ストックホルム条約でも、DDTなどの有機塩素系殺虫剤が残留性有機汚染物質(POPs)に指定され、世界的な規制が行われています。しかし、環境中に残留する有機塩素系殺虫剤の管理と処理は、今なお重要な課題となっています。

銅 殺菌剤や飼料添加物 魚類の鰓(えら)での呼吸機能を阻害

銅は、地殻中に広く分布する必須微量元素の一つです。電気伝導性や熱伝導性に優れ、幅広い用途に使用されてきました。銅は、電線、配管、建材、合金などに利用されるほか、農業分野では殺菌剤や飼料添加物としても用いられます。一方で、高濃度の銅は水生生物に対して毒性を示します。特に、魚類や甲殻類は銅に敏感であり、生態系への影響が懸念されています。銅イオンは、鰓(えら)での呼吸機能を阻害し、酸化ストレスを引き起こすことで生物に悪影響を及ぼします。銅の水環境汚染源としては、鉱山排水、工場排水、農地からの流出などが挙げられます。また、船底塗料に含まれる銅が海洋汚染の原因となることも報告されています。水質基準の設定や排水管理の徹底により、銅汚染の防止と生態系の保全が図られています。

亜鉛 ゴムの加硫促進剤や化粧品の紫外線吸収剤

亜鉛は、生体にとって必須の微量元素であり、多くの酵素の構成成分として機能しています。亜鉛メッキ鋼板、合金、化粧品、医薬品など、幅広い分野で利用されています。また、酸化亜鉛は、ゴムの加硫促進剤や化粧品の紫外線吸収剤としても用いられます。しかし、高濃度の亜鉛は水生生物に対して毒性を示します。亜鉛イオンは、魚類の鰓に蓄積し、呼吸機能を阻害します。また、甲殻類や藻類の成長阻害も報告されています。亜鉛の水環境汚染源としては、鉱山排水、工場排水、都市排水などが挙げられます。タイヤ摩耗粉塵や道路排水に含まれる亜鉛も、水環境の汚染負荷として注目されています。亜鉛の適正管理と排水規制の強化により、水生態系への影響を最小限に抑えることが重要です。

ニッケル 耐食性や耐熱性に優れた金属 発がん性や皮膚アレルギーの原因 めっき、電池、触媒

ニッケルは、耐食性や耐熱性に優れた金属で、ステンレス鋼や各種合金の原料として広く使用されています。また、めっき、電池、触媒などにも用いられます。一方で、ニッケルおよびニッケル化合物は、発がん性や皮膚アレルギーの原因となることが知られています。特に、職業性曝露による肺がんや鼻腔がんのリスク増加が報告されています。ニッケルアレルギーは、アクセサリーや衣類の金具などに含まれるニッケルが原因で発症することがあります。欧州連合(EU)では、アクセサリーや衣類のニッケル放出量を規制する指令が導入されています。また、ニッケルは水生生物に対しても毒性を示し、生態系への影響が懸念されています。ニッケル化合物の適正管理と排出規制の強化、代替材料の開発などが求められています。

ヒ素 半導体材料や木材防腐剤 発がん性、神経毒性、皮膚障害

ヒ素は、地殻中に広く分布する元素で、無機ヒ素化合物と有機ヒ素化合物に大別されます。無機ヒ素化合物は、半導体材料や木材防腐剤などに使用されてきましたが、毒性が高いことから、現在ではその用途は制限されています。一方、有機ヒ素化合物の一部は、医薬品として利用されています。ヒ素は、発がん性、神経毒性、皮膚障害などの健康影響が知られています。特に、無機ヒ素化合物への長期曝露は、皮膚がん、肺がん、膀胱がんなどのリスクを高めます。また、ヒ素は、飲料水の汚染物質としても重要です。地下水中のヒ素汚染は、世界各地で報告されており、バングラデシュやインドでは深刻な健康問題となっています。ヒ素の適正管理と汚染対策、安全な水源の確保などが求められています。

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アンチモン 鉛蓄電池の合金材料、半導体材料、難燃剤、顔料

