人件費削減のせいで非正規雇用の増加と雇用の不安定化が起きています。
現代の労働市場が抱える大きな課題です。非正規雇用とは、正社員以外の雇用形態を指し、派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、アルバイトなどが含まれます。日本では、1990年代以降、非正規雇用が大幅に増加しており、2022年には雇用者の4割近くが非正規雇用となっています。以下では、非正規雇用の増加と雇用の不安定化の主な理由について考察し、詳しく解説していきます。
非正規雇用の増加には、いくつかの要因が考えられます。
企業の人件費削減のため、非正規雇用を増やす傾向がある。
景気の低迷により、企業が正規雇用を控える一方で、非正規雇用を活用する傾向がある。
女性や高齢者の就労機会が増加し、非正規雇用の割合が高くなっている。
非正規雇用の増加は、労働者の生活の質の低下や、社会保障制度の持続可能性の問題にもつながります。
政府は、非正規雇用の処遇改善や、正規雇用への転換支援などの対策を講じていますが、根本的な解決には至っていません。
今後は、企業の人事制度の見直しや、社会保障制度の改革など、総合的な取り組みが必要とされています。また、非正規雇用者自身が、自身の権利を主張し、処遇改善を求めていくことも重要でしょう。
企業の人件費削減志向
非正規雇用の増加には、企業の人件費削減志向が大きく影響しています。バブル経済崩壊後、日本企業は厳しい経営環境に直面し、コスト削減が経営上の重要課題となりました。人件費は、企業にとって大きな負担であり、正社員の雇用を抑制し、非正規雇用を活用することで、人件費の削減を図ったのです。
正社員は、雇用保障や年功賃金、福利厚生など、手厚い処遇を受けています。そのため、正社員の人件費負担は重く、景気の変動に応じて雇用量を調整することが難しいのです。一方、非正規雇用は、雇用調整が容易で、賃金も正社員に比べて低く抑えられます。企業にとって、非正規雇用は人件費の変動費化を可能にする魅力的な選択肢だったのです。
非正規雇用の増加には、企業の人件費削減志向が大きく影響しています。バブル経済崩壊後、日本企業は厳しい経営環境に直面し、コスト削減が経営上の重要課題となりました。人件費は、企業にとって大きな負担であり、正社員の雇用を抑制し、非正規雇用を活用することで、人件費の削減を図ったのです。
非正規雇用の増加は、企業にとって短期的には人件費の削減に効果的ですが、長期的には様々な問題を引き起こす可能性があります。
例えば、非正規雇用者の多くは低賃金で不安定な雇用状況に置かれており、生活の質の低下や貧困層の増加につながる可能性があります。また、企業にとっても、熟練した人材の確保が困難になったり、従業員のモチベーション低下や生産性の低下につながる可能性があります。
さらに、非正規雇用の増加は、社会保障制度の持続可能性にも影響を与える可能性があります。非正規雇用者の多くは社会保険に加入していないため、年金や医療保険の財政基盤が弱まる可能性があるのです。
以上のように、非正規雇用の増加は、企業にとっても社会にとっても様々な問題を引き起こす可能性があります。企業は、短期的な人件費削減だけでなく、長期的な視点から人材育成や働き方改革に取り組む必要があるでしょう。また、政府は、非正規雇用者の処遇改善や社会保障制度の改革に取り組む必要があるでしょう。
グローバル競争の激化により、企業は人件費の抑制を迫られています。
海外の低賃金国に比べて、日本の人件費の高さは競争力の観点から問題視されてきました。非正規雇用の活用は、グローバル競争に対応するための企業の合理的な選択とも言えるでしょう。
ただし、非正規雇用の増加は、企業の短期的な利益を優先した結果であり、長期的な観点からは課題も多いと指摘されています。非正規雇用の増加は、従業員のモチベーションや技能向上への投資を阻害し、生産性の向上を妨げる可能性があるのです。また、非正規雇用の処遇改善や雇用の安定化は、企業の社会的責任としても重要な課題と言えます。
企業は人件費を抑えるため、正規雇用よりも柔軟性の高い非正規雇用を増やす傾向にあります。しかし、非正規雇用の増加は以下のような課題を引き起こします。
非正規雇用者の多くは低賃金で、雇用が不安定なため、生活の質が低下する
非正規雇用者は正規雇用者に比べ、教育訓練の機会が少ないため、スキルアップが難しい
非正規雇用の増加は、所得格差の拡大や、消費の低迷など、経済全体に悪影響を及ぼす
一方で、非正規雇用は企業の柔軟性を高め、イノベーションを促進する面もあります。
したがって、企業は短期的な利益だけでなく、従業員の生活の質や、経済全体の持続可能性を考慮し、適切な雇用形態のバランスを取ることが重要です。政府も、非正規雇用者の処遇改善や、スキル向上支援など、総合的な対策を講じる必要があるでしょう。
非正規雇用の増加は、従業員のモチベーションや技能向上への投資を阻害し、生産性の向上を妨げる可能性があります。
