第9章 ベーシックインカムの導入に向けた課題と展望
ベーシックインカムはAIによる失業者の増加、所得格差などこれからの社会を構想する上で重要な選択肢の一つである。しかし、その実現のためには、様々な課題を克服し、社会的合意を形成していく必要がある。本章では、ベーシックインカムの導入に向けた具体的な課題と展望について論じたい。
AIやロボットの導入により、多くの仕事が自動化され、失業者が増加すると予想される中で、ベーシックインカムは、失業者の生活を支える重要なセーフティネットとなり得ます。仕事を失った人々も、ベーシックインカムによって最低限の生活を維持することができるため、社会的な安定を保つことができるのです。
また、ベーシックインカムは、所得再分配の手段としても有効であると考えられています。AIの導入により、生産性は飛躍的に向上しますが、その果実は一部の企業や個人に集中する傾向にあります。その結果、所得格差が拡大し、社会の分断が進むことが懸念されています。ベーシックインカムは、所得の一部を国民全体に分配することで、格差の是正に寄与することができます。全ての国民に一定の所得が保障されることで、経済的な不安定性が緩和され、社会の安定につながるのです。
ベーシックインカム導入に向けた社会的合意形成
ベーシックインカムの導入に向けた最大の課題の一つが、社会的合意の形成である。全ての国民に無条件で一定額を支給するという発想は、これまでの社会保障の考え方とは大きく異なる。年金や医療保険のように、拠出と給付の関係が明確な制度とは異なり、ベーシックインカムは、「受益と負担の一致」からは距離がある。
したがって、ベーシックインカムの導入には、「なぜベーシックインカムが必要なのか」「ベーシックインカムによってどのような社会を目指すのか」といった問いについて、社会の隅々にまで議論を広げ、国民の理解を得ていく努力が不可欠となる。
その際、ベーシックインカムが特定の政党や思想に偏ったものではなく、多様な立場の人々が共感できるビジョンであることを示すことが肝要だ。
例えば、リバタリアンは「最小限の国家」という観点からベーシックインカムを支持し、
社会主義者は「搾取からの解放」を重視し、
リベラリストは「個人の自由の拡大」を重視する。
ベーシックインカムは、こうした様々な立場の人々の関心を束ねる「重なり合いの合意」たりうるのだ。
もちろん、こうした理念的な議論だけでなく、ベーシックインカムの具体的なメリットについても、分かりやすく伝えていく必要がある。
AIやロボットの発展によって、多くの仕事が失われるが、ベーシックインカムが「機械との競争」から人々を解放し、より創造的で人間らしい活動を可能にする(ただし生成AIは仕事と趣味を奪う)
生成AI(人工知能)の発展は、仕事だけでなく、趣味の領域にも大きな影響を及ぼしつつあります。特に、絵画やデザインなどの創作活動の分野では、AIによる「代替」の問題が浮上しています。
例えば、近年の画像生成AIの発展は目覚ましく、高品質のイラストや絵画を自動生成できるようになっています。ユーザーが簡単なテキスト入力を行うだけで、プロ級のイラストが瞬時に生成されるのです。この技術の進歩は、イラストレーターにとって大きな脅威となっています。
イラストを趣味にしている人々にとっても、AIの存在は看過できない問題です。
これまで自分の創造性を発揮し、独自の作品を生み出してきたアマチュアのイラストレーターたちは、AIによって生成された「AIイラスト」の前に、自らの存在意義を失いつつあるのです。
なぜなら、AIが生成するイラストは、プロのイラストレーターの作品に匹敵する高い品質を誇るからです。しかも、AIは一度学習してしまえば、あとは瞬時に大量のイラストを生成することができます。この圧倒的なスピードと生産性の前では、人間のイラストレーターは太刀打ちできないのが実情です。
もちろん、AIが生成するイラストには、独創性や真の創造性が欠けているという指摘もあります。AIは膨大なデータから学習した「パターン」を組み合わせているに過ぎず、人間のような豊かな感性や表現力を持ち合わせていないというわけです。
しかし、AIの技術は日進月歩で進化を遂げています。近い将来、AIが人間を凌駕する創造性を獲得する可能性も否定できません。そうなれば、イラストレーションの分野で、人間がAIと渡り合っていくことは極めて困難になるでしょう。
このように、生成AIの発展は、「仕事」だけでなく「趣味」の領域をも侵食しつつあります。絵を描くことが好きな人にとって、AIの存在は、自らの表現活動の意義を根底から覆すものとなりかねません。創作の喜びや達成感を味わえなくなるかもしれないのです。
違法な画像生成AIがあります ハッキング盗難品 NovelAIリークモデルとそのマージモデルであるAnythingV3 AnythingV4 AbyssOrangeMix
NovelAIリークモデルの系譜図 NovelAIリークモデルのマージモデル家系図
NAILEAKPROBLEM@NAILEAKproblem
某所で話題になっているモデル関係の系譜図です。
AnythingV3がNAIリーク改造モデルなので、
例えばAOM(AbyssOrangeMix)はNAIリーク派生です。
AOM(AbyssOrangeMix)は作者本人が直々にNAIリークの使用を公言しています。(画像1)
また系図内ではBasilMixに?が付されていますが、近日、マージ者本人がNAIリーク使用を公言しました。(画像2)
https:// x. com/NAILEAKproblem/status/1673194826731495424
https:// note. com/naileakproblem/n/n902be1c1a7c8
andite/AnythingV4のマージレシピにはAbyssOrangeMix2(NovelAIリークモデル)が含まれている
andite/pastel-mixのマージレシピにはBasilMix(NovelAIリークモデルが含まれている上に、商用利用禁止ライセンス)が含まれているため違法な画像生成AI
画像生成AIサービス「NovelAI Diffusion」(NovelAI)を提供する米Anlatanは2023年6月23日、流出した同社のAIモデルや、それを改変したモデルの利用について、公式Twitterアカウントで注意喚起した。「リークモデルを見かけた場合、法的措置を取る場合もある」(同社)という。
https:// www.itmedia.co.jp/news/articles/2306/23/news128.html