アンチモンは、希少金属の一つで、主に硫化アンチモン鉱から採取されます。アンチモンは、鉛蓄電池の合金材料、半導体材料、難燃剤、顔料などに使用されています。また、三酸化アンチモンは、ポリエステル繊維の触媒としても用いられます。アンチモンおよびアンチモン化合物は、高濃度での曝露により健康影響を引き起こす可能性があります。吸入曝露による肺の刺激や肺炎、経口曝露による消化器症状などが報告されています。また、アンチモンは、水生生物に対する毒性も示します。鉱山排水や工場排水に含まれるアンチモンが、水環境の汚染源となることがあります。アンチモンの適正管理と排出規制の強化、安全な代替材料の開発などが求められています。

ベリリウム 航空宇宙産業や電子機器産業 発がん性と慢性毒性

ベリリウムは、軽量で高い剛性と熱伝導性を持つ金属です。航空宇宙産業や電子機器産業において、ベリリウム合金や窓材などに使用されています。また、原子力産業では、中性子反射材としても用いられます。一方で、ベリリウムおよびベリリウム化合物は、発がん性と慢性毒性が知られています。特に、職業性曝露によるベリリウム感受性の発症や慢性ベリリウム肺疾患のリスクが報告されています。吸入曝露により、肺の肉芽腫性炎症や線維化が引き起こされます。また、皮膚への接触により、接触性皮膚炎を発症することもあります。ベリリウムの使用には厳重な管理が必要であり、作業環境のモニタリングや曝露防止対策の徹底が求められています。代替材料の開発も進められています。

タリウム 殺鼠剤や殺虫剤 神経毒性

タリウムは、柔らかく、展性に富む重金属元素です。タリウム化合物は、かつて殺鼠剤や殺虫剤として使用されていましたが、現在ではその用途は制限されています。タリウムは、半導体材料や光学機器、医療用放射性医薬品などに用いられることがあります。タリウムおよびタリウム化合物は、急性および慢性の毒性を示します。特に、神経毒性や心毒性が顕著であり、頭痛、視覚障害、末梢神経障害、不整脈などの症状を引き起こします。また、発がん性や生殖毒性も懸念されています。タリウムは、土壌や水環境を汚染し、食物連鎖を通じて生物に蓄積する可能性があります。タリウムの適正管理と使用規制の強化、環境モニタリングの実施などが求められています。

セレン ガラス製造や顔料、光電池、半導体

セレンは、ヒトや動物にとって必須の微量元素であり、抗酸化酵素の構成成分として重要な役割を果たしています。また、セレンは、ガラス製造や顔料、光電池、半導体などに利用されています。適切な量のセレン摂取は健康に必要ですが、高濃度のセレンは毒性を示します。セレン中毒(セレノシス)は、脱毛、爪の変形、神経障害などの症状を引き起こします。また、セレンは、水生生物に対しても毒性を示し、生態系への影響が懸念されています。セレンの水環境汚染源としては、石炭燃焼、鉱山排水、農地排水などが挙げられます。セレンの適正管理と排出規制の強化、環境モニタリングの実施などが求められています。

トリブチルスズ(TBT)強い毒性 防汚塗料 木材防腐剤、漁網の防汚剤

トリブチルスズ(TBT)は、有機スズ化合物の一種で、防汚塗料や木材防腐剤、漁網の防汚剤などに使用されてきました。特に、船底塗料に含まれるTBTは、海洋汚染の原因物質として問題視されてきました。TBTは、非常に低濃度でも水生生物に強い毒性を示します。巻貝類のイ/ン/ポ/セ/ッ/ク/ス(雌の雄性化)や貝類の殻の異常形成など、内分泌かく乱作用が報告されています。また、TBTは、魚類の免疫機能を低下させ、感染症のリスクを高めることも知られています。TBTは、底質に蓄積し、長期にわたって環境中に残留します。2008年に発効した国際海事機関(IMO)の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約により、TBTを含む防汚塗料の使用が全面的に禁止されました。代替防汚剤の開発と環境モニタリングが進められています。

有機スズ化合物 PVC安定剤、触媒、殺菌剤、防カビ剤 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)