一方で、非正規雇用の処遇改善や雇用の安定化は、企業の社会的責任としても重要な課題です。
企業は、従業員の能力開発や長期的な視点での人材育成に取り組むことが求められます。非正規雇用の従業員も含めて、公平な評価と処遇を行い、モチベーションを高めることが生産性向上につながります。
また、非正規雇用の増加は、経済的な格差の拡大や社会の分断につながる可能性があります。企業は、社会の一員としての責任を果たすべく、雇用の安定化や処遇改善に取り組む必要があります。
ただし、企業の経営環境に応じた柔軟な雇用形態の選択も重要です。非正規雇用を活用しつつ、従業員の能力開発や処遇改善にも取り組むバランスが求められます。
AI技術は、特定のタスクを自動化する能力を持ち、これにより多くの職業が危機にさらされています。例えば、製造業やサービス業では、AIによる効率化が進み、人間の労働力が必要とされなくなるケースが増えています。これにより、失業率の上昇や非正規雇用の増加が懸念されています。
非正規雇用は、安定した雇用を提供しないため、経済的な不安定さをもたらします。AIによる自動化が進むことで、企業はコスト削減を優先し、非正規雇用を増やす傾向があります。この状況は、労働者の生活水準を低下させる要因となり得ます。
日本では、終身雇用制度が長らく経済成長を支えてきました。この制度は、企業と従業員との信頼関係を築き、安定した労働環境を提供することで、生産性向上に寄与してきました。終身雇用によって従業員は長期的な視点で仕事に取り組むことができ、企業も人材育成に投資する余裕があります。
高度経済成長期には、多くの企業が終身雇用を採用し、その結果として安定した労働力を確保しました。このような安定性は、イノベーションや生産性向上にも寄与し、日本経済の発展を支える基盤となりました
実際にはAIの導入によって人件費を削減する企業が多く、イラストレーターなどの職種では画像生成AIを使用することで雇用が減少しています。この結果、AIによって新たな雇用が創出されても、新卒至上主義や転職の難しさから多くの人々が職を失うリスクがあります。
AI技術は、特定のタスクを迅速かつ正確に実行する能力を持っています。これにより、従来人間が行っていた業務が自動化され、特に定型的な作業やクリエイティブな作業でもAIが代替可能となっています。例えば、イラストやデザインの作成は、AIによって短時間で大量に生産できるため、雇用機会が減少しています。
企業は利益を最大化するために、人件費を削減する手段としてAIを導入します。この結果、従来の職種が不要となり、雇用が失われるリスクが高まります。特に新卒至上主義や転職市場の厳しさから、新たな職を見つけることが難しい人々が増加しています。
AI技術の進展は、新たなスキルや知識を求める市場環境を生み出します。しかし、多くの労働者はこの変化に適応できず、結果として職を失うことになります。特に中高年層や新卒者は、新しい技術への対応能力が求められますが、教育や訓練が不足している場合、この適応は難しくなります。
AIの発展により労働者を解雇することにより人件費を削減することが可能となったため、大規模リストラ、大規模レイオフが実現可能となっており、人工知能の導入は人権侵害です
AIによる効率化、人件費削減という名目で労働者を解雇することは人権侵害
AI技術の進化は、特にルーティン作業や中スキル職の労働者を代替する能力を高めています。例えば、生成AIは文章作成やデザインなどの分野で人間の仕事を迅速にこなすことができるため、従来必要とされていたスキルが軽視される傾向があります。この結果、非熟練労働者や中スキル職の雇用が減少し、経済格差が拡大する可能性があります。
企業はAIを導入することで人件費を削減し、利益を最大化しようとします。特にテクノロジー企業では、業績が好調であっても従業員を解雇する動きが見られます。これは、AI技術への投資資金を確保するためであり、短期的な利益追求が優先される結果として、多くの労働者が職を失うことになります。
日本では解雇には厳しい規制がありますが、
AI導入によるリストラは法的に許可される場合があります。
企業は解雇理由を正当化する必要がありますが、
AIによる効率化という名目で労働者を解雇することは、人権侵害と見なされることもあります。特に、解雇された労働者は新たな職を見つけることが難しくなるため、その生活基盤が脅かされます。
企業は利益追求だけでなく、社会的責任も果たす必要があります。
AIによるリストラが進む中で、企業は従業員の再教育や新たな雇用機会の創出に取り組むべきです。これにより、労働市場全体の安定性を保ちつつ、人権尊重の観点からも適切な対応を求められます。
AI技術の発展は確かに効率性を向上させ、人件費削減につながります。
しかし、その影響で多くの労働者が解雇される事態は、人権侵害として批判されるべきです。
企業は利益だけでなく、社会全体への影響も考慮し、