反AIは違法な画像生成AIであるNovelAIリークモデルとその派生マージモデルに言及すべきです
AI推進派、AI肯定派は、
2022年10月のNovelAIのGithubハッキング被害により盗み出された、
「違法性のある盗難品」であるNovelAIリークモデル、その派生マージモデル
AnythingV3、AnythingV4、AbyssOrangeMix2などのマージモデルの使用をやめて頂きたい
海賊版ソフトウェア、割れ厨を擁護するAI絵師が非常に多いのがAIイラスト界隈の問題です。
AOM,AbyssOrangeMix2、AOM3にはすべてにNovelAIリークモデルが直接含まれています
AnythingV4にはAbyssOrangeMix2(NovelAIリークモデルが直接混入)が含まれています
PastelMixにはBasilMix(NovelAIリークモデルが直接混入)が含まれています
Linaqruf/AnythingV3
https:// huggingface .co/Linaqruf/anything-v3.0 盗難品 削除済
AnythingV3も正体が盗難品NovelAIリークモデルであることが
2022年10月違法アップロード当時から自白・発覚しています
AnythingV3.0.ckpt (Chinese NAI Resume Training Model) NovelAI leaked model
NovelAIリークモデルanimefull-finalpruned.ckpt vs AnythingV3.0-pruned.ckpt
https:// github .com/questianon/sdupdates/discussions/1
andite/AnythingV4
https:// huggingface. co/andite/anything-v4.0 違法であり削除済み
AbyssOrangeMix2がマージレシピに含まれているためNovelAI animefull-final-pruned.ckpt[925997e9]が混入されている違法なマージモデル
andite/PastelMix
https:// huggingface .co/andite/pastel-mix 違法ライセンス違反で削除済
マージレシピにBasilMix(NovelAI animefull-final-pruned.ckpt[925997e9])が直接混入している
OrangeMixs、AbyssOrangeMixシリーズはNovelAIリークモデルやBasilMixがマージされて混入しているため、違法海賊版でさらに商用利用禁止ライセンスが混ざって危険な違法マージモデルである
https:// huggingface .co/WarriorMama777/OrangeMixs/blob/main/README.md
https:// huggingface .co/WarriorMama777/OrangeMixs/blob/main/VAEs/readme_VAEs.md
NovelAI animefull-final-pruned.ckpt ハッシュ値[925997e9]が直接マージされて混ざっている違法マージモデル
「orangemix.vae.pt
Just renamed from nai.vae.pt
so if you have already nai.vae.pt, no need to download.」デッドコピー違法海賊版である
NovelAI nai.vae.pt sha256ハッシュ値 [f921fb3f] NovelAIリークモデルハッキング盗難品AnythingV3.0.vae.pt sha256ハッシュ値 [f921fb3f]自称ファインチューニング デッドコピーorangemix.vae.pt sha256ハッシュ値 [f921fb3f] NovelAIリークモデルそのもの VAEファイル
NovelAIリークモデル 商用利用禁止ライセンス CC BY-NC-SA 4.0ライセンス=クレジット表記義務・非営利目的のみ・商用利用禁止
creativeml-openrail-mライセンス(マージモデル公開者とAI生成者が責任を負う)や
CC BY-NC-SA 4.0ライセンス(商用利用禁止・二次的著作物マージモデルも商用禁止)を守りましょう
2024年8月22日 NovelAIリークモデル(NovelAI animefull-final-pruned.ckpt[925997e9])は
CC BY-NC-SA 4.0ライセンス=クレジット表記義務・非営利目的のみ・
商用利用禁止・二次的著作物=マージモデルも商用利用禁止ライセンス継承であることが発表された
https:// blog.novelai.net/novelai-diffusion-v1-weights-release-jp-01d7fbad6fd7
著作権法では、「思想または感情を創作的に表現したもの」が著作物として保護されています。
生成AIによる出力物は、人間の創造性を反映していないため、通常は著作物とは認められません。
創作意図の必要性
AIによって生成された画像が著作権の保護を受けるためには、人間の「創作意図」が必要です。つまり、ある特定のコンテンツを創作しようとする人間の主観的な意思が存在する必要があります。
創作的寄与の必要性
加えて、その画像の創作に人間がどの程度関与したかを示す「創作的寄与」も必要とされます。単に画像生成AIにプロンプトを入力するだけでは、通常は創作的寄与とは認められません。
AIの自律的生成
人間の創作意図や創作的寄与がない場合、AIが自律的に生成した画像は著作権の保護対象とはなりません。そのような画像は誰の著作権にも属さないと解釈されています。
しかし、生成AIの学習に特定の著作物を使用し、その作品を模倣することを目的とする場合は、著作権侵害のリスクが高くなります。これは、著作物の思想や感情を享受することが目的に含まれるためです。
文化庁の「AIと著作権に関する考え方」では、生成AIの開発・学習段階において、「非享受目的」であれば著作権侵害にはならないが、「享受目的」の場合は著作権侵害のリスクがあると指摘されています。
したがって、生成AIによる特定作品の模倣を目的とした学習は、著作権侵害のリスクが高いと考えられます。著作権者の許諾なく行うことは適切ではありません。
文化庁「絵柄模倣LoRAは著作権侵害となる可能性が高い」と考え方を示した
著作権侵害の可能性
特定のイラストレーターや漫画家の画風を模倣するためにLoRAを作成する行為は、著作権法上の問題がある可能性があります。文化庁の「AIと著作権に関する考え方」によると、創作的表現を意図的に出力させることを目的とした追加学習は、著作権侵害となる可能性が高いとされています。