有機スズ化合物は、スズ原子に有機基が結合した化合物群の総称です。トリブチルスズ(TBT)やトリフェニルスズ(TPT)などが代表的な有機スズ化合物です。有機スズ化合物は、PVC安定剤、触媒、殺菌剤、防カビ剤などに幅広く使用されてきました。一方で、有機スズ化合物の中には、環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)としての作用が懸念されているものがあります。トリブチルスズ(TBT)やトリフェニルスズ(TPT)は、水生生物に対して極めて強い毒性を示し、内分泌系や生殖系に悪影響を及ぼします。また、ヒトへの健康影響としては、免疫毒性や神経毒性などが報告されています。有機スズ化合物の使用規制と適正管理の強化、代替物質の開発などが進められています。

ノニルフェノール 界面活性剤や乳化剤の原料 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)

ノニルフェノールは、アルキルフェノールの一種で、主に界面活性剤や乳化剤の原料として使用されてきました。ノニルフェノールエトキシレートは、工業用洗浄剤や繊維処理剤、農薬の乳化剤などに用いられています。しかし、ノニルフェノールは、環境中で生分解を受けて生成される物質であり、環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)としての作用が明らかになっています。ノニルフェノールは、女性ホルモン(エストロゲン)類似の作用を示し、魚類の雌性化や生殖機能の低下を引き起こします。また、ヒトへの健康影響としては、生殖毒性や発達毒性が懸念されています。日本では、2001年に水質汚濁防止法の排水基準項目に追加され、ノニルフェノールの排出規制が行われています。また、界面活性剤の分野では、生分解性の高い代替物質への移行が進められています。

オクチルフェノール 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質) 界面活性剤や乳化剤、殺虫剤の分散剤

オクチルフェノールは、ノニルフェノールと同様に、アルキルフェノールの一種です。オクチルフェノールエトキシレートは、界面活性剤や乳化剤、殺虫剤の分散剤などに使用されてきました。オクチルフェノールも、環境中で生分解を受けて生成される物質であり、環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)としての作用が報告されています。オクチルフェノールは、エストロゲン様作用を示し、水生生物の生殖機能に悪影響を及ぼします。また、ヒトへの健康影響としては、生殖毒性や発達毒性が懸念されています。日本では、ノニルフェノールと同様に、水質汚濁防止法の排水基準項目に指定され、排出規制が行われています。より安全な代替物質の開発と使用が進められています。

トリクロロエチレン 洗浄剤や脱脂剤、ドライクリーニング溶剤 中枢神経系に作用し、頭痛、めまい、疲労感

トリクロロエチレンは、塩素化炭化水素の一種で、無色の液体です。洗浄剤や脱脂剤、ドライクリーニング溶剤などとして広く使用されてきました。しかし、トリクロロエチレンは、発がん性のある有機塩素化合物として知られています。特に、腎臓がんや肝臓がんとの関連性が報告されています。また、トリクロロエチレンは、中枢神経系に作用し、頭痛、めまい、疲労感などの症状を引き起こします。慢性曝露による肝機能障害や腎機能障害も懸念されています。トリクロロエチレンは、地下水汚染の原因物質としても重要です。日本では、水質汚濁防止法の排水基準項目に指定され、排出規制が行われています。また、土壌汚染対策法の特定有害物質にも指定されています。代替洗浄技術の開発と適正管理の徹底が求められています。

テトラクロロエチレン ドライクリーニング溶剤や金属脱脂剤 食道がん 非ホジキンリンパ腫

テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)は、トリクロロエチレンと同様に、塩素化炭化水素の一種です。主に、ドライクリーニング溶剤や金属脱脂剤として使用されてきました。テトラクロロエチレンも発がん性が疑われる物質であり、国際がん研究機関(IARC)では、ヒトに対する発がん性が確認された物質(グループ1)に分類されています。特に、食道がんや非ホジキンリンパ腫との関連性が報告されています。また、テトラクロロエチレンは、中枢神経系に作用し、頭痛、めまい、運動失調などの症状を引き起こします。肝臓や腎臓への慢性毒性も懸念されています。テトラクロロエチレンは、地下水汚染物質としても知られており、日本では水質汚濁防止法の排水基準項目に指定されています。代替洗浄技術の導入と適正管理の徹底が求められています。

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塩化ビニルモノマー PVCの原料

 

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