持続可能な経営戦略を模索する必要があります。
人工知能を導入して人件費削減として労働者を解雇するのは人権侵害です。
産業構造の変化
日本の産業構造の変化も、非正規雇用の増加に影響を与えています。1970年代以降、日本経済はサービス経済化が進展し、第三次産業(サービス業)のウェイトが高まりました。サービス産業は、製造業に比べて労働集約的な性格が強く、非正規雇用の活用に適しているのです。
小売業、飲食業、宿泊業、医療・福祉など、対人サービスを提供する産業では、パートタイム労働者やアルバイトの活用が進んでいます。これらの産業では、時間帯による繁閑の差が大きく、フルタイムの正社員よりも、短時間労働の非正規雇用の方が効率的なのです。
また、IT化の進展により、業務の細分化や標準化が可能となり、専門性の高い業務とそうでない業務に分化が進んでいます。専門性の高い業務は正社員が担い、定型的な業務は非正規雇用が担うという役割分担が広がっているのです。
ただし、サービス産業の非正規雇用の増加は、雇用の不安定化や処遇の低さなどの問題を抱えています。サービス産業の生産性の向上と、非正規雇用の処遇改善は、重要な政策課題と言えるでしょう。
具体的に、2021年の雇用者数の動向を産業別にみると、「卸売業,小売業」「宿泊業,飲食サービス業」「医療,福祉」などでは、女性の非正規雇用労働者を中心に減少した後、一部で回復の兆しがみられました。一方、「情報通信業」「医療,福祉」では、雇用者数は増加傾向にあります。
また、「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」「サービス業(他に分類されないもの)」は、入職率も高いが、離職率も高い傾向にあります。
このように、対人サービス産業では、非正規雇用の活用が進んでいますが、一方で人材の定着が課題となっています。感情労働の負担を軽減し、従業員の定着を図るためには、個人レベル、グループレベル、組織レベルでの対応が重要だと考えられます。
専門性の高い業務を正社員が、定型的な業務を非正規雇用が担うという役割分担が広がっているのは事実です。しかし、サービス産業を中心とした非正規雇用の増加は、雇用の不安定化や処遇の低さなどの問題を引き起こしています。
非正規雇用者の割合は年々増加しており、2019年時点で就業者の3割以上を占めています。特に女性の雇用では非正規雇用の割合が高く、63%に上ります。非正規雇用を選択する理由としては、「自分の都合のよい時間に働ける」や「家計の補助、学費等を得たいから」といった個人の事情が多いものの、「正規雇用として働ける会社がない」と答えた人も18.9%いることから、正規雇用を希望しながらも非正規雇用を余儀なくされている労働者も少なくないことがわかります。
一方で、正規雇用と非正規雇用の間には労働条件の格差が存在しています。正社員に対しては57.2%の事業所が計画的なOJTを実施しているのに対し、非正規雇用者の処遇は低く、雇用の不安定さも抱えています。
このように、専門性の高い業務と定型的な業務の役割分担は進んでいるものの、非正規雇用の増加は労働者の処遇悪化につながる問題を孕んでいます。今後は、正規雇用と非正規雇用の労働条件格差の解消と、両者の働き方の二極化の解消が重要な政策課題となるでしょう。
労働市場の規制緩和 非正規雇用の増加には、労働市場の規制緩和も影響を与えています。
日本では、1980年代後半以降、労働市場の規制緩和が進められてきました。労働者派遣法の制定や改正により、派遣労働の対象業務が拡大され、製造業務への派遣も解禁されました。また、有期労働契約に関する規制も緩和され、有期雇用の活用が広がったのです。
規制緩和は、労働市場の柔軟性を高め、企業の雇用調整を容易にすることを目的としていました。景気変動に応じて、迅速に雇用量を調整できる環境を整備することで、雇用の創出につなげることが期待されたのです。
しかし、規制緩和は、非正規雇用の増加を助長する側面もありました。派遣労働や有期雇用の拡大は、正社員と非正規雇用の代替を進め、正社員の雇用を減少させる結果をもたらしたのです。非正規雇用の増加は、雇用の不安定化や格差の拡大など、新たな問題を生み出すことになりました。
近年では、非正規雇用の処遇改善や雇用の安定化に向けた取り組みが進められています。2019年には「働き方改革関連法」が施行され、正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇差の解消などが図られました。しかし、非正規雇用の処遇改善は道半ばであり、さらなる取り組みが求められています。
1985年に労働者派遣法が制定され、派遣労働の対象業務が拡大されました。1999年の改正では製造業務への派遣も解禁されました。
有期労働契約に関する規制も緩和され、有期雇用の活用が広がりました。これにより、正規雇用と非正規雇用の二重構造が深刻化しました。