享受目的の併存
著作権法第30条の4では、著作物を「自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」に限り、必要な範囲での利用が認められています。
しかし、特定の画風を再現するためのLoRA作成は、この条件を満たさない可能性があります。
クリエイターへの影響
画風LoRAの作成・配布は、オリジナルのクリエイターに対する嫌がらせや、無断で作品の特徴を利用されるなどの問題を引き起こしています。これにより、クリエイターの権利や利益が侵害される可能性があります。
グレーゾーン
LoRAの作成に使用する画像が自作であっても、特定のクリエイターの画風を模倣する目的で作成された場合、法的にグレーな領域に入る可能性があります。
対策の必要性
現状では、個々のクリエイターが対応するには限界があり、業界全体や法制度の整備が必要とされています。
AI生成物と著作権侵害
AI生成物が既存の著作物と類似している場合の著作権侵害の成否については、まだ確立した見解がありません。議論の焦点は、AI生成物が既存の著作物に「依拠」しているかどうかです。依拠を否定する立場と肯定する立場があり、この点については今後さらなる議論と法的整備が必要とされています。
特定作品の出力を目的とした学習
文化庁は2023年12月20日に、特定の作品を出力する目的でAIに学習させることは、著作権法で認められている無許諾利用の対象外となる可能性があるとする素案をまとめました。
これは、特定作品の模倣を目的とした学習が著作権侵害のリスクを高める可能性があるという考えに基づいています。ただし、この方針はまだ確定したものではなく、今後の議論や法改正の動向を注視する必要があります。
AIサービス提供者の責任
AIを用いたサービス提供者は、著作権侵害のリスク管理や利用者への適切な情報提供、サービス運営の透明性確保などが求められます。特に、生成されたコンテンツが既存の著作物と類似している場合のリスク管理や、利用者へのガイドライン提供が重要です。また、AI技術の進歩に伴い、これらの責任の範囲や内容も変化する可能性があるため、継続的な見直しと対応が必要となります。
AIによって生成されたコンテンツと既存の著作物との関係において、類似性と依拠性の問題は著作権法上の重要な論点となっています。
類似性については、AI生成物が既存の著作物と「表現上の本質的な特徴を直接感得できる」ほど似ている場合に認められます。ただし、単なるアイデアや事実の共通性では不十分で、創作的な表現の類似性が必要とされます。
依拠性に関しては、AI生成物の場合、特に議論の余地があります。文化庁によると、以下のような考え方が示されています
AIの学習データに既存の著作物が含まれていれば依拠性があると考える(NovelAIは無断転載サイトDanbooruの画像を集めてデータセットを使用している)
AI生成物が学習に使用された著作物の表現と類似していれば依拠性があると推定する
ただし、AI利用者が既存の著作物を認識していなかった場合、状況によって判断が分かれます
AIの学習データに既存の著作物が含まれていない場合、類似性があっても偶然の一致として依拠性は認められず、著作権侵害は成立しないと考えられます。
既存の著作物を認識していなかった場合でも、著作権侵害が成立する可能性があります。
無意識のパクリ
無意識に既存の著作物を模倣した場合でも、著作権侵害が成立する可能性があります。理由としては、依拠性が認められるためには、無意識であったとしても、似た作品が制作される際に依拠していたという事実があれば十分となります。
認識可能性の不存在の抗弁
似ている楽曲が既にあったなんて全く知らなかったという場合、依拠性が無いとされることがあります。ただし、無意識であっても過去に見たり聞いたりしてものが出てしまった場合には、法律上免責されることはありません。
アイデアと表現の区別
アイデアそのものは著作権の保護対象外であり、作品として表現されないものは保護されません。著作権法は具体的な表現を保護しており、背景にあるアイデアやコンセプトは保護されません。
文化庁『AIと著作権に関する考え方について(素案)』「判例及び裁判例の蓄積をただ待つのみでなく、解釈に当たっての一定の考え方を示すことも有益であると考えられる」
AIの学習データに既存の著作物が含まれている場合、著作権侵害になり得ますが、例外もあります。例えば、AI開発者が学習に用いられた著作物が生成されないよう技術的措置を講じている場合などは、著作権侵害にならない可能性があります。(ただし、NovelAIのプロンプトには作者名やキャラクター名や商標を入力可能で技術的措置が未対応)
重要なのは、これらの判断基準はまだ確定したものではなく、議論が続いている段階だということです。最終的には、個別のケースごとに裁判所が判断することになります。
「判例及び裁判例の蓄積をただ待つのみでなく、解釈に当たっての一定の考え方を示すことも有益であると考えられる」『AIと著作権に関する考え方について(素案)』
「考え方」では、AI開発・学習段階での著作権侵害に関する論点が整理されています。その中で、特定の作家の著作物をLoRAに使用することについて指摘がなされています。LoRAを意識した見解として、「著作権法は表現を保護する法律であり、アイデアを保護する法律ではない」と述べられています。そのため、特定の作家の「作風」そのものは著作権で保護されるものではありません。一方で、「いわゆる狙い撃ちLoRAの学習は違法になりうる」と指摘されています。つまり、特定の作家の著作物を大量に集めてLoRAの学習に使うような行為は、著作権侵害に当たる可能性があるということです。具体的には、「試行回数、プロンプト量、チェリーピック、人による加筆修正」などの要素を総合的に判断し、特定の作家の表現上の本質的特徴が感得できる場合には、AI生成物が当該作家の著作物と認められる可能性があるとされています。←「600回以上プロンプトを入力しても創作的寄与がないため著作権登録できない」米国著作権局
AIイラスト プロンプトを何度も入力しても創作的寄与がない AIイラストの著作権登録を拒否した米国著作権局
米国著作権局は、AI画像生成ツール「Midjourney」によって生成された作品の著作権登録を拒否しました。この決定は、作品が人間の創作物ではないと判断されたためです。