1980年代後半は、日本経済が高度成長期から成熟期へと移行する過渡期でした。この時期、財政・金融政策の運営に課題があったことが指摘されています。
1980年代後半の日本経済は、内需主導型の成長に転換しました。この時期に資産バブルが発生し、1990年代初頭のバブル崩壊後、長期の経済低迷につながりました。
以上のように、1980年代後半以降の労働市場の規制緩和は、日本経済の成熟化に伴う構造変化の一環として位置づけられます。ただし、規制緩和が必ずしも望ましい結果をもたらしたわけではなく、正規・非正規雇用の二重構造の深刻化など、新たな課題も生み出しました。
2019年に施行された「働き方改革関連法」では、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消が目指されましたが、非正規雇用の処遇改善は道半ばの状況にあります。
具体的には、同一企業内において、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を設けることが禁止されました。 しかし、非正規雇用労働者の待遇改善には課題が残っています。
非正規雇用労働者の中には、自らのライフスタイルに合った働き方を実現できる可能性が高まったものの、依然として不合理な待遇格差が解消されていない人も多いのが現状です。
今後は、企業が正規雇用と非正規雇用の待遇格差を見直し、職務内容や成果に応じた公正な評価と処遇を行うことが求められます。また、非正規雇用労働者自身も自らの権利を理解し、企業に対して働きぶりに見合った待遇を求めていくことが重要でしょう。
女性の労働参加の増加
女性の労働参加の増加も、非正規雇用の増加に影響を与えています。日本では、1980年代以降、女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)が上昇傾向にあります。女性の高学歴化や晩婚化、共働き世帯の増加などを背景に、女性の社会進出が進んだのです。
しかし、女性の労働参加の増加は、必ずしも正社員としての雇用増加につながったわけではありません。女性の多くは、パートタイム労働者や派遣社員など、非正規雇用として労働市場に参入しているのです。
女性が非正規雇用を選択する理由としては、家事や育児との両立の容易さが挙げられます。非正規雇用は、勤務時間が短く、柔軟に働ける場合が多いため、家庭責任を担う女性にとって魅力的な選択肢となっているのです。
また、税制や社会保障制度の影響も指摘されています。日本の税制は、配偶者控除や配偶者特別控除など、専業主婦世帯を優遇する仕組みがあります。パート労働の場合、一定の所得金額までは控除が受けられるため、パート労働を選択するインセンティブが働くのです。社会保障制度においても、第3号被保険者制度など、専業主婦優遇の仕組みが存在します。
女性の非正規雇用の増加は、男女間の賃金格差や処遇格差の問題を顕在化させています。同一労働同一賃金の実現や、非正規雇用の処遇改善は、ジェンダー平等の観点からも重要な課題と言えるでしょう。
日本の女性の労働参加率が上昇傾向にあるのは、以下のような要因が考えられます。
女性の高学歴化が進み、教育水準の上昇により労働参加率が高まっている。
晩婚化や未婚率の上昇により、結婚・出産を機に退職する女性が減少している。
共働き世帯の増加など、女性の社会進出が進んでいる。
一方で、女性の労働参加率の上昇は、非正規雇用の増加にも影響を与えています。日本では、女性の6割が第一子出産を機に退職しており、再就職する際に非正規雇用を選択する傾向にあります。
また、日本の女性の労働参加率は先進国の中では低い部類に入ります。女性の活躍を促進するためには、採用や昇進における男女格差の解消や、子育て支援策の拡充など、様々な課題に取り組む必要があります。
女性の非正規雇用の増加は、男女間の賃金格差や処遇格差の問題を顕在化させています。非正規雇用労働者の多くが女性であり、低賃金で不安定な雇用形態に置かれている現状があります。
同一労働同一賃金の実現に向けて、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消し、非正規雇用労働者の処遇改善に取り組むことが重要です。また、男女雇用機会均等法の差別禁止事項に「賃金」を加え、司法判断や行政指導等による救済の実効性を図るべきだと指摘されています。
さらに、性別役割分担の意識を解消し、男女が協力して家事・育児を行ったり、男女が共同して社会に参画したりすることの重要性について、若い頃からの教育・啓発が必要とされています。
以上のように、女性の非正規雇用の増加は、男女間の賃金格差や処遇格差の問題を浮き彫りにしており、同一労働同一賃金の実現や、非正規雇用の処遇改善、性別役割分担の意識改革など、ジェンダー平等の観点から取り組むべき課題が多く残されていると言えます。
女性の非正規雇用者数が増加傾向にある。2007年時点で女性雇用者の3分の1以上を占めており、非正規雇用者の大部分が女性である。
従来の正社員の中でも、高卒・短大卒で入社した女性の多くが職能資格の下位層に長く位置し、企業にとってコスト負担感が強くなっていた。そのため、正社員の多様化を図る動きがある。
一方で、コロナ禍以降、女性の正規雇用者数は増加基調を維持している。背景には、女性活躍推進法や子育て支援、無期転換ルールなどの法制度・政策の整備が、女性の労働参加・就業形態の転換を促してきたことがある。
以上のように、女性の労働参加は増加しているものの、正社員としての雇用増加につながっていない面もある一方で、法整備などを背景に女性の正規雇用も増加傾向にあるのが現状です。今後は、女性の活躍推進と正規雇用の増加を両立させていくことが課題と言えるでしょう。
若年層の雇用環境の変化
若年層の雇用環境の変化も、非正規雇用の増加に影響を与えています。バブル経済崩壊後、若年層の雇用環境は大きく悪化しました。新卒一括採用の縮小や、就職氷河期の影響により、正社員として安定した職に就くことが難しくなったのです。その結果、多くの若者がフリーターやニートなど、非正規雇用や無業の状態に留まることになりました。フリーターとは、正社員以外の雇用形態で働く若者を指します。アルバイトや派遣社員、契約社員などが含まれます。ニートとは、非労働力人口のうち、家事も通学もしていない若者を指します。
フリーターやニートの増加は、若者の将来的なキャリア形成や所得の向上を阻害する要因となっています。正社員として安定した職に就けない若者は、技能習得の機会に恵まれず、将来的な雇用の不安定化につながるのです。
また、若年層の非正規雇用の増加は、晩婚化や未婚化、出生率の低下など、人口動態にも影響を与えています。経済的な基盤が不安定では、結婚や出産を躊躇する若者が増えるのは自然な成り行きと言えます。
若年層の雇用問題への対応は、喫緊の課題です。教育機関と企業の連携強化や、職業訓練の充実、ジョブ型正社員制度の導入など、若者の正社員化に向けた取り組みが求められています。また、非正規雇用の処遇改善や、キャリアアップの仕組みづくりも重要です。
非正規雇用の増加と雇用の不安定化は、日本社会に様々な影響をもたらしています。所得格差の拡大、社会保障制度の脆弱化、少子化の進行など、深刻な問題に直結しているのです。
非正規雇用の問題への対応には、企業の雇用管理の改善と、政府の政策的な支援の両輪が欠かせません。企業は、非正規雇用の処遇改善と、正社員化の推進に取り組むことが求められます。政府は、同一労働同一賃金の実現や、職業訓練の強化、社会保障制度の見直しなど、雇用の安定化に向けた施策を講じる必要があります。
非正規雇用の増加は、日本の労働市場の構造的な問題を反映しています。グローバル競争への対応、少子高齢化の進展、女性の社会進出など、日本社会が直面する課題に対して、柔軟な労働市場の構築が求められているのです。同時に、雇用の安定と、働く人々の処遇の改善は、持続可能な社会の実現にとって不可欠の要素です。
正社員就職が困難に
1990年代のバブル経済崩壊後、企業の新卒採用が大幅に抑制されたため、就職氷河期世代(1970~80年代生まれ)は希望する正社員就職が極めて難しくなりました。 企業は既存の正社員を守るため、新規採用を抑えたのです。
非正規雇用やニートが増加
就職口が閉ざされたことで、フリーターなど非正規雇用に就く者や、アルバイトやパートも含めて無業のニートが大量に発生しました。 非正規雇用者は賃金が低く雇用が不安定なため、経済的に苦しい状況に陥りました。
長期的な影響
就職氷河期世代の中には、その後正社員になれた人もいますが、同年代の正社員と比べて収入が低い傾向にあります。 また、年齢を重ねてもなおフリーターやニートが一定数残っており、転職への意欲も低い実態があります。
就職氷河期の影響は長期化し、この世代の雇用問題は現在に至るまで尾を引いています。
コロナ禍による就職難
コロナ禍で企業の採用活動が大幅に縮小し、学生の就職活動が困難になったことが示唆されています。の記事によると、コロナ禍で4割の学生がキャリア(進路)を見直したとのことです。このような状況は、1993年から2005年の就職氷河期に似ていると言えます。
しかし、就職氷河期ほどの長期的な就職難になるかは不明です。コロナ禍の影響は一時的なものかもしれません。また、政府は就職氷河期世代への支援策を講じており、同様の対策が今後も行われる可能性があります。
まとめ
コロナ禍で企業の採用活動が縮小し、学生の就職活動が困難になった
この状況は就職氷河期に似ているが、長期化するかは不明
政府は就職氷河期世代への支援策を講じており、同様の対策が期待される
教育機関と企業の連携強化
教育機関と企業が連携を強化することで、以下のようなメリットが期待できます。
企業のニーズに合った人材育成が可能になる
インターンシップなどを通じて学生の職業意識を高められる