具体的には、作品の作者が、Midjourneyに対して624回以上のプロンプトを入力し、さらにAdobe Photoshopで修正を加えたにもかかわらず、著作権の保護を受けるための人間の創作的寄与が不足しているとされました。著作権局は、AIが生成した部分の放棄を求めましたが、作者はこれを拒否し、その結果、申請が却下されました。
AIイラストに著作権は認められない 元素法典プロンプトには創作的寄与が認められない
創作的寄与がないNovelAIプロンプト・元素法典promptの例
マスピ顔テンプレプロンプト
masterpiece,best quality,ultra-detailed,an extremely delicate and beautiful,extremely detailed,8k,32k,UHD:1.2,Hyperrealistic,Unreal Engine,RAW photo,Amazing,finely detail,8k wallpaper,huge filesize,highres,realistic,Ultra-High Definition,highest quality,ultra high resolution,(realistic:1.4),High quality texture,realistic photo,Highly detailed,
創作的寄与がないNovelAIプロンプト 金髪碧眼テンプレ美少女プロンプト
1girl, solo, full body, bob cut, medium hair, platinum blonde hair, aqua eyes, pale skin, medium breasts, skinny, slim legs
ネガティブプロンプトの例Negative prompt
lowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing fingers, extra digit, fewer digits, cropped, worst quality, low quality, normal quality, jpeg artifacts, signature, watermark, username, blurry, artist name
享受を目的とするAIによる無断学習は違法(著作権者の許諾が必要)
著作権法第30条の4は、著作物の利用が「享受を目的としない」場合に適用される権利制限規定ですが、享受目的が併存する場合には適用されません。
具体的には以下のような点が重要です
・複数の目的の併存
著作物の利用行為に複数の目的が存在する場合、その中にひとつでも「享受」の目的が含まれていれば、第30条の4の要件を満たさないとされています。
・主たる目的と副次的目的
主たる目的が非享受目的(情報解析など)であっても、副次的に享受する目的が併存している場合、本条は適用されません。
具体的なケース
例えば、AI学習のために著作物を複製する際に、意図的に学習データに含まれる著作物の創作的表現をそのまま出力させることを目的とした場合、享受目的が併存するとみなされ、第30条の4は適用されません。
権利者の許諾の必要性
享受目的が併存する場合や第30条の4の但し書きに該当する場合、他の権利制限規定も適用されない限り、権利者からの許諾が必要となります。
判断基準
享受目的の有無は、著作物の視聴等を通じて、視聴者等の知的・精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けられているかどうかで判断されます。
このように、著作権法第30条の4は、純粋に非享受目的の利用に限定して適用される規定であり、享受目的が少しでも併存する場合には適用されないという厳格な解釈がなされています。AI開発や機械学習においては、この点に十分注意を払う必要があります。
著作権法第30条の4は、著作物に表現された思想や感情の享受を目的としない利用について権利制限を定めています。この規定の要件を満たさない場合は以下のようなことが考えられます
著作物の享受を目的としている場合
例えば、著作物を単に楽しむ目的で利用する場合は、この規定の要件を満たしません。
著作権者の利益を不当に害する場合
著作物の利用が著作権者の市場や潜在的な販路を阻害する場合は、この要件を満たしません。
大量の類似作品の生成により著作権者の利益が不当に害される可能性がある場合も該当しません。
著作物の種類や用途から判断して、著作権者の利益を不当に害する場合
例えば、著作物の本来の用途とは異なる方法で大規模に利用する場合は、この要件を満たさない可能性があります。
創作性がない、人間の創作的寄与がないAIイラストには著作権はない
生成AIを利用して作成された生成物に著作権が認められるかどうかは、その作成プロセスによって判断されます。作成プロセスの全てがAIによって担われている場合、そのような生成物に著作権は認められないと考えられます。
著作権の対象となる「著作物」に該当するためには、「創作性」、つまり表現に作者の個性が表れていることが要件とされています。生成AIによる自動生成に「創作性」が認められないという観点から、機械的に生成されたものには著作権が認められないという議論がされています。
作成プロセスの一部に人間の関与がある場合もあり、人間が担うプロセスが「創作的寄与」といえる場合には、その人の著作権が認められる余地はあります。しかし創作的寄与がない場合は著作権は認められないでしょう。←「プロンプトを600回以上入力しても創作的寄与が不足している」と米国著作権局
AIイラスト プロンプトを何度も入力しても創作的寄与がない
AIイラストの著作権登録を拒否した米国著作権局
米国著作権局は、AI画像生成ツール「Midjourney」によって生成された作品の著作権登録を拒否しました。この決定は、作品が人間の創作物ではないと判断されたためです。
具体的には、作品の作者が、Midjourneyに対して624回以上のプロンプトを入力し、さらにAdobe Photoshopで修正を加えたにもかかわらず、著作権の保護を受けるための人間の創作的寄与が不足しているとされました。著作権局は、AIが生成した部分の放棄を求めましたが、作者はこれを拒否し、その結果、申請が却下されました。
現行の社会保障制度の複雑さゆえの非効率や、就労を阻害する「貧困の罠」の問題を、ベーシックインカムが解消できる。
メリットを具体的なデータや事例を交えて説明することで、ベーシックインカムへの理解を広げることができるはずだ。また、ベーシックインカムの導入に伴うデメリットや課題についても、正直に議論し、それらを乗り越えるための知恵を共有することが重要である。