労働組合との連携により、リアルな労働教育が可能になる
職業訓練の充実
職業訓練を充実させることで、以下が期待できます。
求職者と企業のミスマッチを解消できる
技術革新に対応できる人材を育成できる
生涯を通じてキャリアチェンジやスキルアップが可能になる
ジョブ型正社員制度の導入
ジョブ型正社員制度を導入するメリット
専門性の高い人材を確保しやすくなる
多様な働き方に対応しやすくなる
人材不足への対応が可能になる
しかし、日本ではメンバーシップ型雇用が主流であり、ジョブ型正社員制度への転換には課題もあります。教育機関を含めた人材育成の在り方の変革が必要です。
バブル経済崩壊後の長期不況期には、企業の雇用調整として非正規雇用が大幅に増加した。 特に就職氷河期世代は新規学卒採用が抑制され、非正規雇用に就かざるを得なかった層が多数存在した。
非正規雇用増加の背景
バブル崩壊後の長期不況による企業の雇用調整
新規学卒採用抑制による若年層の非正規雇用増加
技術進歩による非正規雇用活用の促進
就職氷河期世代の非正規雇用の実態
100万人を上回る規模の非正規雇用が残存
低賃金で十分な年金が確保できず、将来的に生活保護受給リスクあり
したがって、就職氷河期における雇用環境の悪化が若年層の非正規雇用化を大きく後押ししたと言える。 政府は正規雇用化支援に力を入れているものの、就職氷河期世代の正規化は思うように進んでいない。
主な要因
経済不況による雇用機会の減少
産業構造の変化に伴う雇用への影響
若者の意識変化や受動的な姿勢
対策の必要性
規則正しい生活リズムの確立
コミュニケーション能力の向上
自己肯定感を高める支援
段階的な社会参加の機会提供
職業観や雇用情勢への関心を高める
フリーターやニートから脱却するには、単に就職の場を提供するだけでなく、生活習慣の改善やメンタルヘルスケア、スキル向上のための包括的な支援が求められます
フリーターの割合
総人口に占める割合は約1.1%
15~34歳の年齢層に限れば約5.3%
2022年の平均人数は132万人
ニートの割合
15~34歳の若年無業者(ニート)の割合は約1.9%
35~44歳の中年無業者の割合は約1.1%
2022年の平均人数は57万人
フリーターの方がニートよりも多く、特に15~34歳の若年層でフリーターの割合が高くなっています。ただし、フリーターとニートの境界は曖昧で、状況によって行き来する可能性があります。
総じて、フリーターは15~34歳の5%強、ニートは15~34歳で2%弱という割合になっており、若者の雇用問題は深刻な状況にあると言えます。早期の就職支援が重要視されています。
就労経験の乏しさ
正社員としての実務経験がないため、スキルや業務遂行能力が不足している
長期間無職だと社会人基礎力(コミュニケーション力、規律性など)が身につきにくい
意欲や自信の低下
就職活動の失敗経験から自信を失い、受け身の姿勢になりがち
規則正しい生活リズムを持てず、就労意欲が低下する恐れ
年齢の上昇
年齢が上がるほど正社員への門戸が狭まる
35歳以上になると採用基準を満たせなくなるケースも
社会的なマイナスイメージ
企業側が未経験者や無職期間の長い人材を敬遠する傾向
社会的立場が弱く、採用時に不利になりがち
フリーターやニートからの脱却には、単に就職の場を提供するだけでなく、生活習慣の改善やスキル向上、メンタルヘルスケアなど包括的な支援が必要とされています。早期の段階的な就労支援が重要視されています。
非正規雇用の増加は、若年層の平均所得を低下させ、雇用の不安定性を高める。これにより、結婚に必要な経済的基盤が築きにくくなり、結婚に対する意欲が減退する。
また、非正規雇用の増加は、男女の出会いの場を減らし、結婚に至るまでの交際期間を長くする。これらの要因が、未婚率の上昇につながっていると考えられている。
さらに、晩婚化に伴う晩産化や、子どもの経済的負担の大きさを理由に、追加出生や理想の子供数の実現をあきらめる夫婦が増加している。
以上のように、若年層の非正規雇用の増加は、結婚や出産に対する経済的不安を高め、晩婚化や未婚化、出生率の低下につながっていると言える。少子化対策としては、若年層の雇用の安定化や、子育て支援策の拡充が重要だと考えられる。
中小企業の経営難と廃業の増加
中小企業は、日本企業の99.7%を占め、雇用の約7割を担う重要な存在ですが、近年、その経営環境は厳しさを増しています。以下では、中小企業の経営難と廃業の増加の主な理由について考察し、詳しく解説していきます。
後継者問題 後継者不足による廃業は大きな問題で、貴重な経営資源や技術が失われてしまう恐れがある。理由としては労働人口不足のほか、人材育成や事業継承の失敗などが挙げられる。
技能承継 会社を次世代に存続させるには、経営者の引き継ぎだけでなく、企業の強みである技能・技術の伝承も必須。
コロナ禍による経営環境の悪化 相次ぐ危機的状況により、かつて経験したことのないほど厳しい経営環境に直面している。特に資金繰りの問題が深刻化。
労働生産性の低さ 大企業と比べ中小企業の労働生産性は低い水準にある。
新陳代謝の停滞 中小企業の新陳代謝は一定程度進んでいるものの、依然として課題が残る。
人手不足の深刻化
中小企業の経営難の大きな要因の一つは、人手不足の深刻化です。少子高齢化の進展により、生産年齢人口が減少しており、労働力の確保が困難になっているのです。特に、地方の中小企業では、若者の都市部への流出により、人手不足に拍車がかかっています。
人手不足は、中小企業の業績に直結する深刻な問題です。人員が不足すれば、受注機会を逃したり、業務の質の低下を招いたりします。また、人件費の高騰により、収益性が悪化する恐れもあります。
政府は、外国人労働者の受け入れ拡大や、女性・高齢者の就業促進など、労働力確保に向けた施策を講じていますが、抜本的な解決には至っていません。中小企業は、魅力ある職場環境の整備や、省力化投資の推進など、自助努力も求められています。
労働力不足の影響
生産年齢人口の減少は、以下のような深刻な影響を及ぼします。
経済成長の停滞
質の高い労働力が経済成長の鍵となる現代社会において、企業が十分な人材を確保できなくなれば、競争力を失い、経済全体が停滞する恐れがあります。
国内需要の減少
若年層の消費が低下し、これが企業の業績や雇用に影響を及ぼし、景気の停滞や成長の鈍化につながる可能性があります。
社会保障制度への影響
生産年齢人口の減少は、社会保障制度の財政を悪化させ、将来的に制度の維持が困難になる可能性があります。 医療・介護費の増加に伴い、現役世代の負担が重くなることが予想されます。
労働力不足は、医療・介護人材の確保にも影響を与えます。2025年には約38万人の介護人材が不足すると予測されており、人材確保が急務となっています。
総じて、生産年齢人口の減少は経済や社会保障制度に深刻な影響を及ぼすため、対策が求められています。
後継者不足
中小企業の経営難には、後継者不足の問題も関係しています。日本の中小企業経営者の平均年齢は60歳を超えており、多くの企業で事業承継が大きな課題となっているのです。
事業承継がスムーズに行われないと、業績の悪化や廃業のリスクが高まります。親族内での承継が難しい場合は、M&A(合併・買収)や第三者への承継などの選択肢もありますが、希望する条件での承継先の確保は容易ではありません。
後継者不足の背景には、少子化の影響があります。経営者の子息が親の事業を継がないケースが増えているのです。また、経営の先行きへの不安から、子息自身が事業承継を躊躇するケースもあります。
事業承継の問題への対応は急務です。事業承継税制の拡充や、M&Aの支援強化、第三者承継の推進など、政策的な後押しが求められています。また、中小企業経営者自身が、早期から計画的に事業承継に取り組むことも重要です。
中小企業経営者の高齢化と事業承継の課題
中小企業経営者の平均年齢は年々上昇し、2019年には62.16歳と過去最高を記録しました。
60代以上の経営者の約半数が「まだ事業承継の準備をしていない」「準備する予定がない」と回答しています。
後継者が決まっている企業はわずか12.5%にすぎず、52.6%の企業が廃業を予定していると回答しています。
事業の将来性があるにもかかわらず、後継者問題で廃業せざるを得ない中小企業が多数存在します。
経営者の高齢化が企業に与える影響
後継者がいる企業の方が、売上高成長率が高い傾向にあります。
事業承継後も、同業種平均を上回る成長を遂げている企業が多数あります。
経営者の高齢化が進めば、休廃業・解散リスクが高まります。
以上のように、中小企業経営者の高齢化と事業承継の遅れは、企業の存続と成長にとって深刻な課題となっています。
事業承継税制の拡充
2018年度税制改正で、法人版事業承継税制が10年間の時限措置として拡充された。非上場株式の贈与税・相続税負担を実質ゼロにする納税猶予・免除制度が設けられた。
2024年度税制改正で、この特例措置の適用期限が2026年3月31日まで2年間延長された。制度適用の準備に時間的猶予が生まれる。
M&Aの支援強化
「中小M&Aガイドライン」や「M&A支援機関登録制度」の周知が求められている。
「事業承継・引継ぎ補助金」の活用促進により、M&A実施時の費用面での支援が期待される。
第三者承継の推進
東京都が「企業再編促進支援事業」を実施し、M&Aプラットフォーマーの活用を支援している。
後継者不在の場合、第三者承継(M&A)が有効な選択肢となる。
このように、税制面での支援拡充や、M&A支援施策の充実、第三者承継の推進など、中小企業の事業承継を総合的に後押しする政策が重要とされている。
販路開拓の難しさ
中小企業の経営難には、販路開拓の難しさも影響しています。大企業と比べて、中小企業は知名度が低く、営業力も限られているため、新たな顧客の獲得に苦戦するケースが多いのです。