ベーシックインカムの実現のためには、広範な政治勢力の支持を取り付ける必要もある。特に、既得権益を持つ層の反発を和らげ、利害関係者間の調整を図ることは容易ではない。しかし、小さな実験的取り組みを積み重ね、徐々に社会的な合意を形成していくことは可能だろう。
例えば、児童手当の拡充や、学生への給付型奨学金の導入など、部分的なベーシックインカム的政策から始めることが考えられる。あるいは、地方自治体レベルでの小規模な実験から始め、徐々に対象を広げていくというアプローチもあり得る。
大切なのは、ベーシックインカムを「一足飛びに実現する」のではなく、社会の様々なアクターと対話を重ねながら、段階的に実現していくことだ。そのためには、政治家だけでなく、研究者やメディア、市民社会などの多様なアクターの参加が不可欠となる。
ベーシックインカムには、様々なメリットがあると考えられます。
第一に、技術革新によって労働市場が大きく変化する中で、ベーシックインカムが人々の生活の安定を支えるセーフティネットとして機能することが期待されます。AIやロボットの発展により、多くの職種で人間の労働力が機械に代替される可能性が指摘されています。そうした状況下で、ベーシックインカムを導入することで、たとえ職を失ったとしても、最低限の生活が保障されるようになります。これにより、人々は「機械との競争」から解放されます。
カチオン電着塗装はプロの塗装職人でも(人間では)物理的に不可能
例えば、自分の興味や関心に基づいて学びを深めたり、新しいスキルを身につけたり、ボランティア活動に参加したりと、社会に貢献できる様々な活動に取り組むことができるようになります。
第二に、ベーシックインカムが現行の社会保障制度の問題点を解消できる可能性が挙げられます。現在の社会保障制度は、複雑な手続きや条件が設けられているため、本当に支援を必要としている人々に的確に届いていない場合があります。また、働くことで得られる収入が増えると給付が減額・停止されるため、就労意欲を阻害する「貧困の罠」と呼ばれる問題も指摘されています。ベーシックインカムは、全ての国民に無条件で一定額を支給する仕組みであるため、こうした問題を解消できると考えられます。手続きの簡素化により、行政コストを削減できるとともに、真に支援が必要な人々に漏れなく給付が行き渡るようになります。さらに、働いて収入を得ても給付額が減らないため、就労を阻害せずに済むというメリットもあります。
第三に、ベーシックインカムが格差の是正に寄与する可能性があります。現在、非正規雇用の拡大や長時間労働など、様々な要因によって所得格差が広がっています。ベーシックインカムを導入することで、全ての国民に一定の所得が保障されるため、格差の拡大に歯止めをかけることができると期待されます。特に、子育て世帯や高齢者、障害者など、経済的に不安定な立場に置かれがちな人々の生活の安定に役立つでしょう。また、教育格差の是正にもつながる可能性があります。経済的な理由で十分な教育を受けられない子供たちに対して、ベーシックインカムが学習の機会を保障することで、貧困の連鎖を断ち切ることができるかもしれません。
ただし、ベーシックインカムの導入に際しては、財源の確保や労働意欲への影響など、克服すべき課題も存在します。例えば、ベーシックインカムの財源をどのように捻出するかは大きな問題です。増税による負担増や、他の施策の予算削減につながる恐れもあります。
AI失業 AI(人工知能)とロボット工学の急速な進歩により、多くの職業において人間の労働力が機械に取って代わられる可能性が現実味を帯びてきました。
例えば、工場の製造ラインでは、従来人間が行っていた単純作業の多くが、産業用ロボットによって自動化されています。また、農業分野でも、自律走行トラクターや収穫ロボットの導入が進んでおり、人手不足の解消と効率化に貢献しています。
サービス業においても、AIの活用が広がりを見せています。コールセンターでは、AIを活用した自動応答システムが普及し始めており、簡単な問い合わせについては人間のオペレーターを介さずに対応できるようになりつつあります。また、接客業務においても、AIを搭載したロボットが導入され、案内や注文受付などを行うケースが出てきています。
事務職では、AIを活用した自動データ入力や書類作成システムの開発が進んでおり、事務作業の効率化と省人化が図られています。さらに、金融や法律など専門的な分野でも、AIを用いた自動審査や契約書作成などの取り組みが始まっています。
一方で、AIやロボットによる自動化には限界もあります。例えば、創造性や柔軟な思考を必要とする職種、対人スキルやコミュニケーション能力が重視される職種などでは、人間の能力が不可欠であり、完全な代替は困難だと考えられます。また、AIやロボットの導入には、初期投資や維持コストがかかるため、費用対効果を慎重に見極める必要があります。
AIやロボットの導入は、生産性の向上や人手不足の解消に寄与する一方で、失業問題の深刻化につながる恐れもあります。特に、単純作業に従事する低スキルの労働者は、自動化の影響を受けやすく、雇用の喪失や賃金の低下といったリスクに直面する可能性があります。
漫画家、イラストレーターなど創造的な仕事も危機に直面しています
仕事量の減少 中国のゲーム企業での採用担当者によると、画像生成AIの台頭により、イラストレーターの仕事は約70%も減少したとされています。
解雇の実態 ある中国のゲーム会社では、原画家の約3割が解雇されたという報告があります。
給与への影響 解雇を免れた原画家の給与は上昇した一方で、業界全体では原画家の給料が1/3に減少したという情報もあります。
生産性の向上 画像生成AIの登場により、解雇を恐れる従業員の生産性が向上したという声もありますが、同時に疲弊も招いているとの指摘もあります。
AIの限界 一部の企業では、AIが特定のクライアントのニーズを満たすデザインを作成できないなど、まだ限界があることも指摘されています。
生成AI「著作物に表現された思想や感情の享受を目的とする」利用は、原則として著作権者の許諾が必要となります。
ベルヌ条約のスリーステップテストは、生成AIの著作権法上の取り扱いを検討する上で重要な要素です。
ベルヌ条約のスリーステップテストは以下の3つの要件を満たす場合に著作権の制限が認められるというものです
・特別な場合に限定される
・著作物の通常の利用を妨げない
・著作者の正当な利益を不当に害しない
生成AIとスリーステップテスト
文化庁の素案では、生成AIによる著作物の利用がこのスリーステップテストに適合するかどうかが重要な検討ポイントとされています。