特に、下請け型の中小企業は、特定の取引先への依存度が高く、販路の多角化が難しい状況にあります。親事業者の業績悪化や、発注方針の変更などがあれば、下請け企業の経営は大きな打撃を受けます。
また、グローバル化の進展により、海外企業との競争も激化しています。安価な海外製品に対抗するためには、価格競争力の向上や、製品の差別化が必要ですが、中小企業には十分な経営資源が不足しているのが実情です。
政府は、中小企業の販路開拓を支援するため、展示会の開催や、商談会の実施、海外展開の支援など、様々な施策を講じています。しかし、中小企業自身も、自社の強みを生かした事業戦略の構築や、営業力の強化に取り組むことが求められます。
中小企業の採用課題
中小企業が新規採用で苦戦する主な理由
知名度が低いため、求人への応募が集まりにくい。大手企業に比べてネームバリューがなく、求職者の関心を引きづらい。
採用活動の予算が限られているため、大規模な採用施策を打ち出せない。求人広告の露出が不十分になりがち。
待遇面での魅力が乏しいことが多い。大手に比べて給与水準が低く、福利厚生も手薄なケースが多い。
人材ニーズの専門性が高いため、求める人材を見つけにくい。マイナーな製品や技術を扱う企業が多い。
つまり、中小企業の採用課題は営業力の問題ではなく、知名度の低さや予算の制約、待遇面での魅力不足などが主因となっている。政府も中小企業の人材確保支援に力を入れており、採用成功のためのポイントが示されている。
取引先への高い依存度
取引額の最も多い親事業者への依存度が高い企業ほど、新規顧客獲得活動が不足している傾向にある。
「強い下請企業」を目指すには、10社以内を目処に取引先を分散させることが重要とされている。
親事業者の影響を直接受ける
親事業者の業績悪化や海外シフトなどにより、下請け企業の業績も直接的な影響を受ける。
親事業者の発注方針の変更によっても、経営に大きな打撃を受ける可能性がある。
販路開拓の必要性
コロナ禍やデジタル化、脱炭素化など新たな課題に対応するには、販路の多角化
デジタルトランスフォーメーションを活用した販路開拓が中小企業に求められている。
取引先への過度な依存は経営リスクとなるため、下請け中小企業は自社の強みを活かした新規販路開拓に積極的に取り組む必要がある。
資金繰りの悪化
中小企業の経営難には、資金繰りの悪化も大きく影響しています。中小企業は、大企業に比べて信用力が低く、金融機関からの融資を受けにくい立場にあります。また、自己資本比率が低いため、景気の悪化や、取引先の倒産などがあれば、資金繰りが急速に悪化する恐れがあります。
特に、売掛金の回収の遅れは、中小企業の資金繰りを圧迫する大きな要因です。大企業の支払いサイトの長期化や、手形の利用など、中小企業に不利な取引慣行が残っているのが実情です。
また、設備投資や研究開発など、中長期的な経営戦略の実行にも、資金繰りの制約が足かせとなっています。銀行からの融資を受けられない中小企業は、高金利の借り入れに頼らざるを得ず、収益性が悪化する悪循環に陥るケースもあります。
政府は、信用保証制度の拡充や、日本政策金融公庫による融資など、中小企業の資金繰り支援に取り組んでいます。また、下請取引の適正化に向けた指導や、手形の利用の減少など、取引慣行の改善にも力を入れています。中小企業の側にも、財務体質の強化や、適切な資金繰り管理が求められています。
信用力の低さから金融機関の融資を受けにくい
中小企業は大企業に比べて信用力が低いため、金融機関から融資を受けにくい状況にあります。金融機関は企業の実力や事業計画、返済能力などを審査し、融資の可否を判断します。中小企業は大企業ほど高い信用力がないため、融資を断られる可能性が高くなります。
売上高の減少に対する耐性が低い
新型コロナウイルス感染症の影響により売上高が減少すると、中小企業の業績や資金繰りへの影響は大きくなります。大企業に比べて中小企業の方が売上高の減少に対する耐性が低いためです。
担保となる資産が少ない
金融機関は融資時に担保を求めますが、中小企業は大企業ほど不動産などの担保となる資産を持っていないことが多く、融資を受けにくい状況にあります。
信用保証制度の拡充
信用保証協会による債務保証を通じて、民間金融機関からの融資を支援している。
1950年に中小企業信用保険法を制定し、政府資金で直接融資を保険する制度を創設した。
1951年には同法を一部改正し、信用保証協会の債務保証に信用保険を活用する現行の「信用補完制度」を確立した。
日本政策金融公庫による融資
日本政策金融公庫が中小企業向けに低利の長期事業資金を融資している。
下請取引の適正化
下請代金支払遅延等防止法に基づき、親事業者への指導を行い、下請取引の適正化を図っている。
手形の利用減少
手形の利用が減少し、現金決済が増加するなど、取引慣行の改善が進んでいる。
事業環境の変化への対応の遅れ
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