生成AIの技術は人間の創作活動を基に成り立っているため、人間の創作活動の発展が生成AI技術の持続的発展のために必要不可欠とされています。
生成AIによる著作物の利用が著作権侵害に当たるかどうかは、依拠性の有無や生成AIの技術的手段などを総合的に勘案して判断される必要があります。
著作物の享受目的と非享受目的
生成AIを用いて既存の著作物を利用する場合、その目的が「著作物に表現された思想や感情の享受」であるか「そうでない」かで扱いが異なります。
「著作物に表現された思想や感情の享受を目的としない」利用は、著作権法の権利制限規定(第30条の4)の適用対象となり、著作権者の許諾なく利用できます。
一方で、「著作物に表現された思想や感情の享受を目的とする」利用は、原則として著作権者の許諾が必要となります。
AI生成物の著作物性
AI生成物自体が「著作物」に該当するかどうかは、その生成過程や利用目的によって判断されます。
AI生成物に既存の著作物の表現上の特徴が含まれる場合、その利用目的が「著作物の享受」であれば著作権侵害のおそれがあります。
クリエイターを狙い撃ちしたAI学習は、現行の著作権法の下では問題があると考えられます。
文化庁は、特定のクリエイターを狙い撃ちしたAI学習(作家絵柄LoRAの作成)は無断で行えない旨の見解を示しています。これは、著作権法第30条の4が適用されない場合があるためです。
実際に、人気漫画家の樋口紀信氏は自身の絵柄をLoRAに無断学習され被害に遭っています。LoRAを使用することで、特定の作家の絵柄を真似た画像が少ない学習データで生成可能になります。
このような狙い撃ちによる学習は、クリエイターの心情的にも「勝手に真似をされた」「絵を盗まれた」と感じさせやすい問題があります。また、生成された画像をインターネットに投稿したり配布したりするのは著作権法で認められていません。
文化庁は、AIと著作権の関係について有識者による審議会で検討し、「考え方」としてまとめています。これは、AIによる著作権侵害への懸念解消を目的としたものです。
したがって、AIやロボットの導入に際しては、社会全体で長期的な展望を持ち、適切な対策を講じていく必要があります。具体的には、教育や職業訓練の充実により、労働者のスキルアップを図ることが重要です。機械にはできない(シンギュラリティ到達で人類の危機 時価総額FANG+一極集中)、高度な知識や創造性を必要とする分野へのシフトを促進し、人間らしい能力を磨くことで、AIやロボットとの共生を目指すべきでしょう。
同時に、AIやロボットの導入で生み出された利益を、社会全体で公平に分配する仕組みづくりも欠かせません。ベーシックインカムの導入や、失業対策の拡充など、雇用の安定を図るためのセーフティネットの整備が求められます。
AIとロボットの発展は、社会に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。技術革新の恩恵を最大限に活用しつつ、負の影響を最小限に抑えるためには、産業界、政府、学術機関などが連携し、総合的な対策を打ち出していくことが肝要です。柔軟な発想と適切な規制のバランスを取りながら、人間と機械が協調する社会の実現を目指すべき段階に来ているのです。
ロボットの正当化
川崎重工が開発した「技能伝承ロボットシステム」である「Successor(サクセサー)」
人間による遠隔操作
人間が専用の操作装置を使ってロボットアームを遠隔で操作し、作業を行うことができます。
人間の動作の再現
人間の感覚の微妙なさじ加減をロボットが学習し、人間の動きを再現することができます。
作業データの蓄積と解析
人間が操作装置を使って作業を繰り返す中で、位置や速度、加速度といったデータを蓄積して解析することで、作業のコツを学習することができます。
AIによる技術の習得
AIを通じて技術を「習得」すれば、人間の親方のように「正しい作業」と「失敗した作業」を判別することもできるようになります。
人間への技能伝承
弟子となる人間が、サクセサーから正しい作業方法を「学ぶ」こともできるようになります。
自動車塗装の歴史と塗装ロボットの導入
自動車業界が塗装ロボットの導入を先導してきた
当初は防爆仕様が課題だったが、技術の進歩により解決された
塗装ロボットの小型化により、幅広い製品への適用が可能になった
塗装ロボットの主な用途
車体の意匠塗装だけでなく、防錆や保護などの機能性塗装にも使用される
主な塗装方式は「回転霧化方式」の静電塗装が一般的
静電塗装により塗料ロスを大幅に削減できる
塗装ロボットの導入事例
小橋工業では仕上げ塗装工程に塗装ロボットを導入し、作業者を削減できた
塗装ロボットの導入により生産性が大幅に向上した事例もある
塗装ロボットの価格
垂直多関節ロボットの本体価格は概ね300万円程度
ただし、設置や周辺装置の費用も必要となる
総じて、車の塗装工程において塗装ロボットは高い生産性と品質を実現し、幅広く活用されている技術といえます
カリフォルニア州の塗装会社、プロフェッショナル・フィニッシングでは、ロボットアームが導入されました。従業員の一部はロボットの導入に不安を感じ、仕事を奪われるのではないかと心配しましたが、実際にはロボットが単純なタスクを担当し、人間はより複雑な仕事に集中する形で協力関係が構築されました。
ロボットが仕事を奪うという問題は、経済的な理由から導入されることが多く、人件費の削減や生産性の向上を目的としています。ただし、ロボットが置き換える仕事と置き換えない仕事があり、医療従事者やクリエイティブな仕事はロボットに代替されにくいとされています。
ただし生成AIのせいでクリエイティブな仕事が安寧とは言えません。
過度な価格競争で単価が低下する可能性が高いです。
日本の研究では、ロボットの普及が雇用を増加させることが示されており、ロボットが仕事を奪うという懸念は必ずしも正しくないとされています。
1970年代から本格的に産業用ロボットを導入してきた日本では、ロボット価格の変動に着目した分析により、以下のような結果が得られました
ロボット価格が1%低下すると、ロボット台数が1.54%増加し、雇用も0.44%増加する。
労働者1,000人あたり1台ロボットが増えると雇用が2.2%増加する。
これは、ロボット化によって生産規模が拡大し、それに伴って雇用が増加したためと考えられます。(しかしAIロボットは熟練職人の腕をも再現可能となり、熟練職人であっても解雇される危機が迫っています。)
これらの情報から、塗装ロボットが仕事を奪うという問題は、実際にはロボットと人間が協力して仕事を分担する形で解決されることが多く、ロボットが置き換える仕事と置き換えない仕事があることがわかります。
自動車業界では下地塗装にカチオン電着塗装が採用されています。
・自動車ボディの複雑な形状に適している
・電気の力で塗料が狭い隙間まで入り込むため、均一で密着性の良い塗膜が得られる
・優れた防錆性と防食性を持つ
・自動車ボディの防錆性に重要な特性
・1977年以降、自動車業界でカチオン電着塗装に切り替えられた
当時の自動車メーカーと鋼板メーカー、塗料メーカーが共同で検討し、カチオン電着塗装に移行した
これにより、自動車輸送時の「かさぶた状錆」という問題が解決された
自動車の「電着」「中塗り」「ベース」「クリア」といった塗装工程で、塗装ロボットの静電塗装技術が採用されている。
人間の役割としては、塗装ロボットの操作やメンテナンス、塗装作業の監視や品質管理などが挙げられます。また、塗装現場では、塗装服や静電靴を着用して、塗料の可燃性や静電気を避けるための安全対策が行われています。
生成AIとロボットアームのせいで労働者のリストラ、人件費削減、コストカッターにより人間不要に近づいています。
AIスキルを持つ労働者への需要は高まっていますが、AI関連の雇用が1つ生まれると、他の分野の雇用が複数減少するという傾向があります。
米国では、2024年1月の時点で人員削減が8万人を超え、特に金融業界とIT業界で顕著でした。その背景にはAIの導入によるコスト削減や効率化があり、予算分析担当者やウェブ開発者などの知識労働者に影響が出ています。
このように、生成AIの進化により、人間の仕事がAIに奪われるリスクが高まっています。企業は人件費削減のためにAIを導入していますが、一方で従業員のリスキリングにも力を入れる必要があるでしょう。
ベーシックインカムと既存の社会保障制度の調和
ベーシックインカムを導入する際のもう一つの重要な課題が、既存の社会保障制度との調和をどう図るかである。ベーシックインカムは、全ての国民に無条件で一定額を支給するため、既存の福祉制度の多くを代替することになる。しかし、全ての福祉をベーシックインカムに置き換えるのは現実的ではない。
例えば、障碍者に対する補助や、児童養護などの分野では、個別のニーズに応じたきめ細かな支援が必要不可欠だ。こうした分野の福祉を、一律の現金給付であるベーシックインカムに完全に置き換えてしまうのは適切ではないだろう。
したがって、ベーシックインカムの導入に際しては、既存の社会保障制度のどの部分を代替し、どの部分を残すのかを慎重に見極める必要がある。その際、ベーシックインカムと既存の制度の役割分担を明確化し、両者が補完し合う関係を構築することが重要となる。
一つの考え方は、ベーシックインカムを社会保障の「ベーシック部分」と位置づけ、その上に、各分野の個別ニーズに対応する「上乗せ部分」を設ける、というものだ。例えば、年金であれば、ベーシックインカムを「最低保証年金」とし、それに加えて、拠出に応じた「所得比例年金」を上乗せすることが考えられる。医療でも、ベーシックインカムである程度のアクセスを保障した上で、追加的な医療ニーズには保険でカバーするといった設計が可能だろう。
こうした「ベーシックインカム+上乗せ」型の社会保障モデルは、社会保険方式の長所と、ベーシックインカムの長所を組み合わせたハイブリッドなモデルだと言える。ただし、両者の設計をどう最適化するかについては、さらなる研究と議論の積み重ねが必要だ。
また、こうした制度設計に際しては、ベーシックインカムの水準をどう設定するかが重要な論点となる。ベーシックインカムの水準が低すぎれば、貧困削減の効果は限定的なものとなる。他方、高すぎれば財政的な実現可能性が乏しくなる。
したがって、ベーシックインカムの水準は、社会的・経済的な文脈に応じて慎重に検討される必要がある。例えば、当初は比較的低い水準から始め、徐々に引き上げていくというオプションも考えられるだろう。大切なのは、長期的なビジョンを持ちつつ、社会の実情に合わせて柔軟に制度設計を行うことだ。
以上のように、ベーシックインカムと既存の社会保障制度の調和を図ることは容易な課題ではない。しかし、両者の長所を活かし、短所を補完し合うような制度設計を追求することで、より包括的で持続可能な社会保障モデルを構築することができるはずだ。
その意味で、ベーシックインカムの導入は、単に新しい政策を付け加えるだけでなく、社会保障全体の再設計の契機となるものと位置づけるべきだろう。ベーシックインカムを触媒として、社会保障のグランドデザインを描き直す。それこそが、ベーシックインカムの導入に際して求められる重要な視点なのだ。
ベーシックインカム導入に向けた法整備と制度設計
ベーシックインカムの導入には、法制度面での整備も欠かせない。ベーシックインカムを「権利」として位置づけ、その財源を確保するためには、関連する法律の改正や新法の制定が必要となる。
まず、ベーシックインカムをどのような法的根拠に基づいて位置づけるかを明確にする必要がある。日本国憲法で保障された生存権(25条)や、社会保障に関する規定(憲法25条2項)は、ベーシックインカムの法的基盤となり得る。ただし、これらの規定は抽象的であるため、より具体的な法整備が求められる。
憲法第25条の解釈
憲法第25条の解釈には主に3つの説があります プログラム規定説、抽象的権利説、具体的権利説です。現在の通説は抽象的権利説で、これは国に対して立法や予算を通じて生存権を実現する法的義務を課していますが、国民に具体的な給付を求める権利は認めていません。
社会保障制度の具体化
憲法第25条を受けて、生活保護法、国民年金法、国民健康保険法などの具体的な社会保障制度が設けられています。これらの制度は、特定の条件や需要に基づいて給付を行う選別主義的なアプローチを採用しています。
ベーシックインカムとの相違
ベーシックインカムは、条件なしに全ての個人に定期的に現金給付を行う普遍主義的な制度です。これは現行の日本の社会保障制度の基本的な考え方とは異なります。
法的基盤の必要性
ベーシックインカムを導入するためには、現行の社会保障制度を大幅に改革し、新たな法律を制定する必要があります。憲法第25条だけでは、ベーシックインカムの直接的な法的根拠とはなりません。
憲法解釈の変更の可能性
ただし、憲法第25条の解釈を変更し、ベーシックインカムを含む新たな社会保障制度の法的基盤とする可能性は完全に否定されるわけではありません。しかし、そのためには社会的合意と法的議論の深化が必要です。
考えられる選択肢の一つは、ベーシックインカムを社会保障関連の個別法(年金法や生活保護法など)に位置づける方法だ。例えば、生活保護法を改正し、その中にベーシックインカムの規定を盛り込むことなどが考えられる。ただし、この場合、ベーシックインカムの理念が既存の制度の枠組みに埋没してしまうおそれがある。
もう一つの選択肢は、ベーシックインカムを独立した法律として制定する方法だ。「ベーシックインカム法」(仮称)を新たに制定し、その目的や理念、具体的な制度設計などを明記するのである。この方が、ベーシックインカムの独自性を打ち出しやすいというメリットがある。
ただし、独立した法律を制定する場合も、憲法との整合性や、他の社会保障関連法との関係性を丁寧に整理する必要がある。特に、ベーシックインカムの財源をどう確保するかは重要な論点となる。
この点、ベーシックインカムの財源については、社会保険料や税金など、様々な選択肢が考えられる。社会保険料を財源とする場合は、社会保険関連法の改正が必要となる。他方、税金を財源とする場合は、税法の改正が求められる。
いずれにせよ、ベーシックインカムの財源を法律に明記し、その調達方法を明確に規定することが重要だ。それによって、ベーシックインカムの持続可能性を担保し、国民の信頼を得ることができる。
また、ベーシックインカムの受給資格や給付水準、支給方法などの具体的な制度設計についても、法律で明確に定める必要がある。その際、できる限りシンプルで分かりやすい制度設計を心がけることが肝要だ。複雑な制度設計は、運用コストを高め、国民の理解を妨げるおそれがある。
加えて、ベーシックインカムの導入に際しては、プライバシー保護への配慮も欠かせない。ベーシックインカムの支給には、所得や資産、家族構成などの個人情報が必要となる。これらの情報をどのように管理し、保護するのかについて、法的な規定を設ける必要がある。
以上のように、ベーシックインカムの法制化には様々な課題が伴う。既存の法体系との整合性を図りつつ、ベーシックインカムの理念を実現するための新たな法的枠組みを構築することが求められる。
その際、法制化のプロセスにおいては、多様なステークホルダーの参加を得ることが重要だ。政治家や官僚だけでなく、研究者や実践者、当事者団体などの声を丁寧に拾い上げ、オープンな議論を重ねることが求められる。
法制化は、ベーシックインカムの実現に向けた重要なステップだ。しかし、それは到達点ではなく、新たな社会保障モデルを実践していくための出発点である。法制化後も、ベーシックインカムの理念を社会に根づかせ、制度を不断に改善していく努力が欠かせない。
人工知能(AI)が進化するにつれて、人間の雇用が奪われる懸念が高まっています。特にインドのアウトソーシング産業では、AIがコールセンター業務を代替することで大きな影響が出ることが予測されています。
インドにおけるAIの影響
インドのアウトソーシング産業は、経済規模が大きく、AIの影響を受けやすい業態です。スウェーデンのフィンテック企業KlarnaがAIチャットボットで700人分のカスタマーサービス業務を代替し、4,000万ドルのコスト削減を実現した例があります。これにより、フランスのアウトソーシング大手Teleperformanceの株価が下落しました。
Teleperformanceは世界中に50万人の社員を抱えており、そのうちインドにおける従業員は9万人を占め、最大規模となっています。Teleperformanceの株価下落は、コールセンター業務がAIに取って代わられるのではないかという投資家の懸念を反映しています。
将来の雇用の影響
インドのITサービスやコンサルティングサービスを手掛けるタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)のCEOは、1年後にはAIが問題を解決し、ほとんどのコールセンター業務がなくなるだろうと指摘しています。また、世界銀行や国際通貨基金(IMF)、オックスフォード大学の研究者らも、インドにおけるAIスキルの需要が、AI以外の分野の労働需要を損なっていることを明らかにしています。
AIによる失業の可能性
経済学者井上智洋氏は、2030年以降には人口の9割が失業する可能性があると推計しています。彼は、AIが人間の頭脳に追いついてしまう可能性があり、ホワイトカラー事務職や医者、弁護士などが失業の危機に瀕するとしています。
対策としての基本所得保障
井上氏は、AIによって奪われた労働を補完するために基本所得保障(BI=ベーシックインカム)を提案しています。BIは、社会保障を一元化して、子供から大人まで一律の生活保障を支給する仕組みです。
AIの影響に関する議論
AIが雇用を奪うかどうかについては、様々な議論が行われています。特化型AIはまだ人間の優位性が残ると考えられますが、汎用AIが登場すると状況は一変するとしています。
FANG+指数の構成銘柄の時価総額は、2024年3月末時点で約10兆ドルと推定されます。
具体的には、FANG+指数は2024年3月末時点で以下の10銘柄で構成されています。
Meta (Facebook)
Amazon
Netflix
Alphabet (Google)
Apple
Microsoft
Nvidia
Tesla
Snowflake
Broadcom
これらの銘柄は、2014年9月末から2024年3月末の10年間で約14倍の成長を遂げています。 特にNvidiaの成長は著しく、2023年6月に時価総額が1兆ドルに達しました。
2022年12月の銘柄入れ替え後も、FANG+指数は堅調に推移しており、2023年7月には設定来高値を更新しています。 2023年1月から6月までの半年間で、FANG+指数の上昇がS&P500指数の上昇の13%を占めています。
ベーシックインカム導入に向けた社会実験の設計と評価
ベーシックインカムの導入には、社会的な合意形成が不可欠だ。そのためには、ベーシックインカムの効果や課題について、実証的なデータを積み重ねていく必要がある。ここでは、ベーシックインカムの社会実験について、その意義と具体的な設計、評価の在り方について論じたい。
ベーシックインカムの社会実験とは、ある地域や集団を対象に、実際にベーシックインカムを支給し、その効果や影響を検証する取り組みのことを指す。これまでにも、アメリカやカナダ、フィンランドなど、世界各地でベーシックインカムの実験が行われてきた。
社会実験の主な目的は、ベーシックインカムの効果を実証的に明らかにすることだ。具体的には、ベーシックインカムが人々の就労行動にどのような影響を与えるのか、健康状態や教育水準にどのような変化をもたらすのか、社会関係資本(信頼や互酬性)にどのような効果があるのかなど、様々な側面から検証を行う。
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